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Review: Bombes 2 Bal, Bal Indigène; Claude Sicre, Tom Schamp, Fabulous Trobadors, Bombes 2 Bal, Le Quartier Enchantant
2008/01/14
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Bal Indigène
(Tôt Ou Tard, 8345 10573 2, 2007, CD)
1)L'Amour, Toujours L'Amour (version 1) 2)Je Mentirais 3)Bienvenue À Toulouse 4)Estrangièra 5)A L'Ostal 6)Je Fais La Sieste 7)Regret Pour L'Enterrement Du Papet 8)Mon Papet 9)Si Tu Veux 10)Vau Al Horn 11)Ieu Foéri 12)Lauragais 13)Aval A La Ribèra 14)L'Amour, Toujours L'Amour (version 2)
Réalization artistique: Vincent Segal. Direction musicale: Claude Sicre.
Lise Arbiol (chant, esquilons, trucanètas), Aurélie Neuville (chant, triangle, palets), Magali Brunel (chant, agogos, palets), Martine Lataste (accordéon, harmonica), Romain Magnes (zabumba, alfaia); Jérémy Couraut (basse, guitara romantica, esclòp, esquilons), Vincent Segal (violoncelle, kass-kass), Jean-Luc Amestoy (accordéon), Claude Sicre (ektara, tympanon pyrénéen, guitare, tusta-zoi'n, tamboori), Jean-Jacques Palix (sirène), Frédérick Simon (banjo); Tomàs et Matèu Baudoin (flûtes béarnaises), Claude Romero (cabreta, esquilons), Jean-Claude Maurette dit Esquiròl (accordéon), Christina Vetrone, Enza Prestia, Lorella Monti, Enza Pagliara, Flore Sicre (chœurs)

Bombes 2 Bal は南仏オクシタニア (Occitania) はミディ=ピレネー地域圏の首都トゥールーズ (Toulouse, Haute-Garonne, Midi-Pyrénées, France) で Lise Arbiol と Aurélie Neuville が結成した 女性4人男性1人 (このアルバム制作時) からなるグループだ。 前作にあたる1stアルバム Danse Avec Ta Grand-Mere (Tôt Ou Tard, 8345 10520 2, 2004, CD) では、オクシタニアの伝統的な音楽とブラジルのノルデスチ (Nordeste, Brasil) の音楽 forro を併せたような音楽を演奏していた。 2007年半ばにリリースされた3年ぶりの2ndアルバムは forro 色や rap/raggae 的な音処理は後退させつつ 多様な folk/roots 的要素を消化した作品に仕上っている。 ノリの良さや勢いは減ったが、音楽性の広がりがそれを充分に補っている楽しい作品だ。

同郷トゥールーズで Bombes 2 Bal 結成をバックアップした Fabulous Trobadors の Claude Sicre が "direction musicale" にクレジットされている (前作も co-réalization にクレジットされていた)。 しかし、このアルバムでは、Bumcello の Vincent Segal (関連レビュー) が réalization artistique にクレジットされており、演奏にも参加している。 この Segal の参加が、新作の音楽性の幅の広がりに寄与したように思われる。

前作の違いで最も印象に残るのは、 Jérémy Couraut の弾く esclòp (voilon-sabot) や réalization artistique もしている Segal の cello の鈍い弦の響きだ。 軽快に弾く "L'Amour, Toujour L'Amour" も良いし、 弦楽器に加えベアルン (Béarn) 地方の伝統的な flute もフィーチャーして tarantella のようなトランス音楽に近い展開にもなる "A L'Ostal" や "Vau Al Horn" も良い。 Bombes 2 Bal のメンバー自身の演奏ではないが、 オーヴェルニュ (Auvergne) 地方やリムーザン (Limousin) 地方の伝統音楽とも似た cabret と accordéon のデュオを挟んだりもする ("Regret Pour L'Enterrement Du Papet")。 ragga/rap 的な音処理が後退しったことも合わさって、 FAMDT (Fédération des Associations de Musiques et Danses Traditionnelles) のレーベル Modal / Plein Jeu がリリースしているコンテンポラリな folk/roots の音楽に近くなっている。

forro 的な要素は後退したが、他のブラジル音楽の要素も聴かれるようになっている。 ゆったりしたリズムに cello か esclòp で berimbau な音でアクセントを加えた "Bienevue À Toulouse" は、guitar のフレーズもブラジル風だ。 "Je Fais La Sieste" の guitar でゆったり刻まれるちょっとreggae 風の後ノリのリズムの曲もある。 こういうゆったりした曲も、女性の歌声もあって可愛らしく、気に入っている。

Claude Sicre, Tom Schamp, Fabulous Trobadors, Bombes 2 Bal
Le Quartier Enchantant
(Toto Ou Tartare, 8345 10557 5, 2006, CD+book)
1)Un An De Plus 2)Bonne Nuit 3)Minéra Soi 4)Pas De Fumèe Sans Feu 5)Ta Ville Sera Ce Park 6)Déménageons 7)Bonne Année 8)Aux Chalets, C'Est La Fête Aujourd'Hui 9)Les Gens D'Ici 10)Bon Voyage
Histoire par Claude Sicre. Illustré par Tom Schamp Interprété par Fabulous Trobadors, Bombes 2 Bal & la Chorale Civique D'Arnaud Bernard with Jérémy Couraut & Vincent Segal.

2nd アルバムに先だって、 Fabulous TrobadorsBombes 2 Bal が音楽を付けた 音楽絵本がリリースされている。 Fabulous Trobadors と Bombes 2 Bal が合体し、 Bal Indigène に参加していた Jérémy Couraut と Vincent Segal、 さらに子供たち (la Chorale Civique D'Arnaud Bernard) の歌声も加わって、 ちょっと可愛らしくノリ良く賑やかに仕上がっている。 ただ、音楽的には企画物っぽさが強い上に30分余りと短い収録時間なので、 絵本を目当てとするのではないとすると、ファン向けの内容かもしれない。

絵本は44ページで、5歳程度の子供向けとのこと。 物語は Fabulous Trobadors の Claude Sicre が書いている。 言葉はオック語ではなくフランス語だ。 フランスの街に住むアフリカ系と思われる少女 Zaza を主人公として、 その街を舞台とした日常をベースとした御伽話、という感じの内容のようだ (自分のフランス語力は拙いので誤解があるかもしれない)。

この音楽絵本は、Fabulous Trobadors や Bombes 2 Bal が在籍している レーベル Tôt Ou Tard と フランス語翻訳物の文芸書や美術書で知られる出版社 Actes Sud が 2006年に共同で始めた音楽絵本のレーベル Toto Ou Tartare からリリースされている。 現在、Le Quartier Enchantant を含めて全5タイトル出ている。 他のタイトルでは、Françoiz Breut (2タイトル)、Dick Annegarn、Franck Monnet (いずれも Tôt Ou Tard レーベルのミュージシャン) が音楽を付けている。 CDケース大のCDブックの他に、大判の絵本も出版されているようだ。 このような子供向け音楽というと、FAMDT も Modal Pouce というレーベルから Alain Gibert や Patrick Vaillant など folk/roots シーンで活躍する ミュージシャンによる子供向け音楽をリリースしてきている。 Toto Au Tartare はその Tôt Ou Tard 版という感じだ。 フランスではそういう需要が根強いのだろうか。