Shizuoka 春の芸術祭 2008 @ SPAC (静岡県舞台芸術センター) は結局、行かず仕舞い。 静岡へくらい気楽に観に行くくらいでなければ、と思いつつ……。 そのプログラムの中で最も気になっていたのは、5/14(水) の レバノン (Lebanon) のアーティスト Rabih Mroué によるパフォーマンス Looking For A Missing Employee (2003; 『消えた官僚を探して』)。 静岡だけでなく東京でも何かとちょっと期待したんですが、 結局東京では何も無かったようだと思ったりしていたのですが。 SPACのウェブサイトに掲載された 北村 紗衣 の 劇評 (2008-06-15) によると、結局、Mroué は来日出来なかったんですね。 それも、5/7にベイルート (Beirut) で起きた政府支持者 vs ヒズボラ (Hezbollah) 支持者の衝突 ("Clashes as strike grips Lebanon", BBC News, 2008-05-07) で空港が封鎖され、出国できなかったからという……。 結局、Skype / インターネットを使ってレバノンから生中継でやったけれども、 途中で停電して映像が途切れ発電機を用いて中継を再開する、なんてこともあったよう。 壮絶。これはそういうハプニング込みで観てみたかった……。 しかし、パフォーマンスといっても身体性にあまり重きを置かない作風だったから、 インターネット経由でも出来たのだろうなあ、と。
ちなみに、この5月のレバノンの衝突は拡大することなく5月中に収束しました。その経緯は、 "Q&A: Lebanon crisis deal" (BBC News, 2008-05-25)、 " Lebanese bounce back despite doubts" (BBC News, 2008-06-16) あたりが参考になるかと。
去年の3月に日本初演した東京国際芸術祭2007委嘱作品 How Nancy Wished That Everything Was An April Fool's Joke (2007; 『これがぜんぶエイプリルフールだったなら、とナンシーは』; レビュー) は、結局、ベイルートでも上演できたようですね。 市原 研太郎 「ベイルート便り」 (『artscape』 2008-06) で、 5月の衝突の直前にベイルートで開催された Home Works というアート・イベントが レポートされているのですが、そこで 「パフォーマンスでは、レバノン内戦を主題にしたRabih Mroueの《How Nancy wished that Everything Was an April Fool's Joke》が秀逸だった」と触れられています。 ちなみに、この Home Works というイベントを主催したのは "The Lebanese Association for Plastic Arts" (レバノン造形美術協会) の Ashkal Alwan。 しかし Home Works は造形美術の展覧会だけでなく、 レクチャー、ダンス、パフォーマンス、フィルムとヴィデオの上映も行ってるようです。 レポートされている他の作品も面白そう。 Ashkal Alwan / Home Works 界隈の動きを紹介するショーケース的なイベントを 日本で是非やって欲しいものです。 日本に来るのを待たずにベイルートへ行け、というツッコミは無しということで……。
去年の東京国際芸術祭2007の際して制作されたDVD 『ラビア・ムルエ作品集 1998-2005』 の映像が YouTube に7作品載っています。全てベイルート公演の映像です。 その中から、件の作品を。 ちなみに、他の6作品はこちら: Enter Sir, We Are Waiting For You Outside (1998), Three Posters (2000), Biokhraphia (2002), Life Is Short, But The Day Is Too Long (2005), Face A / Face B (2002), Bir-rouh Bid-damm (2003)。
やはり、東京国際芸術祭2007で公演したチュニジア (Tunisia) のカンパニー Familia Productions の作品 Khamsoun: Corps Otages (2006; 『囚われの身体たち』; レビュー) の映像 (日本公演のものではないですが) も載っています。 一週間程前、 チュニジアの反テロ政策下での拷問を Amnesty International が非難している、 なんてニュース ("Tunisia 'state torture' condemned", BBC News, 2008-06-23) を読んで、それはこの作品の女性主人公の話だ、と思い出しましたよ。 そんなわけで、こちらも紹介。