Faraualla は南イタリアはプッリャ州バーリ (Bari, Puglia, Italy) を拠点に活動する percussion を伴奏にした女性ヴォーカル・グループだ。 1995年に活動を始め、この Sospiro は 前作 Sind' (Amiata, 2002; レビュー) から6年ぶりの3作目だ。 その間に、Teresa Vallarella と Gabriella Schiavone 以外の女性歌手が 入れ替わっているが、相変わらずのヴォーカルワークも楽しい作品だ。
Faraualla は抽象的なヴォイスを楽器のように使って音楽を作るグループだ。 1作目 Faraualla (Amiata, 2001) で Zap Mama の曲 "Furahi" を取り上げていたくらいで、ルーツの一つはそこにあるだろう。 息の音などの非音声の使い方などは Meredith Monk も参照しているかもしれない。 前2作よりも percussion もしっかりフィーチャーしノリも良く、 少々ユーモラスでポップな仕上がりだ。 地元プッリャの伝承的な主題や地元の方言を使ったりしているが、 最後の "Il Ciucciariello" が Mesagne (Brindisi, Puglia, IT) の伝承曲に基づくものである以外は、全て自作曲だ。 1作目のような folk/roots の要素の濃さは無い。
彼女たちの魅力が良く出ているのは、 アップテンポな percussion に乗って Meredith Monk を思わせる息を使った少々飛躍のあるフレーズから 地声コーラス風に雪崩込む "Ci Lu Patiscisti" や、 cuica の音もひょうきんな samba 風のリズムにユーモラスな声が絡む "Auanda La Cuica" のような、 ノリの良い曲だろう。
最後の伝承曲 "Il Ciucciariello" は ユーモラスにアカペラコーラスをバックにソロで歌い込むという Faraualla にしては珍しいアレンジだ。 そして、それも悪くない。 こういうアレンジで "Bella Ciao" 等に挑戦して欲しいようにも思う。
ちなみに、前作 Sind' と この新作 Sospiro の間の彼女たちが参加した録音として、 Italian Instabile Orchestra で知られる バーリの jazz trumpet 奏者 Pino Minafra (関連レビュー 1, 2) の Terronia (ENJA (MW), ENJ 9480 2, 2005, CD) がある。 この作品には、Cesare Dell'Anna らの Opa Cupa 勢 (関連レビュー) も Meridiana Multijazz Orchestra として参加しており、 プッリャのオールスターのような顔ぶれだ。