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江戸川駄筆のサッカー日誌
2000-2001/第16節

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1月24日(水)11:25 p.m.
BGM/ Terumasa Hino "New York Times"

 おかしな夢を見た。舞台は我が家の居間。そこに来客が2人。1人は日本サッカー協会の岡野俊一郎会長である。そしてもう1人は、あろうことか加茂周元監督であった。やけにディテールが鮮明な夢で、岡野会長はグレーの背広姿。ダイニングテーブルで貧相な横顔を見せながら羊羹をぼそぼそ食べている。一方の加茂さんは、上下とも黒っぽいジャージ姿だ。俺は居間の隅で膝を抱えて、2人の来客と一緒にテレビで欧州選手権を見ている。ときおり加茂さんが不機嫌そうな口調で、「この解説者は誰ですか」などとブツブツ言うが、岡野会長は黙ったまま。やがてテレビの画面は唐突にラグビーW杯に切り替わり、そこではなぜか単独チームで参加しているトヨタが優勝してウイニングランをしているのであった。夢でもなけりゃ想像もできない光景である。何だろう、これは。何かの暗示なのか。そういえばシドニー五輪直前に見た夢は(覚えてないが寝言から推測するに)、中田のPK外しを暗示する予知夢だった。では、これは一体。言うまでもなく、ジャージは「現場」の象徴であろう。それに身を包んだ加茂さんが、代表監督の人事権を握るサッカー協会会長と連れ添っている。ということは、まさか、そんなバカな……。悪夢としか言いようがない。

*

 急遽「こっちを先に」と頼まれた仕事の口述速記と参考資料を読み終えた。とっても面白かった。どんな仕事も、ここまでは面白い。これで一件落着にできたら、どんなにいい商売だろうと思う。しかし資料を読み終えた以上は、書かねばならぬのであった。2月末日までに、400字換算でおよそ400枚。16万字。biteでいうと……よくわからない。1文字ごとに石を積み上げていったら、たぶんエベレストより高くなると思う。石の寸法にもよるが。気分としてはそんな感じ。ともかく憂鬱な分量である。この分量だけは、何年やっていても慣れるということがない。だから原稿の書き始めというのは、いつも憂鬱だ。憂鬱だから、「長い仕事には長い助走が必要だ」とか「まだ影武者(ゴースト)としての役作りができていない」などと言語明瞭意味不明瞭な自己弁護をしつつ、ぐずぐずする。ぐずぐずするから時間ばかりが過ぎ、原稿は少しも進まない。担当編集者には、「1章ができたら送ります」などと言ってある。その1章が、いつまでたっても出来上がらない。「待ってるだろうなー」と思う。待たせていると思うから、焦る。焦るから、頭の中がまとまらない。まとまらないから、書けない。書けないから、ますます憂鬱になる。そんな毎日。つくづく自分が酒飲みでなくてよかったと思う。酒に逃避していたら、とっくに廃人になっていることだろう。そういえば昔、女性誌の編集をしていた頃、Tさんという腕利きの酒乱レイアウトマンがいた。しばしば飲んだくれて仕事を放棄し、編集作業に甚大な迷惑を及ぼすのだが、それでもTさんがいないと雑誌ができないのでクビにはならない。クビにならないどころか、みんなTさんを尊敬している。Tさんの酒は、それこそ「リバウドの右足」だったのだ。だから、どんなに迷惑をかけられても目をつぶる。暗黙の信頼関係である。「男気」という接着剤がまだ辛うじて機能していた職人の時代だったのかな、とも思う。パソコンいじれなきゃデザイナーやってらんない昨今、Tさんはどうしているのだろうか。Tさんが定規と鉛筆と赤ペンで描いた美しいレイアウト用紙を初めて見たときの感動はいまでも忘れない。

 しかし、人のことを心配してられる立場ではないのであった。迷惑をかけても干されない人はいるけれど、それは「代わりがいない」場合にかぎられる。事実、今回急に「これを先に」と頼まれたのも、別のライターが途中まで書いて「だめ」を出されたからなのである。「しょうがねぇから江戸川にやらせよう」というわけで、似たようなケースはこれまでにも何度かあった。いわばピンチヒッターである。急に「書き直してくれ」と言われて、10日間で500枚書かされたこともあった。比喩ではなく本当に死にそうになったが、それはそれで信用されている証拠だから悪い気はしない。だが同時に「明日は我が身」だと思い知らされる。ライターの代わりなんて、掃いて捨てるほどいるのである。だから俺は「使い捨てライター」という言葉が嫌いだ。「百円ライター」はもっとイヤだけど。ページ単価百円じゃあなぁ。「三文作家」と「百円ライター」はどっちがより値打ちがあるのか。三文って円に換算するといくらだ。あ、一文字百円ならノー文句だぜベイビー。原稿を書きながらレジ打ってるような気分になりそうだが。

 そんなことはともかくとして、なにしろ「明日は我が身」なんである。で、あるからして、ぐずぐずしてないで書かなきゃいけない。話はそこに戻る。しかし前任者が「だめ」を出されたとなると、こっちにかかるプレッシャーもでかいのであった。そのボツ原稿もちらりと読ませてもらったが、たしかに「だめ」だとは思うものの、何がどう「だめ」なのかとなると、具体的には説明できない。だからその反省に基づいて傾向と対策を立てることもできないわけで、要は自分のやり方でやるしかないのである。なのに、「なぜ前任者はだめな原稿を書いてしまったのか」などと余計なことを考えてしまう。そんなことに時間を浪費した挙げ句、ただただプレッシャーだけが残るのだから困ったものだ。もちろん、その編集部とはこれまでにも何冊か仕事をしており、それがオーケーだったから今回も依頼されたわけで、過去の仕事と同じように書けば何の問題もないのであるが、その「同じように書く」が曲者だったりもする。テーマも著者も異なる単行本を「同じように」書けるかというと、事はそう簡単ではない。本は一冊一冊みんな違う商品だから、共通のマニュアルや設計図はないんである。常に最初から最後まで試行錯誤。あーでもない、こーでもないを積み重ねているうちに、気がつくと何となく出来上がっている。しかも、その「あーでもない、こーでもない」がきわめて孤独な作業だから憂鬱なのである。孤独だから、何かに依存しようとする。あらゆる依存症は孤独が生むものであるらしい。それが俺の場合、酒ではなくウェブ日誌というコミュニケーション・ツールなのであった。こんな愚痴(というか弱音)を読まされたほうはたまったもんじゃないと思うが、そんなわけだから堪忍してくれ。以上、『江戸川版・それでもゴーストライターになりたい貴方へ(仮題)』でした。そんな奴いねーか。ともあれ、今回の「助走(=ぐずぐず)」はこれでお終い。「代打の代打」を告げられないよう、コツコツと石を積むべし。テーマは「ピラミッド」だし。積んで積んで積みまくれ。

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 ペルージャ×ユベントス(セリエ第15節)を見る。0-1でユーベ。ふだんなら「またイチゼロかい」と悪態をつくところだが、その1点があまりにもすばらしかったから許す。すばやいカウンターからフィールド中央を全力疾走ドリブルで突進したダビッツが、その左を同じく全力疾走で駆け上がっていたピッポに絶妙のタイミングでラストパス。パサーも受け手もトップスピードで完璧なボール扱いを見せるという、さながら4×100mリレーのバトンタッチのようなプレイであった。これをピッポがきっちり決める。彼の決定力を支えている執念と集中力は並じゃない。そこには、ほとんど「生きるか死ぬか」レベルの覚悟と決意があるように見えるのであった。

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 ミラン×ローマ(セリエ第15節)を観戦。ミランはフィオ戦の惨敗で危機感が極限に達しているだけに、ローマとしては悪い時期に当たったといえよう。ザッケローニはビアホフの代わりにホセマリを起用。さらに守備時には左サイドのココがDFラインに入って4バックになるというプライドを捨てた布陣で、カフーを止めにかかっていた。選手の動きもすばらしく、ビアホフがいないせいか縦横無尽な前線がローマ守備陣を翻弄。早々にレオナルドのFKで先制すると、さらにアルベルティーニのラストパスに反応したシェフチェンコが冷静に決めて2-0とした。お間抜けザーゴが1人だけ後ろに残っていたために、ローマはオフサイドを取り損ねたのであった。いいぞいいぞ。ミランを応援するのは生まれて初めてである。その後、トッティのロングシュートがマルディーニの腕に当たってコースが変わり、2-1。しかしミランは前半終了間際、左サイドを深くえぐったセルジーニョのクロスにシェフチェンコが飛び込んで3-1とした。その後の経緯(トッティのPKで3-2)は知っていたので、前半だけ見て寝る。ローマは、手術するかしないかで悩んでいるバティがいかにも体調悪そうで、らしくないシュートミスを連発。おまけに2人のブラジル人CBが、こちらは「らしい」ポカをやらかし始めた。「調子悪いときのブラジルを見てるみたい」とは愚妻の弁。このゲームが、ローマ時代の「終わりの始まり」と見た。



1月23日(火)12:30 p.m.
BGM/ Naoya Matsuoka & Wesing "SON"

 バジャドリ×レアル・マドリー(リーガ第19節)を観戦。CLでラツィオに奇跡が起こるためには、マドリーが下降線をたどってくれないと困るので、画面に向かって「ダメダメ光線」を送りながら。なんだよダメダメ光線って。その甲斐あってか、早い時間にバジャドリが先制。しかし前半ロスタイムにロベカルのFKがバジャドリDFに当たってゴールインしてしまったのであった。こういうところが、このチームはしぶとい。さらに後半早々、モリエンテスのゴールでマドリーが勝ち越し。やっぱ強ええなあと溜息が出たが、終盤に疑惑のPKをもらったバジャドリが追いついて2-2のドローであった。マドリーにとっては、とってもイヤな形の連勝ストップだといえよう。それぐらいで落ち込む連中じゃないとは思うが。終了間際、カシージャスのファインプレイで阻まれたシュートが入ってればなぁ。ちなみに撃ったのはカビエデスだ。そういやそんな奴もいたっけね。イタリアで種付けした子供は、ちゃんと認知したんだろうか。

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 バレンシア×バルセロナ(リーガ第19節)を観戦。途中から見たときには、すでにフランク・デ・ブールのゴールで0-1になっていた。よって、スーパー予言者K氏がその前にどんな予言をしていたのかは確認できず。しかしその後にも、例の「予習疑惑」を深めさせるコメントはあった。ゴールに向かってやや右寄りで得たバルサのFKのシーン。バレンシアの壁を見たK氏は、「リバウドが蹴るという前提で長身のカリュウを配置しているが、これだとグアルディオラが蹴った場合、壁の低いところを狙われる恐れがある」という意味のことを述べたのである。「こりゃあ、グラルディオラが蹴るに違いない」と思ったら、案の定、そうだった。背の低い選手の頭上を越えたボールは、GKの好守に阻まれたものの、しっかり枠を捉えていたのである。「ね、こういうことがあるんですよ」と得意満面のK氏。怪しい。怪しすぎる。あと、ゴール前の決定的なシーンでも平気で関係ない話を続けるのもおかしい。気の利いた解説者は、たいがい「あ、チャンスですね」と話を中断するものだ。「入らない」と知っているから中断しないのではないか。むろん、入るかどうか知らないのに話を中断しないのだとしたら、それも問題である。ともあれ、予習疑惑は別にしても、このスペイン協会公認コーチの解説はちっとも楽しくない。倉敷&金子コンビのバルサ戦は、あらゆるサッカー中継の中で(いや、あらゆるテレビ番組の中で、と言ってもいい)もっとも楽しいものだったのに。たぶん、西沢エスパニョールの試合が倉敷&金子コンビの担当になったために、バルサ戦が別の人間の担当になったのだと思われる。しかも3つしかない貴重なスペイン枠をエスパニョール戦に奪われてしまったために、ラ・コルーニャのゲームがなかなか見られない。西沢め。実況は西岡アナでもオッケーだから、せめて解説を原さんにしてくんないかなー。それにしても、UEFA公認コーチのU氏といい、ドイツでライセンスを取得したY氏といい、欧州でコーチの資格を取った人間の解説というのは、どうしてみんな楽しくないんだろうか。

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 きのう掲載した投稿に誤りがありました。「7番と8番がダブルボランチ」などと書いてしまいましたが、これは俺の単純なミステイクで、「4番と8番がボランチ」です。投稿者によれば、<どちらかと言えば8番の方が攻撃的。基本的に両サイドのフィルム主題歌たちとフラットなラインを形成します。このクーペル的4−4−2システムが、両サイドが上がることによってポルトガル的4−2−3−1、更には「ひとりぼっちのあいつ」が下がることによって3−3−3−1システムにも自在に変貌する、という点がミソです>だそうです。それから、「TRES-QUATRETISTA」は<「4分の3」、即ちアメフトのQBと同じ意味で、トップ下のいわゆる司令塔的選手のことですが、正確なイタリア語の綴りはわかりません>とのことでした。なーるほど。


似てる人シリーズ

#137 バレンシアのキリ・ゴンサレスと元広島&巨人の川口和久。



1月22日(月)13:40 p.m.
BGM/ 山下達郎 "僕の中の少年"

 週末に投稿をいただきました。異業種サッカー化計画です。長いので右ではなく下に掲載します。各選手のポジションはもっと微妙に書かれていたのですが、HTMLでそれを表現するのは容易でない(というか面倒臭い)ので、いささか簡略化してあります。ご容赦を。ちなみにいただいた原稿では、2番と6番の両SBがやや高い位置、8番はやや下がり目になっておりました。つまり4番と8番は基本的にはダブルボランチってことでしょうか。解釈が違っていたらごめんなさい。「TRES-QUATRETISTA」の意味は知りません。


Readers' Mail No.103(1/20)

 皆さん、大変ご無沙汰しております。かつて江戸川さんの投稿客の常連であったタボン・デブールと申します。故あって1年半ほど断筆しておりましたが、この度彼の好評(?)企画「異業種サッカー化計画」において「ビートルズナンバー・ベストイレブン」を拝見いたしまして、これはきっとサッカーとビートルズを語らせたら黙ってはいない私への挑発(かかってこいや!)なのではと思ったという程ではありませんが、まあ世紀も明けたことですし、私もかねてから考えておりました『オレの考えるビートルズナンバーベスト11』をここでご披露しちゃおうかなと思います。

GK
1 THE WORD

DF
2 GLASS ONION  3 RAIN 5 SHE SAID, SHE SAID 6 GET BACK

MF
7 A HARD DAY'S NIGHT 4 NOWHERE MAN 8 ALL MY LOVING 11 HELP!

TQ(TRES-QUATRETISTA)
10 GOT TO GET YOU INTO MY LIFE

FW
9 I SAW HER STANDING THERE

選考基準は、
1)オレが大好きな曲であること。当然の原則。
2)あくまでサッカー的なスピード感、ビート感を持つ曲に限りたい。フィジカル重視、である。そのため、ビートルズどころか全音楽史の中でも僕が最も好きな曲のひとつであるA DAY IN THE LIFE やSTRAWBERRY FIELDS FOREVERは外さざるを得なかった。
3)各ポジションの「名場面集」のBGMに流れていても違和感なく楽しめそうであること。

次に各曲ごとにコメント。

THE WORD…ビートルズが初めて「概念としての愛」を歌った重要なナンバー。躍動感溢れるビートとも相まって実に「頼もしい」感じを持たせてくれる。シュマイケルのテーマにぴったりって感じじゃないかな? なお、控えGKにはヂダやアルデアイエ・タイプのTOMORROW NEVER KNOWSを推す。

RAIN…テープ逆回転が有名だけど、この曲の売りはむしろめちゃ粘っこいドラムとベースの絡み。リンゴは自分のベストプレイに挙げてるくらい。しつこいDFをしてくれそうです。

SHE SAID, SHE SAID…RAINをよりヘヴィにしたような曲。この曲は元祖グランジ・ロック、つまり90年代のロックの流れを既に66年に生み出してるんだから凄い。敵FWが嫌がりそうなCBだ。

GLASS ONION…ポールをおちょくった歌詞など、不真面目なのかブチ切れてるのか判らないが、突如割って入るストリングスのエンディングなど捉えどころのない魅力に満ちた小品。SB的。

GET BACK…「左SBがDFライン中最大のビッグネイム」というのは良くあるパターン。どんな上手いビートルズバンドでも、この曲の重厚にして軽快なノリを出すのはちょっと辛い(ちなみに奥田民生の「荒野をゆく」は天晴れ)。いぶし銀のベテランSB。ちなみにキャプテン。

 なお、DFの控えは…右からSEXY SADIE、DON'T LET ME DOWN、COME TOGETHER、OLD BROWN SHOEといった所でどうか。後期の曲ばっかりだなー。えっ、こっちの方が強そうだって?

NOWHERE MAN…メディオ・セントロにNOWHERE MANが座るというのが皮肉といえば皮肉か。安定感のあるコーラスワークがフィールドの中央にバランスと安心をもたらし、洗練されたコード進行は攻撃の起点としての可能性を十分に感じさせる。時にはリベロの位置に入ってもCB2人との相性はバッチリ。

ALL MY LOVING…こちらはヘラルド・ロペスか稲本か?という小回りの効く攻撃的ボランチ。運動量も抜群で機を見た攻撃参加はセンスの塊、って感じ。ただしロングをズドン!というタイプじゃない。

A HARD DAY'S NIGHT…右サイドを疾風のごとく駆け上がる香車のようなジョカトーレ(何でイタリア語なんや)! 問題はスタートから全力で走りすぎて90分持たないスタミナか!

HELP!…同じく疾走系のサイドMFながら、こっちはちょっと頭がある。ジョンは本当はヘヴィなアレンジでやりたかったそう。商業的理由で速いテイクを使ったとのこと。戦術との整合性に悩みながらも結局は若さと技術と勢いで突破してしまう優れた選手の姿がダブる。

 なお、MFの控えは…右からAND YOUR BIRD CAN SING、YOU'REGOING TO LOSE THAT GIRL、MARTHA MY DEAR、TAXMANでどうだ!特に両サイド、こっちはスピードも技もありまっせ!

GOT TO GET YOU INTO MY LIFE…4−4−2にも4−2−3−1にもなるシステムのキーを彼が握っている。実はファンタジスタを選ぶのが最も難しい(THE FOOL ON THE HILLみたいな手もあるけど…上記2の理由で却下)のだが、他の曲とは異なるビート感でチームの攻撃リズムを変幻自在に操る意味で彼を起用。EW&Fもカバーした素晴らしいR&Bナンバーだ。…さて、彼の控えは難しいが…いたぞ1人天才が! HAPPINESS IS A WARM GUNだ! ただ、あまりの変幻振りに周りの 選手(特にHARD DAY'S NIGHT)がついて来れるか不安もある。性格も難しそうだ。

I SAW HER STANDING THERE…1トップシステムにぴったりな「お山の大将」的ロックンロール。マルティン・パレルモがゴールに突進する姿が浮かびませんか? …ちなみに控え候補は多いが、やっぱりSHE LOVES YOUだろうね。2トップシステムをとるなら彼とI WANT TO HOLD YOUR HANDのコンビネーションに勝るものはなさそうだが、あいにく俺「抱きしめたい」ってあんまり好きじゃないんだよねー。

 というわけでした。いかがでしょう? 確かにビートルズ詳しい人じゃないと知らない曲も多いと思うけど、詳しい貴方、「世界選抜」みたいな江戸川ビートルズよりよっぽど強そうだと思いません? あっ、申し遅れました。監督はGEORGE MARTINです。(タボン・デブール)



 ……というわけでした。「挑発」だなんて、人聞きが悪いなぁ。どうせなら「呼び水」と言ってほしい。それにしても、「世界選抜みたい」とは上手いことおっしゃりやがりますね。ふん。ミーハーにはミーハーの意地があるのだ。知名度と年俸(売り上げ)で3回に1回は勝ってやる。負け越してどうする。俺はインテルか。ともあれ、入魂の投稿、ありがとうございました。この企画、自分のサッカー観と世界観を同時に表現できる優れた手段だと自負しております。みなさまの作品をお待ちしております。



1月21日(日)

 ラツィオ×インテル(セリエ第15節)をビデオ観戦。前節のウディネ戦、3点取られてゾフは気に食わなかったかもしれないが、選手のほうはむしろ4ゴールで自信を取り戻したように見える。右サイドを安心して使えるようになったせいか、コートを広く使ったダイナミックなパスワークが戻ってきたのである。快進撃だった昨季終盤の雰囲気にも通じるものがある。とくに、サラスとのコンビがやっとこなれてきたクレスポがいい感じ。開始5分、ネドベドが苦しい体勢から折り返したボールをサラスが頭で落とし、どフリーで突っ立っていたクレスポがごっつぁんゲットである。76分には、右サイドを突破したポボルスキーが倒されてPK。これをサラスが決めて2-0の楽勝であった。ご機嫌ご機嫌。なんか、もう、インテルにだけは負ける気がしない。勇気が出てきた。だいたい、すでに4敗してるにもかかわらず3位なのだ。2位ユーベとは3ポイント、「独走」とも言われていたローマとも気がつけばたったの6ポイント差である。どうせローマは遠からず「5試合で勝ち点5」みたいな低迷期を迎えるに違いない。今季もまたユーベとの一騎打ちになりそうな気がしてきた。ディノ・ゾフは侮れない。



1月20日(土)

 リーズ×ニューカッスル(プレミア第24節)をライブ観戦。Kアナ、ふだん以上に決まり文句を大連発であった。いいボールが惜しくもチップキックでスワーブがかかるからすごいすごいすごい。すごいプレイの連続だ。どうですか原さん。いや、まあ、どうですかって言われても。……Kアナ・ファンのみなさま、ごめんなさい。どうも読者の方々の好き嫌いを知ってしまうと、憎まれ口が書きにくいな。書いてるけど。いきなりロビー・キーンのゴールでリーズが開始2分に先制したが、ニューカッスルもソラーノのPKですぐに同点。前半終了間際には倒れながらも爪先でループを撃ったアクーニャのチリ人らしいゴールで1-2。ゴールが決まったときに限って、「いいボールだ」も「すごい」も聞かれないのはどういうわけだろう。ほんとうにラストパスはいいボールで、すごいシュートだったんだけど。後半はリーズが圧倒的に攻めるも、ニューカッスルの堅守を崩せない。85分には魔法使い系FWアメオビもゴールを決めて、アウエーのニューカッスルが1-3で完勝したのであった。シアラーのいないニューカッスルだが、気がつけば6位である。CL出場権まで視野に入ってきた。一方のリーズは12位だ。かえすがえすも、こんなチームにホームで負けたラツィオが情けない。



1月19日(金)13:10 p.m.
BGM/ J.S.Bach "Johanes Passion" by Ton Koopman

 わわ。マンチーニおじさんのレスター入りが決まったらしい。ほんとうにプレイするのか。からだ動くのか。「あのレスターのファンタジスタは何という選手だ?」とか言いながら、エリクソンがうっかりイングランド代表に選出してしまわないか心配である。もしかしたら、「ピッチ上の代表監督」として、エリクソンにプレミア選手に関する情報を提供するのかもしれない。スパイみたいでかっこいいな。あと、まるで嫌がらせのようにユナイテッドに居残っていたGKボスニッチが、とうとう追い出されるようだ。行き先は、よりによってチェルシーである。何だかんだと賑やかなキャラクターだからお似合いといえばお似合いだが、出番あんのかなー。

*

 きのうは夕刻から口述取材があり、夜中に帰宅。めぼしい試合がないので、スカパーのミステリチャンネルで松本清張原作ドラマなんか見てしまった。「もく星号遭難事件」を扱ったものである。もく星号遭難事件について初めて知った。演習中の米軍機に撃墜されたって話だが、ほんまかいな。栗原小巻の芝居がクサくて笑えた。旅客機に「もく星号」とか「よど号」とか名前を付ける習慣は、いつまであったんだろう。その2つしか知らないけど。先週は、やはり松本清張原作の「帝銀事件」も見た。こちらは、元731部隊の人間の犯行だったのを米軍が圧力をかけてもみ消したという話である。何でもかんでも米軍のせいだ。俺のキカイが壊れるのも、オプション取引や羽毛布団のクリーニングを電話で勧められるのも、きっと米軍の陰謀に違いない。そうに決まっている。米軍め。



1月18日(木)13:30 p.m.
BGM/ the phill collins big band "a hot night in paris"

 幼稚園の説明会に出席。いちいち親父が顔を出すのもどうかと思うが、ま、アンケートで「積極的に参加する」に丸をつけたことだし。月謝の引き落としのためにわざわざS銀行西荻窪支店に口座を作らなければいかんというのが、なんともウザったい。同じ銀行の吉祥寺支店に口座持ってるのに。どうせ毎日親が送迎で行くんだから、現金で持っていったほうが話が早いんじゃなかろうか。あと、もろもろの「お道具」を買わされるのはいいのだが、カスタネットってのはどうもなぁ。どうして最初に与えられる打楽器は昔も今もカスタネットなのか。あれはてのひらに触れてから音が出るまで二段構えの楽器だから、正しいリズムで鳴らすのが存外難しいのである。「手拍子と同じ」という安直な発想で与えているのだとしたら、問題だ。だいたい、楽器として面白いか、カスタネット。幼稚園の連絡先に電話番号と並んでメールアドレスがあるのを見て、時代だなぁと思う。昔は幼稚園や学校に「緊急連絡網」なる伝言システムがあったが、いずれ「Ccで全員に一発伝達」みたいなことになるんでしょうか。どうでもいいが、幼稚園って、どうしてあんなに「袋」が必要なんだろう。

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 なぜかMacにスリープ機能が備わっていないことに気づいた。同じシステム(OS8)を7300に入れていたときはあったのに、6300だと、無い。あれは、ハードに左右される機能なのだろうか。あと、やはり7300のときはあったコントロールバーがどこにも見当たらないのも不思議だ。OSのインストール時に何か指定する必要があったのだろうか。よくわからない。スリープしないので手元にあったアフターダーク(スクリーンセーバー)をインストールしたら、リスタート時にシステムエラーを起こして青ざめた。CD-ROMから起動して機能拡張のファイルを捨てたら直った。もう、余計なことはするまい。

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 サウサンプトン×チャールトン(プレミア第23節)を観戦。突如依頼された仕事の膨大な参考資料に目を通しながらだったので、「ああ、ペトレスクがサウサンプトンに移籍したんだなー。たしかに泣きそうな目元がミスターちんに似てるなー」という以外、とりたてて感想はなし。スコアレスドロー。終了後、金田さんが「さみしい試合でした」と言っていたから、きっとそういう試合だったんだろう。まともに見なくて正解だったかも。



1月17日(水)12:30 p.m.
BGM/ ABBA "Greatest Hits"

 今日は阪神大震災があった日だが、奇しくも三浦(旧姓・山口)百恵さんの誕生日でもあったような気がする。俺は林家ペーか。ちなみに熱海の海岸で寛一がお宮を蹴飛ばしたのも今日だったような。その記憶が正しければ、今宵の月は涙で曇っているはずである。「拝金主義撲滅の日」とでも名付けて国民の休日にしたらどうか。

 ……などと書いていたら、オプション取引の会社から電話。170万円で買うと夏には500万円になるんだという。不思議な話だ。そもそも「オプション取引」がわからない。そこで増えた分、どこかで誰かが330万円の損をするということだろうか。非道い話だ。そういう非道いことのできる人たちのことを、昨今は「勝ち組」と称するのかもしれない。「あなたは買ったんですか」と相手の女性に訊くと、「はい、買いました」というので、「いいですね、お金があって」と言った。本心である。続けて「そんなお金は無いので結構です」と言うと、「そんな、ご謙遜を」と言われた。「カネが無い」がどうして「謙遜」なのか、よくわからない。「ほんとに無いんです。パソコンが壊れても買い換えられないぐらい、無いんです。友達の慈悲にすがらないと生きていけないぐらい、無いんです」と半ば涙ぐみながら言ってお引き取り願った。納得してくれたようだった。あらゆる電話セールスをこれで撃退できるような気がした。

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 インテル×パルマ(セリエ第14節)を観戦。アリーゴ・サッキ登場、である。マレザーニのキャラはけっこう好きだったので、ちょっと寂しい。そのサッキがスタメンに抜擢したディ・バイオが、セットプレイからヘッドで決めてパルマが先制。後半、それまで例によって決定機をしくじりまくっていたビエリのゴールで同点。振り向きざまに長い左脚をマサカリのように振り抜く彼らしいシュートだった。これで「錆び」が落ちるだろうか。本人はゴール後も仏頂面だったから、納得していないようだけど。でも、ビエリのご機嫌な表情って、あんまり見たことないような気がする。たとえば投資した170万円が500万円になったとき、彼はどんな表情をするんだろうか。「儲かったぞおおおおおう」と札束をワシ掴みにして吠えるのか。試合はそのまま1-1のドロー。ところでこのゲーム、主審はデ・サンティスだった。ラツィオ・ファンでこいつの名前を覚えていない者はいない。そう、昨季33節のユーベ×パルマ戦で不可解な笛を吹き、カンナバーロのゴールを無効にした男である。審判生命を断たれたと聞いていたのだが、まだ生きておったか。しかもまたパルマ戦で笛を吹いているとはこれいかに。「水に流す」のは日本人だけかと思っていたが、イタリア人もけっこう流すんですね。


似てる人シリーズ

#136 パルマのサッキ監督と『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクター。



1月16日(火)13:10 p.m.
BGM/ Billy Joel "Greatest Hits"

 愛読者(笑)カードはいまだに届いている。週末に担当編集者から1通、今日は見知らぬ女性から1通。ありがたいことです。見知らぬ方々はたいがい「リンク」か「検索」で本誌に到達していらっしゃるのだが、検索のキーワード(「倉敷保雄」とか「八塚浩」とか「キンクラーゼ」とか)はみなさん覚えてらっしゃるのに対して、リンク元を覚えている方が1人もいないのはどういうわけだろうか。いまのところ、アクセス動機で誰も○をつけていないのは、「バカについて研究しているから」だけである。もちろん、バカについて研究している人がいないからといって、誰も俺のことをバカだと思っていないということにはならないのであった。「面白かった似てる人」の1位は、<スペインのラウールと「青い体験」とか「続・青い体験」とかで兄嫁に弄ばれる少年。>だ。1位ったって、2票だけど。これを選んだのは2人とも編集者である。このネタのどこに編集者スピリットを刺激するものがあるのかは、定かではない。そもそも、実際に「青い体験シリーズ」を見直したら、きっと似ていないと思う。そういえば最近、12チャンネルで放送しないな。昔は毎月のようにやっていたような印象があるが。ぼくは、あの、映画館のシーンが好きです(恥ずかしくて具体的には書けない)。無性に見たくなってきたぞ青い体験。きょうカードを送ってくださったK.Mさん(念のため匿名にしときます)が「似てる人」を書いてくれたので、下にご紹介しておきます。


●ダン・ペトレスクとB21のミスターちん。
●F・インザーギと河村隆一。
●ユリアーノといしだ一成。
●デニス・アーウィンの前の髪型と神田川俊郎の髪型(アーウィン最近髪切っちゃいました)。

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 Macも使えるようになって、いざ今世紀最初の単行本に取りかかろうと思ったら、同じ編集部から「それは後回しにして別のを先にやってくれんか」と頼まれた。どうせまだ一行も書いていないから、何の問題もないのである。無駄な労力を使わずに済んだという意味では、Mac故障が吉と出たといえよう。災い転じて福。久々に重版通知もあったし、俺の運勢もまんざら捨てたもんじゃないかもしれん。

*

 フィオレンティーナ×ミラン(セリエ第14節)を見た。好調フィオが、なんと4-0でミランを木っ端微塵にしやがった。気持ちいいなー。フィオは、前線の3人(ルイ・コスタ、キエーザ、ゴメス)がいいのは勿論のこととして、左サイドのディ・リービオとバノーリの動きが際立っているのであった。プレイの「質」はさておき、「量」が凄まじい。ディ・リービオは常に何かしてないと気が済まない感じだし、バノーリは表情に疲労の色を滲ませながらいつもオーバーラップしている。たぶん、この「量」がルイ・コスタの「質」を縁の下で支えているのであろう。しかしまぁ、それにしたって、どのチームもルイ・コスタを自由にさせずぎじゃないかとは思う。必ず彼を経由するのがわかっているのに誰も止めようとしないのは何故なのか。さながら全自動ボール分配機のごとく精密なパスを出すルイ・コスタを、指をくわえて眺めているだけ。ま、たまに突っかけていくと、あっさり抜かれて数的不利になったりしてるから、しょうがないのかもしんないけれど。



●最近読んだ本

半藤一利『ノモンハンの夏』(文芸春秋)
 だいぶ前に買って未読だった本(初版は1998年4月)に手が伸びるのはどうしてだろう。ノモンハン事件にからむ陸軍中央の愚かさを描いた一冊である。ろくに情報も集めないで敵(ソ連)の実力を侮る、客観的な分析をせずに精神主義で何とかなると考える、良い結果が出ると慢心して楽観的になる、責任者が「保身と昇進と功名と勲章の数を誇る」ことしか眼中にない、優柔不断で決断を先送りにする等々、まあ日本の組織は昔から変わらんのだわいと思うわけだが、「陸軍中央」の部分に「日本サッカー協会」を代入して読むと、背筋が寒くなる今日この頃なのであった。「2002年の夏」は、どんな夏になるんだろうか。

三島由紀夫『金閣寺』(新潮文庫)
 中学生のときに読んだはずの本に手が伸びるのはどうしてだろう。しかし、俺はほんとうにこれを10代のときに読んだのだろうか。まったく記憶が蘇らなかったから、読んでいないのかもしれない。いずれにしても、こんなに難しい小説を中学生が読んで何か意味があるのかね。中学生だからこそ理解できる部分があるのやもしれぬが。てなわけで再読なのか初読なのか判然としないのであるが、ともあれ、その様式美に感心。しばしば「音楽的」とも評される三島文学だが、なるほどと思う。もっとも、人物造形がいささか図式的(というか形式的というか論理的というか数式的というか)に割り切られすぎるきらいもあり(まあ、だからこその「音楽的」なんだろうけれど)、肌に合わないものを感じるのも正直なところであった。

山形孝夫『聖書の起源』(講談社現代新書)
 これも書庫で埃をかぶっていた一冊。どうやら愚妻が高校生のときに買って読んだものらしい。その隣には同じ講談社現代新書の『イエスとキリスト』という本もあった。これも愚妻が同じ時期に読んだものだ。どうして彼女は高校生のときそんなにキリスト教のことが知りたかったのだろうか。本人に問いただすと、「その後で遠藤周作を読んで納得した。だけど荘子のほうが面白いや、と思った」とのことである。変な女子高生である。そんなことはともかく、本書は旧約、新約の成り立ちをわかりやすく説く好著であった。どうして人間が神様や歴史書を必要とするのかが、なんとなくわかったような気がする。たぶん気のせいだと思うけれど。

田原総一朗『日本の戦争』(小学館)
 もちろん小林よしのり『戦争論』に便乗して売ろうと……いや失礼、それに対するカウンターとして書かれたものである。いわゆる自由主義史観に待ったをかけたいという気持ちはわかるけれど、説得力という点ではやや疑問符がつく。指導者たちのプロフィールを含めて日本の戦争史を概観できるから資料的な意味では役に立つ一冊だが、解釈部分になると無理めな飛躍が目に付くのである。やはりこの人はテレビの人、直観の人なのだなぁ、と思う。それに、この本に全体を総括する終章をつけずに平気でいられる著者および編集者のセンスが理解できない。尻切れトンボで、要するに何が言いたいのか俺にはよくわからなかった。でも売れていて羨ましい。あと、ほんとうにどうでもいいことだが、板垣退助の誕生日が自分と同じであることがわかった。江戸川死すともサッカーは死せず。



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