【著書】


闇の中の翼たち
ブラインドサッカー日本代表の苦闘
(岡田仁志/幻冬舎/1500円+税)




キャプテン翼勝利学
(深川峻太郎/集英社インターナショナル)




目次10月の日誌南アW杯GL編 / KO編ASIA 2009全仕事江戸川時代homemail



 12月21日 火曜日  (平成22年/2010年)
 アジパラを終えての断章
 BGM : Merci / Magma

■こんなにブログを書いてなかったのか。

■取材仲間と一緒に二泊三日で広州に行き、アジアパラ競技大会のブラインドサッカー2試合(3位決定戦と決勝戦)をスタンドで客として観戦。日本対韓国の3決は延長戦を終えても0-0、PK戦(3人)は1-2で、日本は4位。表彰台に上がることができなかった。タイ戦と韓国戦(1次リーグ)では計4点をあげたものの、夏の世界選手権に続いて現地でゴールを目撃できなかったのは残念無念。

■試合後、ツイッターに「残念」と書いたら、試合を見てもいない人間が「これが今の日本代表の力って事だ」とか返してきたので、「あんた何様だ」と言い返した。そこから厄介なやりとりが始まったが、べつに後悔していないし、感情的な悪態をついたことを恥じてもいない。正しい態度だったかどうかは知らないし、ホメられたものではないとも思うけれど、私は「正しさ」よりも「正直さ」を選んだのだった。匿名でエラソーなことをぬかす人間が私は嫌いだし、嫌いな奴が自分のツイッター上に現れるのは不愉快だから罵りもする。

■匿名でエラソーなことをぬかすのは自由だ。匿名発言には功罪両面あるだろうから、規制すべきだなんてさらさら思わない。でも、それに対して感情的な悪態をつくのも自由だ。どちらも世間から軽蔑されるかもしれないが、軽蔑される自由もある。麗しいコミュニケーションではないが、言論統制社会よりは何万倍もマシ。

■大会4位という順位が「今の力」に相応しいものなのかどうか、全試合を観ていない私にはわからない。というか、それを評価する資格が私にはない。そもそも私が評価したところで何の意味もない。しかし、おそらくチームの選手やスタッフは「これが今の力だ」と受け止め、次へ向けて闘志を燃やしているはずだ。そんなこたぁ、外野に言われなくたって、当事者がいちばんよくわかっている。

■負けていちばん悔しいのは選手である。

■なかなか国際試合を見てもらえない選手やスタッフは、結果だけでとやかく言われることにずっと耐えてきた。それは「闇翼」にも少し書いた。私の前でブラインドサッカーの話をするなら、読んでから来てね。

■選手はそんなことを絶対に言い訳にはしないが、日本選手団には学校の教員が多く、この学期末に仕事を休んで国際大会に出場するのは決して楽ではなかっただろうと拝察する。前倒しで仕事を片付けるために、コンディション調整やミーティング時間などを犠牲にせねばならないこともあったかもしれない。そんなことも承知した上で、「これがおまえらの今の力だ」と選手に面と向かって言えるなら言ってみろ。

■こんなことも選手や関係者はわかっていると思うけれど、優勝した中国と決勝戦で惜しい試合(0-1)をしたイランの成長ぶりを見るかぎり、日本が来年のアジア選手権でロンドンパラ出場権を獲得するのはそう簡単なことではない。しかし私が興味を持つのはその結果ではなく、目標を達成するために彼らがこれからどんな努力と工夫をするかということだ。そこに逞しい向上心があるかぎり、パラに出ようが出まいが、私は彼らを尊敬し続ける。

(12:55)






 11月26日 金曜日  (平成22年/2010年)
 同窓会は一度やってみたほうがいい
 BGM : Songs From Woods / Jethro Tull

 ひねもすデスクの前に落ち着ける日が少なく、なかなかブログが(ゴースト本の原稿も)書けない。とりあえずこの1週間のことを思い返してみると、宴会が2つあったのであり、どちらも「シメの挨拶」をその場で急にムチャ振りされてオロオロしたのだった。ほんと勘弁してほしい。とは言うものの、この歳になったら「いざというときの準備」は宴会の最中にしておくべきなんだろうなぁ、という気もする。いちいちヘラヘラと酔っ払ってる場合ではない。

 で、「この歳」がどんな年齢なのかを思い知らされたのが、中学校の同窓会だ。30年ぶりに会う人々の姿形を見て、ポカーンとしました。同窓会が終わるまで、ほぼ全面的にポカーンとしていたと言っても過言ではない。その前日の宴会でも、てっきり私より年上だと思っていた人に年齢をきいたら「43です」と言われて唸ったのだったが、まあ、46歳の現実ってやつは厳しいよ。うんうん、厳しい厳しい。べつに若く見られたいわけでも何でもないが、厳しいとしか言いようがない。

 しかし一方で頼もしい同級生もいて、それは「THE BUDOKAN」の面々である。かつてそういう名のロックバンドを組んでデビューした3人の男がいるのだ。バンドはかなり前に解散したものの、3人ともプロとして演奏活動を続けており、中には忌野清志郎 & 2・3'sやTHE HIGH-LOWSでドラムを叩いた大島賢治という男もいるのだが、そいつらが小金井フラワーホールなどという場所で「一夜かぎりの復活ライブ」をやってくれたのだから嬉しいじゃないか。すんげえカッコよかったっす。当たり前だが、めちゃめちゃうまいし。おれもまたギターやり直そうかなと思ったよ。大島くんが歌った清志郎バージョンの「デイ・ドリーム・ビリーバー」には、うっすら涙が滲んだ。

 面白かったのは、当時かなり近所に住んでいた女子に職業を訊かれて「フリーライター」と答えたら、ものすごく意外そうな顔をされたことだ。「オカダくんは堅いイメージで話しかけにくかったから、てっきり官公庁とかのほうかと思った。実は好きなことやるほうだったんだ〜」とのこと。選択肢が「官公庁とかのほう」と「好きなことやるほう」だけというのも凄まじい二元論だが、まあ、公立中学なんてのはお互いを「良い子・悪い子・ふつうの子」の3つぐらいにしか分類しない大雑把な世界だったりもするので、それはそういうものかもしれない。フリーライターは決して「好きなこと」だけやってるわけではないし、むしろ官公庁のほうに「好き勝手なこと」をやってる人がいるように感じないわけでもないが、話がややこしくなるので「まあね」と答えておいた。

(14:10)






 11月15日 月曜日  (平成22年/2010年)
 関東リーグ・笛・馬鹿コラム
 BGM : Messiaen "Turangalila Symphonie" / Simon Rattle

 2週間近くブログを放置していた。きのう、土曜日に親戚の結婚式に出席した両親から報告があり、どうやら北海道の叔父や叔母がこのブログをご覧になっているらしく、去年のブラインドサッカーアジア選手権で、韓国選手のラフプレイにスタンドの兄が「退場だろ!」と叫んだことなどが話題になっていたとかで、まあ、お恥ずかしいことでありますが、そんなこんなでブログも忘れてはいかんという話である。親戚のみなさん、お元気そうで何よりでございます。私も元気です。すみませんが、夏に税務調査を受けたことはうちの親にどうか言わないでおいてくださいませ。必要以上に心配しますので。

 土曜日は、久しぶりにブラインドサッカーB1関東リーグを見るため、福生市営競技場まで足を運んだ。APECの影響もあるのか中央道は渋滞、新奥多摩街道やら奥多摩街道やらもグダグダで、家から2時間もかかってしまった。夕方からリコーダー楽団の練習があるので、2試合だけ観戦。

 途中から見た第1試合は、T.Wingsが山梨キッカーズを6-0で粉砕。加藤4ゴール、葭原2ゴール。関東で唯一代表選手のいない山梨は、まだボールに背を向けた状態で敵とぶつかってしまう選手がいたりして、微笑ましいといえば微笑ましいのだが、そろそろもう少し戦えるチームになってほしいなぁと思ったりもしました。誰か代表クラスの選手か指導者が練習に参加してちょっとアドバイスするだけでも、かなり変わると思うのだがどうだろうか。というか、山梨や長野や宮城の人たちは、いっぺん代表合宿に参加してみるといいんじゃないかな。余計なお世話かもしれないけれど。

 第2試合は黒田のファインゴールでハッサーズ 1-0 ウォーリアーズ。ハッサーズは前節で王者アヴァンツァーレに完封勝利を収めたので、「深川さん、なんで先週見に来てくれなかったんですか〜」とトモさんとアキさんに会うなりブーイングを喰らったが、この試合の守備もさすがの強さでありました。佐々木ヤスさんにほとんどシュートを撃たせなかったもんね。まあ、トモさんのシュートがなかなか枠に行かないのは気になりましたけども。頼みますよマジで。ウォーリアーズのほうは、敗れたとはいえ、寺西ハジ君がディフェンス面で実に効いていた。見るたびに逞しくなるよ彼はほんとうに。

 第3試合は序盤だけ見て引き上げたが、駐車場で車のドアに手をかけた瞬間に歓声が上がり、どうやらアヴァンツァーレが先制した様子だったが、あれはひょっとして、選手が足りなくてフィールドで出場した安部ちゃん(代表GK)のゴールだったのだろうか。すまん、見逃した。

 福生からいったん帰宅し、電車で千駄木へ。18時から22時まで笛の練習。来年1月14日の本番まで、もうあと2ヶ月しかない。私が吹くのは、トッカータBWV911(バス)、ブランデンブルク協奏曲6番第1楽章(テナー)、羊は安らかに草を食み(アルト)、小フーガト短調(大バス)の4曲。ご覧のとおり、すべて楽器が違うのだった。指の感覚がまるで違うから、持ち替えに対応する練習もしておかないといかんよな。

 ツイッターのほうでは告知したが、先週の金曜日に、携帯サイトで深川名義のコラムが始まった。docomoユーザーしか見られないようだが、エブリスタというサイトの「E★プレミアム SPORTS」にアクセスすると読めます。有料サイトですけども。何やら「スターをなげる」という仕組みがあり、何のことかよくわかりはしないものの、なげてもらうとたぶん良いことがあるのだと思われるので、どんどんなげてくれ。欧州サッカーがらみの馬鹿コラムを書くのはとても楽しい。

(12:20)






 11月2日 火曜日  (平成22年/2010年)
 もうすぐ地デジ化
 BGM : Too Old To Rock 'n' Roll, Too Young To Die / Jethro Tull

 セガレによると「おれのまわりで家が地デジじゃないのは2人しかいない」とのことで、だからというわけでもないのだが、資金面の目処が立ったこともあり、そろそろわが家も地デジ化を図ることになりそうな雲行きである。なのでさっき、吉祥寺で昼飯を食い家賃を払ったついでにヨドバシカメラのテレビ売り場をうろついていたのだが、ワイドショーか何かに知り合いの顔が映ったのでびっくりした。素人バロック楽団の仲間であるポプラ社のIさんが、例のあの件でインタビューに答えていたのである。おお。そこらに置いてあるテレビが、どれもこれもIさんのアップになったので笑った。32型のIさんから50型のIさんまで、たくさんのIさんだ。たくさんのIさんにただ見とれていたので、例のあの件について何を喋っていたのかは聞き損ねた。

 で、地デジである。とりあえずサイズを決めるべきだということだけはわかるけれども、そこから先、何をどう考えて選べよいのかよくわからないというか、むしろそれを考えること自体がとても億劫だ。現状のWOWOWやスカパー!をどう処理して何がどうなるのか、あるいはLDプレーヤーが使えるのか使えないのかそのへんはどうなんだ一体といったことなども、実はそんなに難しいことではないのだろうと察しはつくものの、何か人を茫然とさせる。

 平日の昼間ということもあって、ヨドバシの売り場には店員から説明を受けるお年寄り夫婦の姿が目立ったが、何をどこまで理解して買っているのかと他人事ながら心配になった。たぶん、多くのお年寄りたちは、茫然としたままさまざまな機械を買っていくに違いない。「テレビもずいぶん薄くなったねぇ」「うんうん、薄くなった薄くなった」――夫婦の感想はただそれだけのことだったりするのではないか。どれもこれも薄いのに、だ。お年寄りはそれでもいいかもしれないが、46歳の私がそんな地デジ化ではいけない。これから私がなすべきは、意味のわかった地デジ化である。でもイヤだなぁ、テレビのために勉強するなんて。それは今の社会におけるもっともばかばかしい勉強だ。

(13:20)