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Review: Faraualla, Sospiro
2008/07/06
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Sospiro
(Felmay, FY8134, 2008, CD)
1)Ci Lu Patiscisti 2)Il Sogno Di Frida 3)Rikitikitavi 4)Ki Te Mu 5)La Notte Bianca 6)Quingui 7)Auanda La Cuica 8)Ogni Male Fore 9)Smilla 10)Pulsatilla 11)Il Ciucciariello
Prodotto de Gabriella Schiavone e Felmay.
Teresa Vallarella (voce), Gabriella Schiavone (voce), Paola Arnesano (voce), Loredana Perrini (voce); Pippo Ark D'Ambrosio (percussioni), Cesare Pastanella (percussioni), Vito Cardellicchio (percussioni), Gennaro Mele (samples) Caparezza (voce solista).

Faraualla は南イタリアはプッリャ州バーリ (Bari, Puglia, Italy) を拠点に活動する percussion を伴奏にした女性ヴォーカル・グループだ。 1995年に活動を始め、この Sospiro は 前作 Sind' (Amiata, 2002; レビュー) から6年ぶりの3作目だ。 その間に、Teresa Vallarella と Gabriella Schiavone 以外の女性歌手が 入れ替わっているが、相変わらずのヴォーカルワークも楽しい作品だ。

Faraualla は抽象的なヴォイスを楽器のように使って音楽を作るグループだ。 1作目 Faraualla (Amiata, 2001) で Zap Mama の曲 "Furahi" を取り上げていたくらいで、ルーツの一つはそこにあるだろう。 息の音などの非音声の使い方などは Meredith Monk も参照しているかもしれない。 前2作よりも percussion もしっかりフィーチャーしノリも良く、 少々ユーモラスでポップな仕上がりだ。 地元プッリャの伝承的な主題や地元の方言を使ったりしているが、 最後の "Il Ciucciariello" が Mesagne (Brindisi, Puglia, IT) の伝承曲に基づくものである以外は、全て自作曲だ。 1作目のような folk/roots の要素の濃さは無い。

彼女たちの魅力が良く出ているのは、 アップテンポな percussion に乗って Meredith Monk を思わせる息を使った少々飛躍のあるフレーズから 地声コーラス風に雪崩込む "Ci Lu Patiscisti" や、 cuica の音もひょうきんな samba 風のリズムにユーモラスな声が絡む "Auanda La Cuica" のような、 ノリの良い曲だろう。

最後の伝承曲 "Il Ciucciariello" は ユーモラスにアカペラコーラスをバックにソロで歌い込むという Faraualla にしては珍しいアレンジだ。 そして、それも悪くない。 こういうアレンジで "Bella Ciao" 等に挑戦して欲しいようにも思う。

ちなみに、前作 Sind' と この新作 Sospiro の間の彼女たちが参加した録音として、 Italian Instabile Orchestra で知られる バーリの jazz trumpet 奏者 Pino Minafra (関連レビュー 1, 2) の Terronia (ENJA (MW), ENJ 9480 2, 2005, CD) がある。 この作品には、Cesare Dell'Anna らの Opa Cupa 勢 (関連レビュー) も Meridiana Multijazz Orchestra として参加しており、 プッリャのオールスターのような顔ぶれだ。

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