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ニバダ グレンヒェン 一風変わったクロノグラフ、

正直に言うと、時々物事を見逃すこともある。認めよう。ニバダ グレンヒェン クロノスポーツのプレスリリースを見たとき、これはヴィンテージニバダを再現したものだなと思い、すぐに忘れてしまった。見た目が奇妙に感じたのだ。9時と12時位置にインダイヤルがあり、3時位置に日付表示がある同じようなクロノグラフはほかに思い浮かばない。それは、(今回の新作が悪いのではなく)元となったプロトタイプのアイデアが未完成に見え、視覚的に上半分が重すぎるように感じた。直感的にコミュニティも同じように感じるだろうと思い、単に奇妙だからという理由だけで、この時計を批判するための場をわざわざ設ける必要はないと感じたのだ。

結局、私が間違っていたようだ。この時計はよく売れており、ニバダファンにも好評だった。私は時代に遅れていたのかもしれないが、“今さら遅い”と思いながらも“やっぱりちょっと変わっているな”と感じた。そしてChrono24でオリジナルを見つけ、購入を考えた。それは私が正気を失っているか、あるいはこの時計に何か引きつけられるものを感じたからかもしれない。残念ながら、Geneva Watch Daysでこの新作とニバダのオーナーであるギヨーム・ライデ(Guillaume Laidet)氏に会った時点で、そのヴィンテージモデルはすでに売れてしまっていた。それと同時に、最信頼性の日本リシャールミルスーパーコピー代引き専門店!この時計が少なくとも1度はじっくりと見る価値があることを証明してくれた。

Chronosport
多くの人が異論を唱えるかもしれないが、まず言いたいのは私はヴィンテージの復刻モデルが好きだということだ。ただし、それがうまくつくられている場合に限る。私はヴィンテージウォッチのアイデアが好きで、いくつか所有している。ただ新しい時計を身につける快適さも捨てがたい。見た目がきれいだからというよりも、長い年月を経た時計を自分の不器用さで傷つけてしまうことを心配せずに済むからだ。またこのモデルの場合、200mの防水性といった信頼性の高い機能も手に入る点が魅力だ。

Chronosport
この時計は発売前からすでに盛り上がりを見せていた。ニバダ グレンヒェンがInstagramで、1970年代に製作された“シンガー製のエキゾチックダイヤル”のプロトタイプのひとつを紹介したのだ。それはブラン&サンズ(Bulang & Sons)で販売されていたもので、推定で20本しか生産されておらず、市販されることはなかった。ヴィンテージウォッチに詳しい人なら、ジャン・シンガー(Jean Singer)がスイスで最も偉大なダイヤルサプライヤーのひとつであったことをご存じだろう。シンガーはオメガ スピードマスター レーシングやホイヤー スキッパーから、あの有名なポール・ニューマン デイトナに至るまで、多くの名作ダイヤルを手がけている。

Paul Newman
2014年に掲載されたReference Points記事から、Ref.6241 ポール・ニューマンのクローズアップ写真。

また、シンガーのプロトタイプが特別な存在であることもご存じだろう(実際、セールスマンが持ち歩くサンプル帳からシンガーダイヤルを流用した、奇妙でユニークなロレックスがいくつも存在している)。このヴィンテージウォッチは、きわめて希少なワンオフ品と、量産された商業製品の中間に位置する。極端に高価というわけではないが、それでもなお希少性は高い。そしてこのようなブランドの歴史にまつわる興味深いエピソードがあれば、時計の発売には十分だ。特に過去のモデルを再現することに力を入れているブランドにとってはなおさらである。

Chronosport
おもしろいことに、ブラン&サンズの写真のファイル名を見てみると、“プア マンズ・ニューマン(Poor Man's Newman)”と記載されていた。確かに、新旧両方にそう呼ばれる特徴がある。最大の特徴は、ニューマンに似たロリポップ型インデックスや、インダイヤルに使われたアール・デコ調のフォントだ。ヴィンテージウォッチにおいては、たとえばオープン6や、少し太くて鮮明な2や5といった特定の数字が強調されており、こういった細かなディテールが大きな違いを生み出している。非常に似ているが、こういった細かい部分こそがヴィンテージ愛好家たちが情熱を注ぐポイントなのだ。

Original Chronosport
Photo: courtesy of Bulang & Sons

Chronosport
こちらは新しいモデル。

ほかのディテールに注目すると、オリジナルの時計はインダイヤルやタキメーターの目盛り、さらにはダイヤルのインデックスまで、すべてフラットなプリントがあしらわれていたことが分かるだろう。さらにダイヤル自体もほぼ平坦で、わずかにテクスチャーはあるものの、ほとんど目立たなかった。さらに夜光は針の先端とインデックスの端にある(経年変化した)黄色いドットにしか使われていなかった。しかし新しいニバダ グレンヒェン クロノスポーツでは、これらの要素が一段と強調されている。

Nivada Chronosport
たとえば、全面的にスーパールミノバが塗布されたバトン型インデックスや、夜光を多く使用した針などは、実用性の観点から見てもとても理にかなっていると思う。インダイヤルを少しだけ窪ませたデザインは必ずしも必要ではないが、悪くないアイデアだと思う。ただタキメーターの浮き彫りプリントは気に入っているが、ダイヤルのテクスチャーに関しては少しやり過ぎた感がある。非常に粗い粒状で、少し気が散ってしまう気がするのだ。

本モデルは特別薄いわけではなく、そのためか少し上部が重く感じる。ステンレススティール製のケースは厚さ15.7mm、直径38mm、ラグからラグまでの長さが44.3mmで、手首につけたときにかなり存在感があった。ただこのケースのシェイプはとても特徴的だ。ブロック状でがっしりしており、まさに1970年代のデザインだ。もし70年代に時計メディアがあったなら、その時代にスタンダードとされていたものについて不満を言っただろうか?

Nivada
ケース側面には美しいハイポリッシュ仕上げを採用している。サテン仕上げのトップケースやブレスレットとは対照的である。この厚さは、改良版のバルジュー7750自動巻きムーブメントによるものだ(個人的には、このムーブメントが搭載されているだけで検討する価値があると思う)。ブレスレットはヴィンテージモデルから改良されており、エンドリンクがケースにぴったりと合うようになっている。さらにダブルドームのサファイア風防は、オリジナルのプラスチック風防をほうふつとさせるようぷっくりとしている。

Old
Photo: courtesy of Bulang & Sons

New
この厚みのあるケースと改良されたエンドリンクは必見。

Old
Photo: courtesy of Bulang & Sons

New
ブラン&サンズで売られていた個体の裏蓋はフラットなデザインだったが、ニバダ グレンヒェンは量産デザインに近いものを採用した。これらすべてはニバダのチームがブラン&サンズモデルの写真をベースにつくり上げたものである。ギヨーム氏によれば、希少なオリジナルの20本のうちのひとつを手にすることができなかったため、写真や寸法、感覚を頼りに進めたという。彼らは3DプリントやCNCを試して、シェイプや厚さを正確にし、プッシャーとリューズがケースに適切に配置されるよう工夫した。オリジナルを手に取ることなく、ここまで近い再現ができたのは見事だと思う。

ヘリテージの復刻モデルを愛しつつも、フォティーナを嫌う人がどれほどいるか分からないが、両者は密接な関係にあるようだ。しかし、きっとコメントで“私だ”と言ってくれる人もいるだろう。とはいえ、ニバダはもうひとつ異なるバージョンを用意している。そちらは黄ばんだ部分をすべて当時のままの白にしているようだ(ただし、インダイヤルは当初からそのようにデザインされていた)。そのモデルを実際に見ることは叶わなかったがそれがきっかけで、最後にお気に入りの小さなポイントに気づいた。もし、テクスチャー加工が施されたアルミニウム製ベゼル(あるいはタグ・ホイヤー F1のようなプラスチック製ベゼル)を持つ古い時計に触れたことがあるなら、その古いコーティングが施されたベゼルの独特な感触が指に残る感じを知っているだろう。本作のフルーテッド加工があしらわれた逆回転防止アルミニウム製ベゼルは黒く塗装されており、その感触は純粋にヴィンテージらしい魅力を持っている。またダイバーズベゼルのような分表示と12時間表示の両方を備えている。

このニバダ グレンヒェンは2180ドル(日本円で約32万円)で販売されていた。デザイン、作り、ムーブメントを考えると、妥当な価格設定だと感じる。またさまざまなストラップオプションも用意されていたが、特に今回のモデルに使われていたストラップが気に入っている。しかし、“販売されていた”ということは...時計を愛する人々にとって残念なお知らせだろう。すでに予約受付が終了してしまったのだ。ただし、二次流通市場ではすでに出回り始めているのを確認した。私はこの時計に恋をしたのか? そういうわけではないが、この時計をもっと評価するべきだと学んだ。自分がクロノマスター アビエーター シーダイバー(略してCASD)ファンだからといって、こんなにも頭が固くなるべきではなかったと気づいたのだ。最近、多くの新作が“同じことの繰り返し”だと感じるなか、1970年代に一風変わったデザインを生み出した象徴的なデザイナーの作品は、まさに私が注目すべきものだったのかもしれない。

グランドセイコー 45GS復刻で鮮烈に蘇る、手巻きハイビートの誇り

グランドセイコーがおよそ50年ぶりに開発した新しい10振動の手巻きムーブメント「Cal.9SA4」を搭載した「ヘリテージ コレクション 45GS 復刻デザイン限定モデル」。グランドセイコーが描く理想形を目指すための、新たな一歩となる。

グランドセイコーの新しい10振動の手巻きムーブメントCal.9SA4。フラッグシップシリーズである「エボリューション9 コレクション」に搭載され話題を集めたが、今秋発売される「ヘリテージコレクション 45GS 復刻デザイン限定モデル SLGW004/SLGW005」は、グランドセイコーの理念や理想を具体化したモデルといえるだろう。なぜならオリジンとなる1968年製の「45GS」は、デザインと機構の両面を極めた初期グランドセイコーの理想形と呼ばれているからだ。

SSケース、38.8mm径、10.4mm厚。3気圧防水。クロコダイルストラップ。グランドセイコーブティック、グランドセイコーサロン、グランドセイコーマスターショップにて展開。

45GSが初期グランドセイコーの理想形とされる理由は、まずはデザインにある。グランドセイコーのデザインコードである「グランドセイコースタイル」は、“機能は見えるように、性能は感じるように”という理念のもと、セイコーのデザイナーであった田中太郎氏がまとめあげたもので、第二精工舎が製作した1967年の「44GS」によって完成した。シャープな平面を生かしたケースや多面カットのインデックスなどが特徴で、その後のグランドセイコーのデザインを方向付けることになる。45GSはその後継機で、グランドセイコースタイルを踏襲したデザインを備えていた。

さらに、パテックフィリップスーパーコピー代引き 優良サイトムーブメントにもセイコーの歴史が詰まっている。諏訪精工舎と第二精工舎は、1964年からスイスのヌーシャテル天文台で開催されていた天文台コンクールに機械式時計で参加していた。諏訪精工舎は自動巻き式にこだわる一方で、第二精工舎は1966年と1967年に、10振動の手巻きムーブメントCal.052を投入し、優れた成績を収めた。そして第二精工舎ではそのノウハウを生かして10振動の手巻きムーブメントCal.4520を開発し、45GSに搭載したのだ。

つまりシャープな造形美をもつ外装デザインと、10振動の高性能ムーブメントがはじめて融合したのが、かつての45GSだったのである。

そもそも45GSとは何だったのか?
高速で回転するコマが安定しているのと同様に、テンプの振動が速い(振動数が高い)ほど、衝撃などの外因の影響を受けにくくなって精度が安定する。そのためグランドセイコーは、10振動というハイビートムーブメントの開発に力を入れてきた。

「ヌーシャテル天文台コンクールへの参加に代表される高精度への挑戦は、すなわち10振動ムーブメントの開発史でもあります。そもそもグランドセイコーは、1969年の1年間の出来事ではありますが採用するムーブメントがすべて10振動だったこともあるくらい、ハイビートムーブメントにこだわってきました。

1998年に機械式のグランドセイコーが復活し、その後、自動巻きの10振動ムーブメントを実現しました。かつてのグランドセイコーのように、手巻きでも10振動キャリバーを実現させて再び世に送り出したいという想いは、ずっと持ち続けていました」とグランドセイコーの商品企画を担当する江頭康平氏は語る。

2020年にデビューした新時代の高性能ムーブメントCal.9SA5は、10振動の自動巻きである。しかし当初からこのムーブメントをベースとしてバリエーションを増やすことが計画されており、2023年にクロノグラフのCal.9SC5が、そして2024年に満を持して10振動の手巻きムーブメントCal.9SA4がデビューする。

「このムーブメントは、まずは『エボリューション9 コレクション』に搭載しました。しかしなぜ10振動の手巻きムーブメントにグランドセイコーが挑戦したのかというストーリーを語るには、実際の時計を提示する必要性がある。だからこそ45GSを復刻させる必要があったのです」(江頭氏)

SLGW004 423万5000円(税込) 世界限定200本(うち、国内175本) 11月9日発売予定

18KYGケース、38.8mm径、10.4mm厚。3気圧防水。クロコダイルストラップ。グランドセイコーブティック、グランドセイコーサロン、グランドセイコーマスターショップにて展開。

新世代手巻きハイビート Cal.9SA4を解き明かす
 ニッチではあるが、グランドセイコーの歴史を語る上で外すことができない「10振動の手巻きムーブメント」。それを実現したCal.9SA4は、知るほどに魅了されていくキャリバーである。

「Cal.9SA5の自動巻き機構用のスペースに対して、パワーリザーブ機構を配置しました。ただ、ベースといってもCal.9SA4では新たに採用した部品が全体の40%を占めており、その多くは手巻き機構とパワーリザーブ表示用です。Cal.9SA5を設計する時点で、自動巻き部分にパワーリザーブを配置した手巻きムーブメントを想定しており、Cal.9SA5がローンチしてひと段落した2021年にCal.9SA4の設計を開始しました」とムーブメントを設計した田中佑弥氏は語る。

Cal.9SA5はハイビートであるだけでなく80時間のロングパワーリザーブも有していた。Cal.9SA4も同様のロングパワーリザープを実現しているうえ、手巻きムーブメントとしての使いやすさにも配慮している。

「Cal.9SA5は自動巻きに合わせた手巻き機構を搭載していますが、Cal.9SA4は手巻きを前提としてユーザーが使いやすくもっと巻きたくなるような巻上げ感を実現するため、新構造の手巻き機構を搭載しています。巻上げ回数と重さ、クリック感が手巻きの感触や使用感に大きな影響を与えるため、巻上げ回数と重さを決める輪列の減速比や、クリック感を決めるコハゼの形状は一から設計しました。もちろんグランドセイコーとしての耐久性は担保しています。また、巻き上げる際の心地よさを探るために、社内の多くの人にプロトタイプを巻き上げてもらい、重さやクリック感に関するコメントを集め、感性的魅力と実用性のちょうどいいバランスに落ち着かせました」(田中氏)

リューズを巻き上げる行為とは、すなわち時計と対話することでもある。パワーリザーブ表示を裏面に配置したのは、ムーブメントを見ながらゼンマイを巻き上げて欲しいというメッセージだという。そしてブリッジには雫石川仕上げが入り、赤みの強いルビーの穴石を収める穴の面取りは斜面を浅くすることでポリッシュ面を広く取り、キラッと輝きを強めた。巻き上げ時にカチカチ動くコハゼの形は、盛岡市の鳥である「セキレイ」を模した。こういった仕様はムーブメント設計者だけでなく、デザイナーも交えたチームで考えた結果である。そのため機能だけでなく、美観も優れたムーブメントとなった。

海外からの反応もよく、スウェーデン・ストックホルムで時計販売店とイベントをした際には、『私たちの鳥が時計に入っている』と興奮して話してくださったお客様もいました。北欧でもセキレイは馴染みのある鳥だそうで、これまでの製品にはなかったストーリーを加えることができました」(江頭氏)

高性能で美しいCal.9SA4には、グランセイコーの”手巻き愛“がギュッと詰まっているのだ。

左は新作のSLGW005、右はオリジナルの45GS。サイズ感やディテールは現代的にアップデートされているものの、コンセプトは確実に踏襲されているのが分かる。

秀逸な10振動の手巻きムーブメントCal.9SA4を搭載したヘリテージコレクション 45GS 復刻デザイン限定モデルは、オリジンと比較してどのような進化を遂げているのだろうか?

「グランドセイコーにおける10振動モデルの象徴として45GSを復刻させるわけですから、デザインは基本的にオリジンに忠実である必要があります。グランドセイコースタイルに則った平面と稜線を利かせたケースデザインはその典型でしょう。ただしサイズ感はオリジンに固執せず、現代的に進化させました。そもそもケース径はキャリバーサイズに関係する部分なので、オリジンよりも2.3㎜大きくなっています。しかしそれでも38.8㎜径という小ぶりなサイズに収めたのは、オリジンの45GSが44GSよりも小型だったという関係性を意識してのことです。現在の44GSモデルの多くは40㎜径なので、それよりも小さくしています」(江頭氏)

ダイヤルデザインはオリジンに合わせてシンプルに徹しつつ、やや上面が黒色であったインデックスと針は、現在のグランドセイコーのデザインコードと異なるので採用せず、またケースバックもシースルーへと変更している。しかしなによりも目に留まるのは、12時位置のSEIKOロゴだろう。

「45GSらしさを表現するために、変えるべきでない箇所はしっかり残しました。グランドセイコーは2017年に独立ブランドとなって以降、12時位置にはGrand Seikoと入るようになりましたが、それでは復刻モデルには見えません。だからあえてSEIKOロゴを掲げたのです。それが自然なことですから」(江頭氏)

左がオリジナル、右が新作のSLGW005。

アクセサリー的に時計を楽しむ流れがある一方で、これ見よがしではないクワイエット・ラグジュアリーな時計が評価され始めている。細部まで美しくまとめられ、時計としてのスペックに優れる「ヘリテージコレクション 45GS 復刻デザイン限定モデル」は、まさにそういう価値をもっており、グランドセイコーをさらなる高みへと押し上げることだろう。

ブルガリ アルミニウム GMT フェンダー® 限定モデル

ブルガリが世界的楽器メーカーであるフェンダーとコラボレーションしたブルガリ アルミニウム GMT フェンダー® 限定モデルを発表した。本作はフェンダーを象徴するギター、ストラトキャスターの誕生70周年を記念し、ブルガリのアルミニウム GMTをベースに作られたスペシャルピースだ。

ブルガリスーパーコピー代金引換を激安お客様に提供します アルミニウム GMT フェンダー® 限定モデルは、70年前の1956年に誕生したストラトキャスターをオマージュし、このアイコニックな楽器にインスパイアされたディテールやオリジナルカラーを採用している。印象的なフェンダーのシグネチャーであるラッカーフィニッシュにちなんだブラウンクリームのグラデーションダイヤルに始まり、ダークブラウンのラバーベゼル、ギターにも採用されているダークブラウン&クリーミーホワイトカラーを取り入れたセカンドタイムゾーン表示(上半分の18時から6時までがダークブラウン、下半分の6時から18時がクリーミーホワイト)、そしてギターのフレット(ギターネックの上に設けられている金属製の横線パーツ)をイメージしたロジウムメッキの鏡面インデックスと針など、ストラトキャスターをほうふつとさせるディテールを随所に宿す。

本作は単独可動のGMT針による“コーラー”タイプGMT。ベゼルは固定式で、リューズによりGMT針を動かして2タイムゾーン表示をさせるシンプルな機能だが、それゆえ操作も簡単で扱いやすい。

DLCコーティングを施したチタン製ケースバックには“Fender®”の文字があしらわれている。そして一見レギュラーコレクションと同じように見えるアルミニウムリンクを持つラバー製ブレスレットは、ピンバックルではなく最適なフィット感が得られるベルクロストラップを採用している。一方、ケース内部にはレギュラーコレクションと同様、固定式の24時間スケールと単独可動のGMT針による2タイムゾーン表示、いわゆる“コーラー”タイプのGMT表示機能を備えたCal.B192を搭載する。

なお、本作は世界1200本限定だが、時計本体に加えてアイコニックなギターケースにインスパイアされた特注ウォッチケース、さらにストラトキャスターの70年の歴史をたどる冊子がセットになった140個の限定パッケージ版はブルガリの公式サイトにて8月30日(金)から先行販売を開始した。こちらはすでに販売終了となっているが、冊子のつかない通常版(商品、スペシャルボックスに関してはEC先行分と同じ仕様)は2024年10月より店頭で発売予定とのことなのでご安心を。価格は66万円(税込)だ。

ファースト・インプレッション

このブルガリ アルミニウム GMT フェンダー® 限定モデルのベースは2021年に登場したアルミニウム GMTだ。搭載ムーブメントはCal. B192で、サイズなども変わらず、スペックはレギュラーコレクションと同じため、本稿では特に触れない(スペックやGMT機能についてはこちらの記事で紹介している)。本作において語るべきは外装の違いにつきる。

最大の見どころはダイヤルだ。レギュラーコレクションには青赤のセカンドタイムゾーン表示を持つブルーラバーモデル、黒赤表示を持つブラックラバーモデルの2種類があるが、どちらもダイヤルは表面を少し荒らしたマット仕上げ。一方、本作のダイヤルはストラトキャスターにインスパイアされたブラウンクリームのグラデーションカラーを採用しているのは紹介したとおりだが、そのギターのように表面にラッカーフィニッシュが施された艶のある質感を備えているのが特徴だ。また針やインデックスもレギュラーモデルは全体の仕上げに合わせてマット調だが、本作ではロジウムメッキの鏡面仕上げでやはり艶のある質感を持つ。どちらかといえばスポーティでカジュアルな雰囲気が強いレギュラーコレクションと比べると、この限定モデルは少しドレッシーな印象がプラスされておりシックなモデルに仕上がっている。

アルミニウム GMTは季節を問わずつけられる時計だが、レギュラーコレクションに対する個人的な感想としては夏の装いに爽やかなアクセントとしてつけるのにぴったりなイメージがあった。一方、本作はその色合い的にスエードのジャケットやフランネル素材のセットアップやスーツなど、どちらかといえばこれから迎える秋冬の装いにこそ映えそうな印象が強い。

そして本作において感心したのはベルクロストラップの採用だ。ダークブラウン&クリーミーホワイトカラー、そしてグロッシーなダイヤルなどともすればドレス感が強いディテールなのだが、ベルクロストラップを合わせたことでブルガリ アルミニウムが持つ、スポーティでカジュアルなイメージから逸脱することなくバランスよく留まっているように筆者には感じられた。

強いて気になる点を挙げるとするなら、価格だろうか。レギュラーコレクションは56万6500円であるのに対し、この限定モデルは66万円(ともに税込)で10万円ほどの価格差があるのだ。同スペックのバリエーションモデルという見方からすれば、やや高く感じるかもしれない。

だが、チャンスがあればぜひ店頭で見比べてみて欲しい。このアルミニウム GMT フェンダー® 限定モデルに魅力を感じたのなら、おそらくレギュラーコレクションと迷うことはないだろうと筆者は思っている。なぜならスペックは同じかもしれないが、この限定モデルが持つディテールにはレギュラーコレクションでは代替できない、この時計だけの魅力があるからだ。

基本情報
ブランド:ブルガリ(BVLGARI)
モデル名:アルミニウム GMT フェンダー® 限定モデル(Aluminium GMT × Fender® Limited Edition)
型番:104117

直径:40mm
ケース素材: アルミニウム(ベゼルはブルガリ・ブルガリロゴのダブルエングレービングを施したブラウンのラバー製、リューズとケースバックはDLCコーティングを施したチタン製)
文字盤色: ブラウン‐クリームのグラデーション
インデックス: バー(6と12はアラビア数字)
夜光: 時・分針、インデックス、セカンドタイムゾーン24時間目盛り、GMT針にスーパールミノバ®
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット:ブラウンのラバー製ブレスレット×アルミニウム製リンク&バックル付きベルクロ製ストラップ
追加情報:チタン製ケースバックに「Fender®」ロゴ

ムーブメント情報
キャリバー:B192
機能:時・分表示、センターセコンド、3時位置に日付表示、センターにGMT表示針
直径:26.2mm
厚さ:4.1mm
パワーリザーブ:約42時間
巻き上げ方式:自動巻き
振動数:2万8800振動/時
石数:25石
クロノメーター認定: なし

価格 & 発売時期
価格:66万円(税込)
発売時期:スペシャルセット140本分は8/30〜31の2日間のみEC上で先行購入受付。また冊子のつかない通常版(商品、スペシャルボックスに関してはEC先行分と同じ仕様)は10月より店頭でも発売予定
限定:世界限定1200本(8/30〜31の2日間のみ発売のスペシャルセットは140本限定)