2005年11月頃のフランスの音楽に関する一連の発言の抜粋です。 古い発言ほど上になっています。 リンク先のURLの維持更新は行っていませんので、 リンク先が失われている場合もありますが、ご了承ください。 コメントは談話室へお願いします。
フランス (France) に FAMDT (Fédération des Associations de Musiques & Danses Traditionnelles。 伝統音楽舞踊協会連合) という フランス各地の伝統音楽や伝統舞踊の協会の連合組織があります。 FAMDT は Modal という出版部門を持っていて、1990年代末からCDもリリースしています。 レーベル主宰 (label dirigé) は 1990年代に Silex レーベルを手がけていた André Ricros です。 そんなわけで、伝統音楽 (musiques traditionnnelles) といっても、 同時代の jazz や rock、electronica の影響も消化した意欲的なリリースも多く、 Silex の後を継ぐレーベルと言えるでしょう。
3年前にも、
Patrick Bouffard,
Transept
(Modal / Plein Jeu, MPJ111017, 2001, CD) と、
Gilles Chabenat / Edouard Papazian,
Le Traité Des Songes
(Modal / Plein Jeu, MPJ111025, 2002, CD) を
紹介したこともありますし (関連発言)、
Modal は以前から気になっているレーベルです。
しかし、流通がイマイチ悪いのが難でしょうか。
気になるけど未入手のリリースが溜まってきたので、
いくつかまとめてオーダーしました。
一番の期待は、3年前に1stをレビューした Patrick Bouffard Transept の新作 Second Prélude (Modal / Plein Jeu, MPJ111038, 2005, CD)。 もちろん入手。良いんですが、1stほどハマりません……。期待が大きすぎたでしょうか。 もう少し聴き込みたいところです。
フランス南東部ローヌ=アルプス (Rhône Alpes) 地域圏の南西部 アルデシュ (Ardèche) 県を拠点に活動するバンド Le Syndrome De L'Ardèche は、自称 "Jazz et Traditions Nouvelles du Vivarais et des Cévennes" (ヴィヴァレ地方とゼヴェンヌ地方の新しい伝統音楽とジャズ) を演奏するバンド。以前から ネットで試聴して気になっていたので、 2ndアルバム Mastic Central (Modal / Plein Jeu, MPJ111033, 2003, CD) を入手しました。CDを通して folk な brass band なノリも歌物も楽しめたので、 少し前のリリースですが、レビューを書いておきました。 自主制作の1st Le Syndrome De L'Ardèche (self-published, 2000, CD) も聴いてみたいものですが、直接コンタクト取らないと無理かなぁ……。うーむ。
フランスの地域圏 (région) やその首邑ぐらいだとどの辺りにあるか直に頭に浮かびますが、 さすがに、アルデシュ県やヴィヴァレ地方、セヴェンヌ地方と言われても、いったい何処? という感じです。 ま、県の方は簡単に調べが付くとはいえ、ヴィヴァレやセヴェンヌについては フランス語版 Wikipedia の御世話になりました。いやー、こういう時、Wikipedia は便利です。 ちなみに、Wikipedia での Vivarais と Cévennes。
先日のフランス (France) の FAMDT (Fédération des Associations de Musiques & Danses Traditionnelles。伝統音楽舞踊協会連合) のレーベル Modal の話のフォローアップ。
FAMDT は「新しい伝統音楽」 (nouvelles musiques traditionnelles) の普及を目的とした Planètes Musiques というアーティスト支援プログラムを持っています (来年2006年の支援プログラムに選ばれたアーティストがウェブで発表されています)。 また、2月に Festival Planètes Musiques というフェスティバルを開催しています。 第5回にあたる2005年から開催方法を大きく変えたそうで、今年から、 その出演アーティストを中心に12組の音源を収録したコンピレーション Various Artists, Planètes Musiques: Les Nouvelles Musiques Traditionnelles (Modal / Plein Jeu, MPJ111034, 2005, CD) がリリースされています (2006年もリリース予定はあるようです)。
このコンピレーションも入手してみたのですが、とても面白かったです。 伝統的な楽器を使ったり、伝統的な曲をベースとした演奏をしたりしているのですが、 アレンジが面白いというか。 electronics を用いているものもあれば、improv 色濃いものもあります。 ライヴでは video projection を使っているグループもあるようです。 同時代の音楽の影響も消化した意欲的なフランスの folk の 良いショーケースになっていると思います。 収録されていたグループについて軽く調べたりしたので、 備忘録とリンク集代わりに軽くコメント。
どれも興味深かったですが、特にもっと聴き進めたいと感じたのは、 Duo Bertrand en Cie, La Charmeuse De Serpents (Eric Montbel), Gadalzen, Corou De Berra, Ténarèze, Jean-François Vrod といったところでしょうか。
Modal のコンピレーションといえば、 Various Artists, Musiques À Danser D'En France / Traditional Dance Music (Modal / Thema, MTE114001, 2002, 2CD+book) も入手してみました。 フランス各地だけではなく、ヨーロッパ各地、アフリカや中南米までカバーしています。 収録している曲は本当に伝統的なものから最近のものまでいろいろで、 Planètes Musiques のように焦点が絞れていないという印象も。 ブックレットには各地のダンス音楽の歴史や特徴が写真付きで載っているのですが、 収録されているミュージシャンの解説等は載っていません……。 あと、ジャケットやブックレットは綺麗なのですが、 縦長2枚組デジパック仕様は収納に困るんですよね……。
1ヶ月ほど前、フランス (France) の FAMDT (Fédération des Associations de Musiques & Danses Traditionnelles。 伝統音楽舞踊協会連合) のレーベル Modal の 話をしたわけですが、その話のフォローアップ。 (既に消えているので、その発言を アーカイヴに載せました。)
フランス中南部オーヴェルニュ (Auvergne) の Patrick Bouffard Transept の新作 Second Prélude (Modal / Plein Jeu, MPJ111038, 2005, CD) に続いて、Transept の女性 vielle 奏者 Anne-Lise Foy 率いる 4tet Tend'M の初CD Tend'M (Modal / Plein Jeu, MPJ111036, 2005, CD) も入手しました。女性3人男性1人という編成で、 いかにもフェミニンなジャケット・デサインだったので、 そういう感じの作品なのかと予想していたのですが、 以外と地味というか硬派な jazz の影響を受けた folk/roots でした。うーむ。 地味とはいえ Transept の新譜も Tend'M の新譜も フランスの新しい folk/roots の佳作でしょう。 併せてレビューを書いておきました。 ちなみに、Tend'M は FAMDT の助成プログラム Planètes Musiques の 2006年助成アーティストに選ばれています。Various Artists, Planètes Musiques: Les Nouvelles Musiques Traditionnelles (Modal / Plein Jeu, MPJ111034, 2005, CD) がとても面白かったので、 関連盤もいろいろ入手しはじめています。 その1曲目に収録されていた Duo Bertrand en Cie の新作 Couleurs Racines (Duo Bertrand, DBC6168, 2005, CD) も入手しました。 Transept, Tend'M の Lise-Anne Foy もゲスト参加してますし。 しかーし、CD一枚通して聴くとやはり地味かしらん。 Planètes Musiques にも収録された "Suite De Maraichines" が一番よい曲かも……。うーむ。 ところで、1ヶ月にブルターニュ (Bretagne/Brittany) のバンドと紹介しましたが、 間違っていました。訂正します。 自称 "Musiques Traditionalles et de Composition du Marais Breton Vendéen" (ヴァンデ県のブルターュ系のマレー地方の伝統音楽と混成音楽) ということで、 フランス大西洋岸中部、ポワトー (Poitou) のマレー (Marais) 地方 (マレー・ポワトヴァン地方 (Marais Poitevin) とも。 現在のペイ・ド・ラ・ロワール地域圏ヴァンデ県 (Vandée, Pay de la Loire) 界隈) のバンドで、 そこに残るブルターュ系の音楽を演奏するバンドだったのですね。へ〜。 こういう微妙なローカル色が興味深いです。
フランス (France) 地中海岸プロヴァンス (Provence) の主邑の港町 マルセイユ (Marseilles) の La Plana 地区から出てきたバンド Dupain の待望の新作 Les Vivants (Corida / Bleu Electric / Label Bleu, LBL4012, 2005, CD) をリリースしました。期待以上の充実の出来なので、さっそく レビューを書いておきました。 ちなみに、Dupain については、デビュー作 L'Usina (Virgin (France), 7243 849317-2 8, 2000, CD) のレビューと、2作め Camina (Virgin (France), 7243 812498 2, 2002, CD) のレビューもあります。
新作の特徴の一つはゲストの多さでしょう。 Dupain のフロントマン Samuel Karpienia は1990年代 Gacha Empega というポリフォニーのグループをやっていた (Polyphonies Marseillaises (L'Empreinte Digitale, ED13080, 1998, CD) のレビュー) わけですが、 その盟友 Manu Théron が現在やってるポリフォニーのグループ Lo Còr De La Plana (Es Lo Titre (Nord Sud, NSCD1121, 2003, CD) のレビュー) が参加してます。 Théron が手掛けている Lo Còr De La Plana の妹分的女性ポリフォニー Original'Occitana が参加しているのも、気になります。 彼女らのCDはまだ出ていないようですが、こちらもちゃんと聴いてみたいものです。
Manu Théron コネクションといえば、 イラン (Iran) の zarb 奏者 Bijan Chemirani や クレタ (Crete) の lyra 奏者 Stelios Petrakis の参加は、 Bijan Chemirani, Eos (L'Empreinte Digitale, ED13147, 2002, CD) (レビュー) 繋がりですね。 Chemirani / Petrakis は Dupain のように reggae / rap の影響を受けた音楽をやってきている人達ではないですが、 Eos や Stelios Petrakis / Bijan Chemirani, Kismet (Buda Musique, 860110, 2005, CD) (レビュー) などギリシャ (Greece) を中心に地中海〜中近東に広がる音楽性を持つ 興味深いリリースを続けて来ている人たちですし、 彼らと Dupain がこうして繋がりがあるいうというのも、面白いです。
Dupain の拠点マルセイユは、紀元前600年頃にギリシャ系ポカイア (Phocaea。 現在のトルコのイズミル (Izmir, Turkey) の近く。現トルコ名 Foça) 人の植民市として生まれた街です。旧称 Massilia (マッサリア)、 Cité Phocéenne (ポカイア人の街) という別称もあったりします。 Gacha Empega や Dupain、Lo Còr De La Plana、同郷の Massilia Sound System 等の (re)mixing を手がけてきている La Phocéenne de Dub も 「ダブのポカイア女」という感じの意味です。 マルセイユのシーンには、ルーツの一つとしてギリシャを意識しているのかも、 と思わせる所もあったりします。
ちなみに、ヘロドトス 『歴史 (上)』 (岩波文庫, 青405-2, ISBN4-00-334051-5, 1971; Herodotus, Historiae) には、 「このポカイア人はギリシャ人の中では遠洋航海の先駆者であり、アドリア海、チュルセニア、イベリア、タルテッソスなどを発見したのもこのポカイア人である。 彼らは航海には丸形の船を用いず、五十橈船を用いた」 とあります (巻一:一六三, p.124)。
去年10月に続いて、フランス (France) の
FAMDT
(Fédération des Associations de Musiques & Danses Traditionnelles)
でまとめ買いしたのですが、1月末に小包が届きました。
注文の主目的は、2006年版の
Various Artists, Planètes Musiques: Les Nouvelles Musiques Traditionnelles
(Modal / Plein Jeu, MPJ111037, 2006)
を入手するためでしたが、ついでの勢いでいろいろ注文したところ、
カタログとかオマケのCDとかいろいろ付けてくれました。ありがたいことです。
今度の週末 2/17〜19 にパリ (Paris) で開催される
Festival Planètes Musique 2006
と 5/11〜6/30 にフランス各地で開催される関連ライヴの
フライヤも入っていたのですが、これはフランスまで観に来いということでしょーか。
というか、2/17〜19なんて無理過ぎです……。
もし、観に行くという方がいらしたら、
後でどんな感じだったか教えて頂ければ、嬉しく思います。
さて、2005年版のときと同様に、
2006年版 Planètes Musiques に収録されたグループについて
軽く調べたりしたので、備忘録とリンク集の代わりのコメントを。
Planètes Musiques はショーケース的なコンピレーションにしては 収録曲にハズレが少いように思うのですが、 残念ながら、2006年版は2005年版よりも新たな発見が無かったように感じました。 Duo Lefeuvre & Diaz, Melonious Quartet, Laurent Cavalié, Tend'M は既に関連盤をそれなりに持っているミュージシャンでしたし。 それ以外でもう少し聴き進めてみたいと思ったのは、 Joan Francés Tisnèr の Menestrèrs Gascons くらいでしょうか。