簡易メーリングリストを作る一番簡単な方法。
メールの転送機能だけなのでセキュリティには注意が必要。
FreeBSDやLinuxなどUNIXを使ったメールサーバーでは、メール配送プログラム(MTA)としてsendmailが広く使われています。sendmailには、メールのエイリアスという機能があります。エイリアスとは別名という意味で、簡単に言えば転送メール設定と同じ役割を果たします。たとえば、サイト管理者やシステム管理者宛の連絡用として、webmasterやadmin, infoといった命名のアドレスをよく見かけますが、これらはエイリアスを使った典型例です。これらのアドレスにメールを送ると、メールはエイリアスに指定したメールアドレスの人に自動転送されます。エイリアスを使えば、わざわざユーザーアカウントをを新規作成しなくてすむだけでなく、担当者が変わればエイリアスの記述を書き換えるだけで引き継ぎができるので効率的です。さらに便利なのは、エイリアスは複数のメールアドレスを記述できるのです。この複数指定を応用すると簡易メーリングリストが構築できるのです。
エイリアスの機能は、メーリングリストサーバー構築の基本原理となっています。Majordomo, fml, CMLなどUNIXベースのメーリングリスト管理ソフトでは、エイリアスを通じてメールを取り込み、配送作業やメンバー登録や保守処理、メール保存などを行っています。つまり、エイリアスの機能を専用のソフトを使って強化したのがメーリングリストサーバーなのです。エイリアスなくしてメーリングリストは作れずと言ってよいでしょう。
エイリアスの設定は一般の人は書き換えができません。管理者権限(root)が必要です。したがって、エイリアスを使ったメーリングリストを作るには管理者権限をもっている人に依頼して設定してもらわなくてはなりません。
<注意点>
エイリアスは単なる転送設定だけなので、メーリングリスト管理ソフトのような高度な機能は何も有していません。転送指定したアドレス以外からのメールでも配送されます。また、転送先にメールが配送されなかった場合、エラーメールも全員に行き渡ります。当然、ウイルスメールが流れた場合も同様となります。セキュリティとエイリアスで指定したメールアドレスの管理だけは徹底してください。
エイリアスだけの簡易メーリングリストは、社内での業務連絡用として最大10人程度の規模で運用するのが望ましいです。それ以上の規模では、メーリングリスト管理ソフトを使った運用をすすめます。