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西瓜糖閉店について

[2124] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Fri Mar 21 22:16:08 2008

春分の日は冷たい雨。そんな中、夕方遅めに家を出てバスを乗り継いで阿佐ヶ谷へ。 北口にある 西瓜糖へ。 現代美術の展覧会をしてきた1979年開店のギャラリーカフェです。 今度の週末日曜23日で閉店になるということで、行き納めしてきました。 閉店近い祝日ということで、 常連客や縁のあった作家とかで溢れていたら店先スルーかなぁ、と思ってましたが、 展示も特別なものでなく、あと数日で閉店すると感じさせない普通の平穏な営業をしてました。 よかったよかった。

西瓜糖 を知ったのは現代美術の画廊めぐりをよくするようになった1990年代半ば。 展覧会情報を集めていて、Richard Brautigan の小説 In Watermelon Sugar (1968, 『西瓜糖の日々』) から採られた名前は、とても印象に残るものでした。 自分のペンネームも、 自分が生まれた年に書かれた Brautigan の小説 Trout Fishing in America (1967, 『アメリカの鱒釣り』) から採ったものだったので。 そんなわけで実際に行くまでは、カフェではなく画廊だと思っていました。 思わず検索して確認してしまいましたが、 初めて行ったのは1996年かー。

自転車散策エリアも広かった1990年代後半は 中央線沿線へ足を伸ばした際の休憩ポイントとして活用していました。 広いガラス窓から見える中杉通りの並木、 グレーとメタリックを基調としたモノトーンですっきりモダンな店内の雰囲気が好きでした。 フォーマルな作風の作品中心の展覧会も、その空間に合っていましたし。 単にカフェの一角を展示に貸しているようなものとは違い、 売れ筋な現代美術とも一線を画した ちゃんとディレクションされている感が良いと思っていました。 当時は、京橋の 藍画廊 と繋がりがあるということは知りませんでしたが。 しかし、 自転車散策の行動範囲も狭まり画廊巡りもあまりしなくなった2000年代に入ると、 西瓜糖からもすっかり足が遠いてしまいました。 去年の夏に中央線沿線への出張のついでに寄って以来9ヶ月ぶり、とかそんな感じでした。

しかし、去年、現代美術ギャラリーのオープンラッシュがあって、 現代美術バブルが囁かれてたりする一方で (関連レビュー)、 こういうギャラリーカフェが閉店するというのも、時代を感じます (遠い目)。