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Review: Mats Gustafsson + Jim O'Rourke (live) @ Mary Jane, Shibuya, Tokyo
2010/09/20
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Mats Gustafsson + Jim O'Rourke
Mary Jane, 渋谷
2010/09/17, 20:00-22:00
Mats Gustafsson (baritone saxophone), Jim O'Rourke (semi-acoustic guitar).

トリオ The Thing 等で知られるスウェーデンの saxophone 奏者 Mats Gustafsson と、 Gastr Del Sol に Sonic Youth とアメリカの alt/post-rock 文脈での活動後に 日本に拠点を移して活動する guitar 奏者 Jim O'Rourke の duo でのライブだ。 Gustafsson のライブは何回か観ているが、爆音 sax という印象が強かった。 しかし、会場が小さなハコだったこともあってか、 細かなテクスチャ作りという今まで観たライブとは異なる面を聴くことができた。 パワフルな The Thing とはひと味違う、 むしろ、Gustafsson、O'Rourke に Thurston Moore を加えた Diskapholics Anonymous Trio の Diskapholics Anonymous Trio (Crazy Wisdom, CW005, 2001, CD) に近い演奏が楽しめた (O'Rourke は synth ではなく guitar だったけれども)。

やはり、印象に残った演奏は Mats Gustafsson。 もちろん判り易いメロディを吹くようなものではないのだが、 フラットに吹かれる音も、強さは感じさせるものだけれども音量が大きいのとは違う、 むしろ、遠くで鳴る汽笛かサイレンのよう。 ボッボッボッボンとか低音弦を弾くような音やバチッと弾けるような音など、 saxophone で吹いているとは思えない音を駆使する様子が楽しめた。 爆音にしてもよく制御しているんだろうと思いつつ、演奏の様子を観ていた。 抽象的な音響のような Gustafsson の sax に対し、 O'Rourke も guitar の繊細な響きを生かすような演奏。 時折、ふと感傷的な旋律を感じるような所も含めて、昔の Gastr Del Sol をふと思い出したり。 そして、その2者のコントラストも楽しめた。

ちなみに、今回の Mats Gustafsson の来日は、スウェーデンのトリオ Fire! (with Johan Berthling (bass, electric guitar and Hammond organ) and Andreas Werliin (drums)) の日本ツアー。 9月12日には六本木 Super Deluxe で Fire! + Jim O'Rourke のライブがあったのだが、 残念ながら都合が合わずに観ることが出来なかった。 17日も会場には Berthling + Werliin も来ていたが、会場が狭いため、飛び入りは無かった。 12日は Billy Bang + Todd Nicholson @ 渋谷 Mary Jane と被ってしまったのでした。