2010年から開催されている舞台芸術フェスティバル TACT (Theater Arts for Children and Teens) FESTIVAL は、 子供向けを謳っているものの大人でも十分に楽しめるサーカスやダンスの面白い公演をするので毎年楽しみにしています [去年, 一昨年の鑑賞メモ]。 今年はGW開催に戻ったので、5月5日に観てきました。
去年の『WONDER WATER』が好評だったのか、今年は ひびの こづえ, 川瀬 浩介 関連の作品が3つもロワー広場での無料パフォーマンスに登場。 3作品ともハズレなしの、ビジュアルも音楽も楽しいパフォーマンスというのは、さすがです。 このレベルの作品をオープンなスペースで済まさずに、 シアターイースト/ウェストのようなスペースでちゃんとした照明や映像も使った上演もしてほしいものです。
一方で、田中 泯 のような、子供向けというより親世代向けではないかと思うようなパフォーマンスもありましたが、 多少はそういうのが混じっているのも良いのかもしれません。
ひびの こづえ 衣装、川瀬 浩介 音楽の1演目目は、2018年に奥能登国際芸術祭で 初演された『Rinne』。 パフォーマーについては、 イギリスにてダンス留学経験を持つ 高岡 沙綾 と新体操で鍛え上げた身体を持つ 浅沼 圭 という程度の予備知識しか無かったので、 お魚のバルーンを乗せているもののフリフリの袖、スカートな衣装で、 アイドル歌謡のような音楽に乗って、アイドル風の振りで2人が踊るのを見て、えっ、そういう作品なのかとびっくり。
しかし、着替えていくに連れて、衣装の造形に着想したような、 かつ、優れた身体能力を生かしたダンスとなって、楽しめました。 海の中の生き物などの形態模写に着想した衣装・造形など 去年の TACT FESTIVAL での演目『WONDER WATER』との共通点も感じますが、 どちらも奥能登国際芸術祭のために制作した作品ということもあるでしょうか。
劇場以外の場所で、その場に着想して踊る『場踊り』ですが、観るのも15年ぶりでしょうか。 初夏で日差しも暑い日ですが、冬のような黒のコートに帽子という姿で、 最初のうちは正面入り口近くで、引き攣るような動作で、ガラス壁に張り付くようにしたり、地面に這ったり。
場所を動くようになってからは、わずかながら観客の反応を見ているのかなと思わせる所も。 暑かったのか、最後はホースで水を大きく吹き上げて。 以前に観た時よりも、スペクタクル性が上がっていたように感じたのは、 TACT FESTIVAL で観客が多かった、ということもあるのでしょうか。
ひびの こづえ 衣装、川瀬 浩介 音楽の2演目目は、この TACT FESTIVAL のための新作『MASK』。 パフォーマーは『WONDER WATER』と同じ ホワイトアスパラガス ですが、ビジュアルイメージは海中から地上へ。 カブトムシのバルーンを被って登場、ということで、小さな虫の世界。 黒い被り物を被ってのジャグリングはフクロタケのイメージでしょうか。
主な技は、アクロバット、ジャグリングにシルホイールでしたが、 大道芸的な客弄りは控えめ。 それはそれで舞台作品らしいスタイリッシュも出て良かったかもしれません。
ひびの こづえ 衣装、川瀬 浩介 音楽の3演目目は、去年の TACT FESTVAL でも上演した『WONDER WATER』。
『Rinne』、『MASK』と続けて観ると、大道芸/サーカスによくある観客とのインタラクションを それなりに前提とした演目であることが、際立ちます。 おかげで、3演目の中でも客が最も盛り上がって、ロワー広場でのフィナーレとしては良かったでしょうか。 こういう野外でのパフォーマンスでは、観客と盛り上がれる演目もあると良いものです。
この劇場公演については別にしました。