管理者心得・はじめに

メーリングリスト内のトラブルにマニュアルはなし。
物事の本質をくみ取る力をつければ的確な判断力が身につく。


 メーリングリストを立ち上げ、参加者も続々増えて話が盛り上がってくると管理人を務めていて楽しくなってきます。そんな折、ふとした出来事から参加者の間でいざこざが起こったり、突如として楽しい盛り上がりをかき乱すような人が現れたりなど不測のトラブルが勃発します。
 この「管理者心得」では、こうしたトラブルが起きたとき管理者としてどのように対処すればよいか、ケース別に対策や心得を経験を元に紹介していきます。まずここでは、心構えとしておおまかに知っておくとよいものを挙げてみます。

● 人の集まる場ではトラブルが起きるのは宿命です
 楽しい話のできる場だけを夢見て、よいことづくめの青写真を描きながらメーリングリストを開設してしまうと、参加者間の予想もしないいざこざという現実をかいま見て大きなショックを味わいます。また、ネットワーク独特の文字によるコミュニケーションから生じる解釈の誤解が大きな波紋を引き起こす事態に、主催者として右往左往してしまうケースは少なくありません。さらに、著作権や名誉棄損など法律の絡む問題が生じれば、何をどうすればよいか知識不足から対処に苦慮してしまうこともあります。参加者間の争いが泥沼となれば、胃の痛い思いに、せっかく作ったメーリングリストを閉鎖してしまうといったケースもよく耳にします。
 メーリングリストは作ればいつでも平和、安泰で進行されるものではありません。それだけに進行役となる管理人は常に円滑な運営を維持し、特に人とのやり取りを注意深く見守る努力が必要なのです。人が集まるところ必ずトラブルあり、そして主催する立場となればそれを仲裁する仕事があるという認識をまずもって、管理人を務めなければなりません。メーリングリストはよいことばかりが続くバラ色の花園ではないのです。

● システムの操作をするだけが管理人の仕事ではありません
 「メーリングリストを管理する=ソフトの設定をする」とばかりに、やれ○○の設定を施せば何でも解決できると言ったコンピュータ操作だけが管理人の仕事と考えていてはメーリングリストは成り立ちません。特に、コンピュータ設定に詳しくとも、人との関わりを軽視したり疎遠な人がこういった錯覚に陥ります。人との関わり合いを機械的な設定だけで対処しても、それはあくまで物理的な制限を加えるだけで、人の心を考慮していないだけに必ずしも効果的な対策にはなりません。システム設定で機能を強化しても中身に目を向けなければ形ばかりのメーリングリストになり、肝心の話題の提供やメールの応酬による意見交換といったやり取りが乏しければ、参加者をがっかりさせてしまいます。大事なのはシステムの構築ではありません。心を通わせる場作りです。そのためには、コンピュータ操作ではなく、話題作りをして場を盛り上げ、時には管理人の意志を伝えたり人の間に入って言い分を聞くなど機械ではできない仕事を担う努力を忘れてはならないのです。心の通えるメーリングリストにはおのずと肌で感じるぬくもりが伝わってくるものです。メーリングリストの運営において、技術的な知識はシステムを運用する上で大切ではありますが、コンピュータやソフトの機能ばかりに頼るのではなく、人の心を大事にする努力を怠ってはなりません。

● 脱退依頼やエラーメールの処理は欠かさず即時対応を
 管理人は事務的な処理を地道にこなす習慣が必要です。参加者からメーリングリストを脱退したい旨のメールをもらっても長期間放置して処理しなければ相手にいらだちを与え、何より延々とメールが配送され続ければ、それこそ腹立たしい気持ちは限界にまで達します。万が一メーリングリストに苦情、暴言を吐かれても、それは管理人の不徳のいたすところです。人からの依頼は責任をもって速やかに処理するのは管理人として基本中の基本と心得ておいてください。また、メーリングリストを運営していると、配送エラーによる返送メールが必ず送られてきます。これも、放置していれば常にたまっていき自分のメールボックスを満杯にするだけでなく、サーバーにも負荷をかけます。エラーメールは処理しなければいつまでも送られてきます。内容を確認し、リスト削除など適切な処置を欠かさずこなすのも管理人としても大切な役目であることを自覚しておきます。これらはすべて管理人でないとできない仕事であることも忘れないでください。

● 世の中、自分とはタイプの異なる人が大勢います
 インターネットは人の集まり。そして、個性や生活習慣、育ちも千差万別です。ここで管理人として心得ておいてほしいことがあります。メーリングリストでは似た者同士、あるいは自分の都合の良い人だけが集まるのではないことを心にとどめておいてください。メーリングリストを運営していくと遭遇するケースとして、何らかの生活環境あるいは境遇のために、メーリングリストに人のよりどころを求めて参加してくる人を見かけるようになります。そのとき、ごく希に見知らぬ人との接し方を体得するきっかけをもち得なかった人がいます。しきりに仲間を作ろうとメーリングリストに投稿をするのですが、無作法な振舞いから他の参加者に不満を募らせ、いつしか爆発して険悪な雰囲気を作ってしまう事件が生じるときがあるのです。もちろん、悪気があってやっているのでないのですが、他の参加者や管理人自らもその行動にどうしても偏見をもち、相手を理解できないときがあります。後になってなるほどと思っても後の祭りというケースは往々にあります。このように、管理人は自分の都合や固定概念だけで人を判断せず、柔軟なとらえかたで参加者を見守る手腕が必要になります。

● 人の心の奥をかいま見るときもあります
 ネットワークでのコミュニケーションは顔が見えないため外面を気にする必要がなくなります。ということは、人の内面すなわち心の中に秘めたものが前面に出るようになります。人前に表情を見せないため、感情や思っていることをストレートに表現してしまうのです。よく、ネットワークでは本音のぶつかり合いといわれるのはこういった背景があるためと言えるでしょう。
 しかしながら、この性質には恐いものもあります。たとえば、普段は内向的で消極的な人でも、外面を気にしないとなると心に秘めていたものを露骨に表したりします。またネットワークの匿名性から、束縛されていたものから解放され突如として凶暴性を表したり執ような悪意を働かせるなど、心の中にある闇の部分をおもむろに出してしまうケースがあります。ネットストーカーもその一種です。さらに、日常生活で何らかのコンプレックスを抱いた人が、胸に秘めている不満や主張を大勢の人に押しつけてしまったために、以心伝心がうまくいかず、全体の雰囲気を悪くさせてしまう事態があります。メーリングリストでも、自分の要求が満たされなかったり、あるいは人から評価されない自分をコントロールできず、急になりふり構わぬ態度や凶暴性を表す人のせいで、収拾のつかない事態を招くケースがあります。これは、管理人にとって最も頭の痛い難問で、対処に苦慮します。見えない人同士のやり取りは、人の持つ野心や負の心も見えるため、時として予測もできない修羅場をかいくぐる経験をするかもしれないことを忘れないでください。これもネットワークコミュニケーションの一面なのです。

● 文章による意志伝達や説得力が要求されます
 主催者として人を引っ張っていくやり方は日常生活とネットワークでは大きく異なる点があります。“ネットワークではすべて文章で意志を表し、人を説得しなければなりません。”この点が大きな違いです。
 日常生活でリーダーシップをとって活動するときは、自らが行動で示したり、相手の表情や姿勢を見ながら対応を考えます。そして、時には強い調子で、あるいはやさしく接したり、目で訴えたり、実力行使で取り組むなど、相手を見て状況判断し、体を張った行動がとれます。ところが、ネットワークでは顔の表情も見えなければ相手自身も見えないだけに、体で訴える術がまったくありません。メーリングリストでは、画面に表示される文字以外に形として表されるものが何もありません。それゆえ、頭の中で考えているものを文字として訴えていかなけれなならないのです。
 メーリングリストの管理人としてトラブルの仲裁をするときも、厳しい姿勢をとったり、参加者にポリシーを周知したり、そして人を説得するためには、顔や体で普段表現しているものをうまく文面に盛り込む技術が必要になってきます。それゆえ、強い調子や柔らかい口調、敬意を表するものなど、いろいろな表現を習得する必要があります。いかに自分の言いたいことを参加者に理解してもらえるような説得力ある文面を書けるようになるか、そのワザを身につけるよう心がけます。文章による表現能力はネットワーク上で人を募って主催する際に重要な技量です。文章での説得は経験がものを言いますが、何事も体当たりで望み、そのときに得たものを蓄積していくと自然と身についてきます。

 具体的な対策については各項にて説明しますが、ここで特筆しておきたいのは

という点です。人との関わりは決まり切ったマニュアルのようなやり方では処理できません。常にケースバイケースです。やり方が載っていないからわからないといったような、まるで教科書や問題集を開いて答えを探すような方法ではまず無理です。状況判断を元に、人との関わりで自分が日常生活で身につけたものや体験した教訓を生かすなど、体で覚えたものが力を発揮します。そして、それを文章で表しリーダーシップを発揮することになります。
 「管理者心得」では、実際の経験を元にした内容を盛り込みながら解説していきますが、これで万事解決できるとは限りません。あくまで、ひとつの参考として問題解決の材料として活用していただければ幸いです。システムの設定ばかりこだわるのではなく、人の心を理解する努力をもつよう心がけるのが、人から信頼のもてる管理人になるための大事な要素です。

2003.4.3 更新 

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