![]() ![]() 闇の中の翼たち ブラインドサッカー日本代表の苦闘 (岡田仁志/幻冬舎/1500円+税) ![]() キャプテン翼勝利学 (深川峻太郎/集英社インターナショナル) |
■ 目次 ■ 8月の日誌 ■ 南アW杯GL編 / KO編■ ASIA 2009 ■ 全仕事 ■ 江戸川時代 ■ home ■ mail ■
Total Football - 世界のサッカー情報サイトの記事は、きのうアップされた第3編をもって完結。なんだかひとりで突っ走っているような感じで、関係筋からは「マニアックすぎる」とお叱りを受けそうな気もするが、これが私のいちばん書きたかったこと。いわば確信犯である。「初心者にはわかりにくい」などと言わずに、好き勝手に(しかもたくさん)書かせてくれたトータル・フットボール編集部に感謝したい。私としては、このサイトの読者であるサッカーファンはもちろん、「世界」から遠いところで練習に励んでいる代表以外の選手たちにも読んでもらいたい、という気持ちで書いた。トップレベルのブラインドサッカーがすごく面白くてエキサイティングなことになっていることを知れば、さらにモチベーションが上がるのではないかと思ったからだ。指導者を含めた多くの関係者に読んでいただければ幸いである。
![]() 一方、週刊サッカーダイジェストのほうは掲載誌が世の中から消えたものの、きのう発売された号に掲載された「お詫び」は、私にケンカを売っているとしか思えないものだった。なんだ、あの異様に小さい文字サイズは。およそどうでもいい編集後記よりも字が小さいんだから頭に来るじゃないか。担当者は「具体的な個所も記載すべきなのですが、誌面の制約もあるため、勝手で誠に申し訳ございませんが、下記の文面で何卒ご了承いただければと思います」と事前に伝えてきたが、編集後記を休載すればスペースはかなり作れるはずだ。まともに詫びることよりも、あのおよそどうでもいい編集後記のほうが大事だというのが、編集部の判断なのである。 また、あの謝罪文は事前に私の感想を受けて一部を手直ししたものだが(たとえば「改変」は当初「修正」という文言だった)、もっとも重要な点が放置されている。私は担当者に「見ていない試合について誤った記事を作ったことに言及していない点で、まったく不十分な内容だと思います」とメールで伝えた。しかし謝罪文は「執筆者・岡田仁志氏の意にそぐわない表現に、編集部の判断で改変した部分がありました」とするだけで、事実に反する内容になったことに触れていない。まるで、ちょっとした言葉遣いが私の「意にそぐわない」形になっただけのように読める。読者は、「うるさいライターが細かいことでクレームつけたんだな」と思うかもしれない。掲載記事とあわせて、二重に名誉を毀損されたような気分である。 しかも、C大阪の監督名表記は訂正されているのに、私の記事にあったいくつかの間違いは訂正されていない。編集部は、障害者サッカーの試合内容に関するウソや写真キャプションにおける選手名の取り違えよりも、Jリーグ関係者の名前のRとLの書き間違いのほうが、「訂正すべき重大な問題」だと判断したのである。 私は同じ担当者へのメールの中で「これはあくまで編集部が自らの判断で掲載する文章ですから、私としては了承するも何もありません。そもそも、謝罪文の内容を事前に謝罪相手に相談するのも、妙な話です。編集長がこれで十分だとお考えなら、これを掲載すればよろしいでしょう。私としては、掲載された文章を踏まえて、貴編集部の仕事に対する姿勢や誠実さなどを判断するまでです」とも伝えている。私がどう判断したかは、こんなブログでキャンキャン吠えているだけでは意味がないので、いずれ「SAPIO」のコラムで書くつもりだ。この問題を広く天下に明らかにしなければ、サッカージャーナリズムのためにならない。 (13:25)
ブラインドサッカー関東リーグ(B1)が開催される狭山のフットサル場に行き、試合が始まる前に、サッカーダイジェストの記事で迷惑をかけた選手本人および関係各位にお詫びしてきた。取り返しのつかぬことなので、許すも許さないもない話だけれど、謝罪の気持ちは受け入れてもらえたと思う。いちばん迷惑をかけた本人は、「こんど活躍したときは大々的にかっこよく書いてくださいね」と笑って言ってくれた。「ビデオを見られない僕らには、深川さんが書いてくれたことがいちばんのフィードバックになるので、これからもお願いします」と言ってくれた選手もいる。そう。だからこそ私は責任を持ってきちんとした情報発信をしなければいけない。もっとも熱心な読者は選手だ。今回の私は、その選手たちからの信頼を損ねるような不始末をしでかしてしまった。自分自身を許すことができない。 きょう選手たちにも話したのだが、こんなことをしてしまった原因のひとつは、「取材」と「雑談」の境界線が曖昧になっていたことだと思う。あまりに選手との距離が近くなってしまったせいで、あらためて正式に取材を申し込むという手順を踏まなくなっていた。今回も、選手が雑談のつもりで喋ったかもしれないことを、そのまま記事にしてしまったことがいけない。書いてよいかどうかをあらかじめ確認すべきだった。同じミスをくり返さぬためには、なるべく話を聞いた時点でオフレコか否かの確認をする、それができない場合は書く前に確認する、といったことを徹底しなければいけない。今回は、迷惑をかけた選手のコメント以外にも、本来なら本人の了承を得てから記事にすべきコメントや事実がいくつかあり、そのことも当事者に詫びてきた。プレーに関することはともかく、プライベートな話については最大限の配慮をする必要がある。今回のようなことをしていたのでは、選手が私の前で何も喋ってくれなくなってしまう。 もうひとつの反省点は、「修正すべきだと気づいたらすぐに編集部に連絡する」ということである。言い訳に聞こえたら申し訳ないが、今回は原稿を編集部に送って寝床に就いた後で「あれは匿名コメントにしたほうがいいかもしれない」と思った。なので、そのときはゲラで直そうと思ったのだが、最後までゲラのチェックというプロセスはなく、私自身も次の締切やら税務調査やらで忙殺され、気持ちの余裕がなくなり、その件が頭の中から消えてしまったのである。昨年、同じ雑誌でアジア選手権の記事を書いたときもゲラチェックがなかったので、今回もその可能性を考えて然るべきであり、ならばすぐに編集部に原稿の訂正を申し入れるべきだった。これは、ゲラのチェックがあるケースでも同様である。訂正の申し入れは、早ければ早いほどいい。 ほかにも、担当編集者とのコミュニケーション不足があったこと(実は電話とメールで連絡しているだけでまだ会ったことがない)、気のすすまない企画を引き受けてしまったことなども、今回のミスを引き起こす遠因となったように思う。ライターにとって初歩的な心構えがなっていなかったことが本当に恥ずかしいが、以上の点を忘れることなく、今後は二度と同じ失敗を犯さないことを誓って、私の反省文といたします。
![]() 話は変わるが、サカダイのレポート記事を読んだ(家族に音読してもらった)ある選手からは、例の「スペインが一方的に主導権を握る」の部分について、「すぐに、そんな試合じゃなかった!とツッコミましたよ」と言われた。このブログを読んで事情を理解し、「深川さんの原稿のほうが正しい」と言ってくれたが、最初はブラジルの苦境を大袈裟に演出するために私がそんな書き方をしたのかな、と思ったという。事情を知らずに、あれが私の文章だと思っている関係者もまだいるかもしれないと思うと、やりきれない。最終的な謝罪文がどうなるかは知らないが、「執筆者の意にそぐわない表現に、編集部の判断で改変した部分がありました」程度の内容で済む話ではないと思っている。私の意にそぐわないどころか、事実に反する内容にされてしまったのだから。
![]() Total Football - 世界のサッカー情報サイトに、世界選手権関係のラスト記事が掲載されている。いっぱい書いてしまったので、3回の短期集中連載になります。とりあえず、第1編はこちら。第2編以降の掲載がいつになるのかは把握しておりません。 (16:30)
ゆうべツイートしたとおり、週刊サッカーダイジェストの記事には、私にも重大なミスがあった。編集部の落ち度を公開の場で厳しく批判した以上、私もここで自分の愚かしさを公表しなければいけない。私はあの記事の中で、匿名にすべきコメントを実名で書いてしまい、選手を傷つけた。具体的に書くとますます迷惑がかかる恐れがあるのでこれ以上は説明できないが、一番やってはいけない最低のミスである。ゲラチェックがなかったことは何の言い訳にもならない。なにが「ことブラインドサッカーに関しては、4年間かけてそれなりの信用を得てきたつもり」だ。そういう慢心がこういう事態を招くのだ、と、人から言われる前に自分で言っておく。情けなく、恥ずかしい。本当に、申し訳ないことをした。こればかりは取り返しがつかない。深く反省するため、しばらくブラインドサッカー関係の取材等は謹慎します。
![]() さらにもうひとつ、反省すべきことがある。「二足の草鞋を履きながら”世界の舞台”を目指す」と題されたコラムのことだ。ツイッターに寄せられた感想を読むと、あれを「勝てない理由」(つまり負けた言い訳)のように読んだ人もいる。そういうニュアンスが読み取れたとすれば、それは私の筆力不足によるものであって、選手たちの責任ではない。仕事を敗戦の言い訳にする選手など日本代表チームにはひとりもいない、と、ここで断言しておく。 そもそも、編集部のリクエストで作られたあのサイドストーリーは、あまり気がすすまなかった。ワイドショー的な視点はなるべく避けたいし、サッカー専門誌にも似合わない。レポート部分の行数も減る。しかも当初は佐々木選手の苦労話を求められたので、「ご期待されているようなコメントは絶対に取れません」と難色を示した。仕事を持つ選手は彼だけではないし、記事にあるとおり、ヤスさんはむしろ恵まれているほうだからだ。しかも「なぜ佐々木選手?」という私の質問には、「森田健作知事を取材したときに話を聞いて、よろしくと言われたから」的な答えが返ってきた。サッカー専門誌がどうして森田健作に媚びを売らなければいけないのか理解できない。 しかし結局、「ほかの選手でもいいから二足の草鞋ネタを」と頼まれた。企画内容のやりとりが始まったのは、すでに現地入りしてからだったので、つべこべ議論している余裕もない。世界選手権の記事掲載自体はこちらから持ち込んだ話なので、あまり強いことも言えなかった。それで承諾したのだが、今から思えば、あのとき「書きたくないものは書きたくない」と主張していれば、原稿を勝手にいじられることもなかったような気がする。 そんなこんなで、悔いばかり残る仕事になってしまった。わずかな救いは、月刊誌ではなく週刊誌だったこと。早く掲載誌が世の中から消えてなくなってほしい。 (16:30)
発売中の週刊サッカーダイジェスト(9月14日号)に「ブラインドサッカー世界選手権2010 手にした大きな財産」と題された拙稿が掲載されている。しかし、すでにツイッターでさんざん述べたとおり、編集部が私のあずかり知らぬところで大幅に(私に言わせれば原形をとどめぬほどズタズタに)文章を改変したので、それを「拙稿」と呼ぶべきではないかもしれない。「拙い」と評したのでは、多忙な中でわざわざ時間を割き、私の下手糞な文章を直した編集部に失礼だ。 というのは、もちろん厭味で言っている。勝手に改変したばかりか、試合を見てもいない人間がほとんど誤報レベルの論評を書き込んだので、激怒して編集部に抗議した。平謝りの担当者によれば、ライター原稿の修正は複数の編集者が回覧するような形で行っており、ゲラのやりとりをする時間がないため、日頃からライターとの暗黙の了解で勝手にやっているという。そのため今回も同じようにやってしまったとのこと。私は日頃から漢字表記ひとつ直すにも電話で確認される仕事をしているので、そんな暗黙の了解は知らない。それ以前に、そもそも署名原稿をどう取り扱うべきかという問題意識が編集部にあったのかどうかも疑問だが、まあ、私の抗議で「世の中には小うるさいライターもいる」とわかっただろうから、今後は相手を見て対応するようになるだろう。というか、今回だって、私が沢木耕太郎だったら指一本触れずにそのまま入稿したに違いない。 ともあれ、Ust配信で試合を見たわけでもない人間が、「ここからスペインが一方的に主導権を握る」などと見てきたようなウソを書くというのは、言語道断である。しかもその文責を私に押しつけているのだから、呆れて物が言えない。Ust配信で決勝戦を見た人が掲載記事を読んだら、私のことをバカだと思うだろう。ことブラインドサッカーに関しては、4年間かけてそれなりの信用を得てきたつもりだが、心血を注いで私が「手にした大きな財産」が一発で崩壊しかねない。その重さを、編集部はどこまで理解しているだろうか。それがすぐに理解できるようなら、最初からこんなバカげた改変はしないよな。 次号に訂正記事が掲載される予定だが、それで何かが回復するわけでもないので、担当編集者にあらかじめ通告した上で、改変前の原稿をここに載せることにする。なにしろ帰国翌日の仕事で(というのは言い訳だが)かなり荒っぽい原稿であることは私も認めよう。掲載記事のほうが良いと感じる人もいるに違いない。しかし問題は「どちらが適切な文章か」ではなく、「適正な手続きを踏まずに改変されたこと」である。それに加えて、事実や書き手である私の受けた印象と異なる記述もある。細かい表現を含めて、仮にゲラでチェックしていたとしても、私が受け入れたであろう修正意見はきわめて少ないと思ってもらっていい。とはいえ、両者を読み比べても違いがわからない人のほうが、おそらく多いだろう。それはそれでよい、というか、むしろ当然だと思う。書き手にとっては大差でも、読者にとっては誤差の範囲だろう。しかし私としては、こうするほかにどうすることもできない。本当は、出回っている掲載誌を回収したいぐらいだが。以下、私の原稿。
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