テスト運用でのチェックポイント

基本設定の確認と管理作業の練習は時間をかけて入念に。
使わない機能でも本格運用する前に試しておこう。


 メーリングリスト開設サービスに申し込んだり、独自でメーリングリスト管理ソフトをインストールしてメーリングリストの初期設定をすませたところで、まずは目的のメーリングリストを準備できました。しかし、これですぐに本格運用を開始してはいけません。入念にシステムチェックをしたり、マニュアルを見ながらメーリングリストの管理操作を練習するのを怠ってはなりません。

 本格的に運用を開始した後からシステム設定や管理操作を覚えるのでは運営に支障をきたします。まずはテスト運用をして管理者自身がメーリングリストに慣れるところからはじめましょう。

メーリングリスト開設完了通知は大切に保管

 書類、メール、ブラウザ上、いずれの場合でも、メーリングリスト開設申請の後に送られてくる完了通知には、申請内容の写しのほか、メーリングリストに関する問い合わせ先やヘルプなどの入手方法、有料の場合は利用期間が明記されています。事務管理に重要な情報ばかりですので大切に保管し、いつでも参照できるようにしておきましょう。

基本設定の確認

 メーリングリストの仕様が開設申請の時に記入した内容通りか、まずは時間をかけて確認します。特に、メーリングリスト用のアドレスや、配送方式といった基本内容はしっかりチェックしておきましょう。

● メーリングリストの名称
 事務手続きとは別に、まずは自分が開設したいメーリングリストの名称を確認しておきましょう。メーリングリスト開設サービスを利用しているときは、手続き時に送られてくるメールを参照して、名称が間違っていないか目を通しておきます。不備や記載ミスがあれば管理ページから訂正してください。

● メーリングリスト用の各種専用メールアドレスの確認
 開設時に付与されるメーリングリスト専用のメールアドレスを確認しておくのは重要です。申請したメールアドレスと相違ないか必ず確認してください。メーリングリスト専用のメールアドレスは基本的に3種類あります。

  1. メーリングリストへメールを送るためのアドレス
  2. コマンド処理を受け付けるアドレス
  3. 管理人連絡先のアドレス
※ メーリングリストのサービス会社によってはコマンドメールのアドレスが付与されない場合があります。

● 管理人連絡先メールアドレスの転送先確認
 前述の管理人連絡先のアドレスは転送用メールアドレスとして付与されます。転送先のメールアドレスが自分が使っているメールアドレスであるか必ず確認してください。転送先が間違っていると、メーリングリストへの緊急連絡の際に音信不通となり運営に支障を来します。こちらも不備があればすぐに訂正手続きをとってください。

● 外部からの投稿許可設定
 メーリングリストに登録されていないメールアドレスからのメールも配送を許可しているか確認しておきます。通常は、外部からのメール送信は受け付けないようになっています。スパムメール対策や部外者からの不届きな送信を防ぐためにも、外部からのメールは受け付けないようにするのが基本です。

● メール配送方式の確認
 メールの配送方式の確認も忘れずにしておきましょう。通常の、一通ずつ即時配送する方式のほか、管理人が配送前にチェックできるモデレート配送、メールマガジンのように管理者だけが配送できる方式など、ご自身が希望している設定になっているか確かめます。通常、初期設定は登録アドレスであれば管理人がチェックせずに即時配送される方式になっています。複雑な配送設定をしたい場合は、きちんとチェックしておきましょう。

● アーカイブ設定
 配送メールを保存したいときは、保存設定ができているか確認しておきます。メーリングリスト開設サービスを利用する際は、初期設定で保存されるようになっていますが、メーリングリスト管理ソフトを使っている場合は設定ファイルを必ず確認しておきましょう。

● 登録・脱退の方法
 メールアドレスの登録・脱退を自動で行うか、管理人が手動で行う方式を確認しておきます。自動で行うときは、入会希望者が登録確認をするためのメールを配送する確認方式か、確認をせずに一回の手続きで即登録にする方式かも調べておきましょう。自動設定にするときは、なりすましによる登録を避けるため前者の設定をおすすめします。

● 登録アドレスの上限
 メーリングリスト開設サービスによっては、登録できるメールアドレスの数に上限があります。希望のプラン通りになっているか確認しておいてください。

● HTMLメールのフィルタリング
 メーリングリストでは基本的にHTML形式のメールを送らないようにしています。テキスト形式のメールのみを受け付けるか、HTMLの部分を自動的に削除して配送するようにメーリングリストの設定をしておきます。携帯端末への配慮や、ウイルスメール対策としても重要です。

● 添付ファイルの配送拒否
 ウイルスを添付したメールをメーリングリストで配送されるのを防ぐため、添付ファイルつきのメールは配送前に受け付けないのが望ましいです。よほどの目的がない限り、添付ファイルを扱うメーリングリストは必要ありません。添付ファイルつきのメールは配送できないようにするのが得策です。写真や文書ファイルを添付してやりとりする特別なメーリングリストの場合は、添付メールを許可になっていることを確認してください。

● メーリングリストの公開・非公開
 メーリングリスト開設サービスを利用している場合は、そのサービスで提供されているメーリングスト検索用のデータベースに開設したメーリングリストが登録されます。公開メーリングリストであればそのままでかまいませんが、身内だけの非公開メーリングリストであれば人目に触れない方がよいです。メーリングリストを公開したくないときは、「非公開」に設定します。

● マニュアルやヘルプ情報の参照先確認
 いざメーリングリストの管理処理がわからなくなったとき、すぐに使い方を調べられるようにマニュアルの取り寄せや入手方法、関連ページのブックマークをしておきます。不測の事態に備えて今のうちに準備しておきましょう。業務用のソフトウェアを使っての運用の際は、開発元のサイトのブックマークは忘れずにするのが得策です。レンタルサーバーなどホスティングサービスを使っている場合は、サービス会社のサイトもブックマークするのを忘れずにしておきましょう。

● 利用料金の支払期日と更新期日対策
 有料メーリングリストやレンタルサーバーを使ってメーリングリストを運用する際は、利用料金の更新月を忘れずに覚えておきましょう。期日が近くなればメールで連絡が届きますが、予算を確保しておく必要もありますので、頭の中に入れておく方が望ましいです。学校や企業などのシステムを借用して運用する場合も、継続手続きの期日を忘れないように対策をとっておきましょう。

テスト運用で動作確認

 失敗しても影響のない練習ができるのは事前準備段階の今だけです。本格運用を始める前に、以下の点はじっくりテストするのがよいです。

● コマンドメールの送信練習
 メーリングリストをコマンドメールを使って管理する場合は、コマンドを使った処理は繰り返し練習してきちんと使いこなせるようにします。まずは、ヘルプファイルの取り寄せから始めるのがよいでしょう。適切なコマンドと送信先を明記してメールを送ってみてください。ブラウザを使った管理のみであればこの作業は不要ですが、もしコマンドメールの機能が備わっていれば、一度体験してみるのもよいです。

● 管理画面へのログイン
ブラウザを使ってウェブでメーリングリストを管理する際は専用の管理ページが用意されています。指定されたIDとパスワードを入力してログインしてみてください。ログインができたら、管理ページ全体を一覧し、どんな機能がどこに配置されているか見ておきましょう。いざ処理が必要になったときにどこにあるのかわからず戸惑わないようにしておくのが肝要です。なお、万が一のセキュリティ対策として、管理画面のログインパスワードの変更も練習しておきましょう。

● 登録・脱退
 管理作業の手始めはメールアドレスの登録と削除(脱退)です。まずは、自分のメールアドレスを使って通常の方法で試してみてください。すでにご自身のメールアドレスが登録されていれば、フリーメールアドレスなど別のメールアドレスを用意します。管理者宛に登録完了のメールが来れば完璧です。登録作業ができたらそのメールアドレスを通常の方法で脱退します。同様に処理完了のメールが届けば問題ありません。なお、管理人自身が手作業で登録・脱退手続きをするメーリングリストでは、この作業は不要です。

● 管理人による登録・強制退会
 管理作業で最も重要なのは、管理人によるメールアドレスの登録と削除処理です。手動で作業するメーリングリストではこれができなければ運用そのものが始まりません。また、運営してからは参加者から登録の削除やメールアドレスの変更を依頼されます。すみやかに処理ができるように練習しておきましょう。練習には、自分のアドレスを使って管理人による登録と削除を繰り返し試すのがよいです。実際に対象アドレスにどのような通知が送られてくるかも理解できます。

● 管理人アドレスへのテストメール
 付与されたメーリングリスト管理人宛の転送メールアドレスにテストメールを送信しておきましょう。指定した転送先にメールが送られてくるか確かめておくのは大切です。管理人宛の問い合わせメールが届かない事態にならないように確実にこなしておきましょう。

● メーリングリストへのテストメール
 可能であれば本格運用前にメーリングリストにテストメールを送信してみることをおすすめします。アーカイブのチェックや保存メールの削除の練習もあわせて行うとよいでしょう。通し番号を修正できない理由でテストメールを出せない場合は、一時的にメール配送方式をモデレートにして管理人宛に送られてくるようにします。正常に動いていることを確認できれば十分です。

● 登録リストの参照・取得
 エラーメールから該当アドレスを探し出したり、登録者の確認をしたいときに登録リストの参照は不可欠です。特にエラーメールを見てそのアドレスが実際に登録されているか調べる作業は規模が多くなるほど頻繁に生じます。どのようにして登録リストを取得できるか把握しておくのは大切です。コマンドメール、または管理ページから取得できるように練習しておきましょう。

● ブラックリストの登録テスト
 開設したメーリングリストのシステムに特定のメールアドレスを登録できないようにするブラックリスト機能があれば試しておくとよいです。スパムメールを流す目的での参加登録や、メーリングリスト内で問題行為を起こす人に対する強制退会措置に必要なときがあります。ご自身で複数のメールアドレスを所有していれば実験してみることをおすすめします。

● メーリングリスト情報の参照・編集
 メーリングリストの紹介文を訂正したり追記したいときがしばしばあります。コマンドまたは管理ページから編集できるように手順を習得しておきましょう。

付加機能も使ってみよう

 本格運用をはじめると、活発なメーリングリストほど管理人は事務的な管理作業に追われがちです。せっかくのメーリングリストも機能を十分に使いこなせず、一部だけを活用しているだけに留まります。そこで、今は使わないだろうという機能もテスト段階のこの時期に試してみるとよいでしょう。

● ダイジェスト配送のテスト
 ダイジェスト(まとめ送り)配送のできるメーリングリストを利用できる場合は、テストメールを送信する際にダイジェスト設定にしておくとよいです。いつ、どのような形式でダイジェストが配送されてくるかがわかります。本格的な運用をはじめると、ダイジェストは基本設定を操作する場合もありますので、使うか使わないかは別として今のうちに併用できるように設定しておくとよいでしょう。メーリングリスト開設サービスでの利用であれば、基本的に併用できるようになっています。

● 登録アドレスの配送方式変更
 メーリングリストによっては、登録されたアドレス一つ一つの配送方法を変更できる機能があります。たとえば、特定のアドレスに対して一通ずつ配送したり、ダイジェスト、ウェブでの閲覧を個別に設定できます。まずは自分のメールアドレスで変更設定を試してどのような結果になるか実験してみるといいでしょう。

● グループウェア機能
 機能の豊富なメーリングリストシステムでは、メール配送だけではなくスケジュールや共有フォルダといったグループウェアが用意されています。使いこなす予定はないと思ってもせっかくの機会なのでテストくらいの軽い気持ちで使ってみるとよいでしょう。スケジュール表に書き込んだり、共有フォルダを作ってみるなどしていると、便利さに活用してみたくなります。本格的に使いたいときは、フォルダやスケジュールを書き込める対象者の設定をして事前準備をしっかりしておきましょう。

● 出欠確認など携帯メーリングリスト独自の機能
 携帯電話用のメーリングリストでは、上記のグループウェアとは別に仲間内で使えるアンケートやイベントの出欠確認機能が用意されています。これらもいざ使おうとすると手間取るので最初のうちにテストで試しておくとよいでしょう。使い勝手がわかれば新規で作成してすぐに活用できます。携帯電話で操作するときはパケット代に注意しrて練習してください。携帯電話で管理作業をする場合は、最初のうちはパケット定額制を契約して経費を節約するのが得策です。

2002.8.27 更新 

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