1990年代末から dubwise な jazz/electronica を作り続けてきている Burnt Friedman と、 krautrock のグループ Can のメンバーなどとして1960年代から活動を続けてきている drums 奏者 Jaki Liebezent。 この2人のケルン (Köln, DE) のミュージシャンによるプロジェクトによる2年余ぶりの4作目。 前作 Secret Rhythms 3 (Nonplace, NON25, 2008, CD) [レビュー] で聴かれるようになった3拍子4拍子入り乱れるような複雑なリズムは、この新作でも相変わらず。 新展開があまり感じられなかったのは少々残念だが、 浮遊するよう音色が刻む複雑なリズムが楽しめる作品だ。
曲名のハイフンの後ろの数は拍子を表しているように思われ、 “128-5” と “120-5” は5拍子、 “182-11” と “120-11” は11拍子、 “131-7” は7拍子の曲だ。 ただし、“204-7” は少々複雑なアクセントとはいえ4拍子に聴こえるので、 自分の推測違いかもしれない (もしくは、単に自分のリズム感が悪いのかもしれない)。 前半の3桁の数の数が何を差すかは不明だ (Traktor でも確認したが、少なくとも BPM ではない)。
そんな複合拍子の旋回するようなリズムを、浮遊するような軽い音色で淡々と刻んでいる。 “204-7” や “120-5” での hang drum (凸型 steelpan) の音色が耳を捉える一方、 以前に聴かれたような guitar の軽快なカッティングのような音は後退している。 エンディングの “120-5” は Secret Rhythms 3 の “Entsafter” のリメイク (もしくはリミックス) とでも言える曲だが、 この2曲を聴き比べると、その変化がよく判るだろう。 Hayden Chisholm も1曲で参加しているが、その flute/sax の音も目立たない。 ゲストを控えめ目に Friedman と Liebezeit の2人の演奏を中心に据えて音を構成しているよう。 そして、その少々装飾を抑えたような音作りが良い新作だ。