フランス南部にあたるオクシタニア (Occitania) の オーヴォルニュ (Auvergne) 地方やラングドック (Languedoc) 地方の folk/roots をベースに jazz/improv 的な要素を加えたような音楽を演る La Fabrique というグループがいる [関連レビュー]。 そのメンバーとして活動する accordéon / percussion 奏者 Laurent Cavalié の もう一つのグループが、この Du Bartàs だ。 この Fraternitat! は2作目。 1作目の Turbo Balèti (Sirventés, 2007) は、残念ながら未入手だ。
演奏する音楽は、La Fabrique よりもオクシタニアのポリフォニーの要素が強いもの。 リズミカルな accordéon と打楽器の伴奏に乗り、 ちょっと陰りを感じるような節で、 時に Cavalié がソロで、時に男声3人のポリフォーニーが歌う。 accordéon を使わずリズミカルなポリフォニーを聴かせる “Aval Dins La Ribièra” や “La Cocodrilha” も良いが、 accordéon を使った緩めのリズムの歌の方が楽しめた。 “Cap De Fenhant” や、“Filha Que Ses A Maridar”、 そして同郷の女声ポリフォニーのグループ La Mal Coiffée も加わった “Tres Còps De Trompetas” など。
ちなみに、オクシタニアの他のグループからの影響も大きいようで、 “Cap De Fenhant” は La Talvera の収集した伝承曲、 Tres Còps De Tromtetas は Moussu T E Lei Jovents: “Paul, Emile Et Henri” に 着想を得た曲、とクレジットされている。 一方、南米コロンビア (Colombia) の cumbia の曲 “Dal Costat De Carcassona” を採り上げてもいる。
Du Bartàs: Fraternitat! で1曲にゲスト参加していた 女声ポリフォニーのグループ La Mal Coiffée も、2年前に Polyphonies Occitanes というアルバムをリリースしている。 アレンジは Du Bartàs の Laurent Cavalié だが、 彼が accordéon 演奏で参加するようなことはしていない。 一曲、guitar が控え目にゲスト参加しているだけで、 彼女ら自身による percussion のみを伴奏にポリフォニーを聴かせる。
Bombes 2 Bal [レビュー] のような賑やかなダンス的なノリは無く、 むしろ、無伴奏で声の響きだけで聴かせる展開が多い。 取り上げている曲は1曲を除き伝承曲だが、歌詞が判らないこともあるのか、 むしろ、Faraualla [レビュー] に近い 息の音などの抽象的な響きを生かしているような所が耳に残っている。
ちなみに、La Mal Coiffée は新譜 A L'Agacha を この10月にリリースしている (未入手だが)。 また、Laurent Cavalié のソロ Soli Solet のリリースが 来年に予定されている。 ちなみに、この2作のリリースは、 Du Bartàs: Fraternitat! と同じく、 オーベルニュのオーリヤック (Aurillac, Cental, Auvergne, FR) の 独立系のエージェンシー/レーベルの Sirventés。 公式サイトによると、所属アーティストには、 ミュージシャンだけではなくコントや演劇のパフォーマーも同程度含まれている。 このサイトの情報だけでは、共演などがどのくらい行われているのか判断しかねるが、 音楽と演劇の近さを感じるようで、とても興味深い。