エイリアスの設定とML開設
/etc/aliasesファイルにML用のエイリアスを追加する。
アドレスを直接記述する方法とリストファイルを指定する方法がある。
sendmailのエイリアスを使ってメーリングリストを作るのは至って簡単です。管理者権限を使って、エイリアス設定を記述するための/etc/aliasesファイルにメーリングリスト用のエイリアスを追加した後、newaliasesコマンドを実行するだけです。
<エイリアスの書式>
エイリアスが記述されているファイルを見てみましょう。見るだけなら管理者権限になる必要はありません。/etcディレクトリにあるaliasesというファイルをviエディタで開くときは次のようにします。
すると、例えば次のような書式の記述が見つかります。
これらは次の書式に対応しています。
上の例では、「infoという名前のメールが届いたらtaroさんへ転送しなさい」という意味になります。転送先は複数のメールアドレスを指定できます。また、外部の人のメールアドレスも転送先として扱えます。
info: taro,hanako,ichiro
admin: hanako, suzuki@abc.ne.jp
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エイリアスを利用したメーリングリストの設定をしてみましょう。
<エイリアスを使ったメーリングリストの設定>
エイリアスを使ったメーリングリストの設定は二種類あります。ひとつは/etc/aliasesに直接メールアドレスを記述する方法で、もうひとつは/etc/aliasesにメールアドレスを記述したリストファイルの格納先を指定する方法です。手順はどちらも同じで
- 管理者権限の状態にする。
- エディタで/etc/aliasesを開く。
- エイリアスを追加してエディタを保存終了する。
- newaliasesコマンドを実行する。
だけです。
● 直接アドレスを記述する方法
例として、renraku-mlというメーリングリストを作ります。管理者権限になり、viを使ってaliasファイルを読み込みます。
aliasファイルに次のように書き込みます。記述する行はどこでもよいですが、探しやすい場所がよいでしょう。扇動に「#メーリングリスト名」のように、コメント行をつけ加えておくとわかりやすくなります。
# renraku-ml
renraku-ml: taro,hanako,ichiro@abc.ne.jp,suzuki@def.co.jp
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記述するメールアドレスは誤記のないよう注意してください。配送エラーになると全員にエラーの通知が送られてしまいます。確認できたら保存してエディタを終了します。
最後にエイリアスの更新を行います。更新するにはnewaliasesコマンドを実行します。
このコマンドを実行しないとせっかく設定した項目が反映されませんので忘れないようにしてください。正常に更新されればそのメッセージが表示されます。記述に間違いがあるとエラーメッセージが表示されますので、再度エディタを起動して内容を確認します。
以上でメーリングリストの設定は終了です。少人数でメンバー変更の少ないメーリングリストであればこれで十分です。なお、メールアドレスは、renraku-ml@(サーバーのドメイン名)です。外部の人を含めたときはメーリングリストのアドレスを忘れずに知らせましょう。
● リストファイルを指定する方法
前期の方法では、登録アドレスを追加・削除するたびに/etc/aliasesを書き換えなければなりません。頻繁に登録アドレスが変更になるときは管理権限で作業しなければならず面倒です。
エイリアスには、転送先のアドレスの他にリストファイルを指定することができます。この方法では、リストのファイルに記載されたアドレスがエイリアスの転送先となります。リストファイルはどの場所に置いてもよいので、自分のホームディレクトリにリストファイルを置いておけば管理者権限を使わずともメールアドレスの追加・削除が簡単にできます。もし自分が管理者権限をもっていなくても、この方法なら最初の設定作業だけ管理者にしてもらい、メーリングリストの登録作業は自分でできるので便利です。
メーリングリストのアドレスをrenraku-ml、自分のホームディレクトリを/home/taro、リストファイルの名前をrenrakuとした場合を例に設定をしていきます。手順は同じで、/etc/aliasesを管理者権限で開きます。そして、エイリアスを次のように記述します。
# renraku-ml
renraku-ml: :include:/home/taro/renraku-ml
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リストファイルを指定したエイリアスの書誌は次のようになります。
エイリアス: :include:(リストの格納先)
エイリアスの次に「:include:」とつけ、続けてリストファイルの場所をフルパスで指定しファイル名を記述します。
/etc/aliasesの記述が終わったら保存・終了して、忘れずにnewaliasesコマンドで更新をします。
管理者権限での作業はこれで終了なので、rootを抜けます。そして、先ほど指定したディレクトリにリストファイルを作成します。
#exit
%cd /home/taro
%vi renraku-ml
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リストにメールアドレスを記述するときは次のようにします。
taro
hanako
suzuki@abc.ne.jp
ichiro@def.co.jp
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登録したいメールアドレスを書き終えたらエディタを保存・終了します。メールアドレスの変更作業を自分のみにしたいときは、次のようにパーミッションの設定をしてください。
これで設定は完了です。あとは、メールアドレスの変更があれば随時renraku-mlの内容を書き換えます。もちろん、自分自身で作業できます。
少人数ながら、メンバーが固定されないメーリングリストを作りたいときはこの方法での運用が最適です。
<ML管理者用のエイリアスも作ってみよう>
エイリアスの使い方を習得したので、開設したメーリングリストの管理人連絡先のアドレスも設定しておきましょう。Majordomoやfmlでメーリングリストを開設するときも、同様の方法で連絡用のアドレスを設定しています。
管理人連絡用のアドレスの命名方法として、次のような名前が一般的です。
owner-(ML名)@(ドメイン)
(ML名)-owner@(ドメイン)
どちらか一方よりも、誤記対策として両方作るのがよいです。owner以外に
admin-(ML名)@(ドメイン)
(ML名)-admin@(ドメイン)
という命名をする場合もあります。ownerの方が一般的です。そこで、renraku-mlの管理人転送先をtaroとして、次のように設定します。
owner-renraku-ml: taro
renraku-ml-owner: owner-renraku-ml
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renraku-ml-ownerの転送先をowner-renraku-mlにすると、最終的な転送先はtaroになります。こう記述すると、owner-renraku-mlの転送先を変更するだけで作業が済むので便利です。最後にnewaliasesを実行して完了です。
ここではメーリングリストに特化した説明をしましたが、ウェブサイトの連絡先として使われるwww-adminやinfo, webmasterといったアドレスにエイリアスによる担当者転送の利用は大変便利です。業務の効率化にエイリアスを活用するとよいでしょう。
2003.4.3 更新
「メーリングリスト開設の手引き」
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