2025年に ARTE Concert で配信されたダンス映画作品です。 公開当時、YouTube 公式チャネルで観ていましたが、NHKプレミアムシアターで放送されたので、その配信で再見しました。
テーマは Quatre saisons, quatre chorégraphies, quatre paysages, quatre duos de danseurs, quatre états du couple amoureux (四つの季節、四つの振付、四つの風景、四つのダンスデュオ、四つの恋愛カップルの状態)。 Max Richter が編曲 (再作曲) した Vivaldi: Le quattro stagioni [The Four Seasons] の季節の曲ごとに、 振付家を割り当て、その季節に合った雄大な自然が広がるロケーションで踊る様子を、ドローンを使った空撮も駆使したカメラワークで捉えた作品です。 基本的にカップルのロマンチックな関係をダンス化している所はありがちだなと思いつつも、 ARTE concert で放送・配信されるだけの洗練、完成度で、見応えありました。
春の振付は Peeping Tom の Frank Chartier [鑑賞メモ]。 清流とそれを取り巻く緑の茶畑、ラストはマングローブや浅瀬の海で、下着のような薄着の男女のカップルが踊ります。 Lynchesque ではなく、脱力した女性を男性が振り回し無造作に運ぶようなリフトに Peeping Tom らしさを感じました。
夏の振付は Bobbi Jene Smith & Or Schraiber。 振付家自身が演じる黒いドレスの女とワイシャツ黒パンツの男が、広い砂丘の中で踊ります。 冒頭に結婚指輪を砂に埋める場面があり、前半はクロースアップと遠景を使った演出も効果的に、 距離を置いて片方が苦悩するように踊るソロをもう一方静かに見つめたり。 既婚者同志の禁じられた愛と苦悩のダンスという感じで、中で最もロマンチックに感じられました。
秋の振付は Imre and Marne Van Opstal。 春夏と男女ペアでしたが秋は男2人のカップルで、ボロボロのスーツにスキンヘッド姿で、 針葉樹と葉がほとんど落ちた広葉樹から日の差す明るい林の中の敷き詰められた落ち葉や苔むした岩の合間や上で、また中盤で霧がかった荒野を挟んで、踊ります。 ブラザーフッドな感じかと予想しましたが、かなりロマンチックでした。
冬の振付は Emilie Leriche。女性2人のカップルで、山頂近い針葉樹林の間の雪原の中でスノーウェア姿で踊ります。 前半は喧嘩の取っ組み合いをダンス化したよう。ラストは一方がスノーウェアを脱いでもう一方の腕の中に残し、ほぼ全裸に近い姿で雪中を立ち去るという、別れを感じさせる終わり方でした。
この映像作品の監督 Tommy Pascal は、Béjart Ballet Lausanne と Ballet Preljocaj でダンサーとして活動し、 2007年にダンサーを引退した後、ダンスや音楽の映画/映像作品の監督となったとのこと。 今まで自分が観たものの中では、 Marit Moum Aune 振付・演出、Nasjonalballetten [The Norwegian National Ballet] の Ghosts — Ibsens Gengangere (2017) と Hedda Gabler (2018) [鑑賞メモ]、 Alexander Ekman 振付、Ballet de l'Opéra national de Paris の Play [鑑賞メモ] が Tommy Pascal 監督のものでした。 この Seasons of Dance [Les Saisons de la danse] は、 2025年第63回の Golden Prague International Television Festival で Grand Prix を 受賞したのをはじめとして、 様々な映像作品関係の賞を受賞をしています。