Electronica は
“From Siberia with Love” を謳うロシアのレーベル。
東シベリアの中心都市イルクーツク (Иркутск) とロシアの首都モスクワ (Москва) を拠点に2008年から活動している。
主宰はイルクーツク州出身の Sasha Khizhnyakov [Саша Хижняков] (aka 9 Fake Tears) だ。
レーベルの名前の通り techno/electronica をメインのレーベルカラーとしており、
イルクーツクのローカルシーンを紹介するのではなく、
ロシア各地の techno/electronica のDJ/プロデューサをリリースしてきている。
また、Tinavie のように rock のグループのリリースもある。
リリースしているDJ/プロデューサは Pro-Tez, Highway や FUSELab と重なっており、
ロシアの techno のハブの1つと言えるだろう。
Electronica は、アルバムやシングルの“Net”リリースと、
複数のシリーズの DJ mix のpodcast 配信という、2つの無料リリースを積極的に行ってきている。
しかし、2010年には iTunes Store や Amazon MP3 等で販売する “Digital” リリースを始め、
2011年に入ってサブレーベル Compromat も始めており、“Net” リリースからこちらへ重心を移している。
正直に言えば自分も全てのリリースを追えていないのだが、
とっかかりとしてお薦めなのが、このコンピレーションだ。
Various Artists
Electronica 1.0
(Electronica, e10, 2009-02-01, DL)
1)9 Fake Tears: “1.0”
2)Audiodump: “Drowning In The Sky”
3)Frunk29: “Skorotechno”
4)The Unique Matter: “Unique Kanabin”
5)Nikosf.: “Mindshares”
6)Eric Delay: “Futuristic Town”
7)Adverb: “Criminal Romance”
8)Porain: “Manetti”
9)D:redmoon: “Vibra”
10)Modul: “Thin Glass Sculptures”
11)11.8: “Empty Mind”
12)Mostklik: “Meditation”
13)Vadim Lankov: “My Broken Robot”
14)Yuka: “Vatka”
15)Kammerton: “Fascinating Cyberstewardess With Her Inward Search”
16)Masha Era: “Black Creature (Remix)”
17)Siberian railway: “Raw”
18)Lazzich: “White Blue Black”
19)Milinal: “Edullient Sky”
20)Monokle: “Mass Deformation”
21)Sanderson: “Drops”
22)Yabuzch: “Falluv”
23)Killahertz: “Arcadia”
24)Okcug: “Hold Your Color”
25)Dominique Jacquinet: “Everlasting Love”
26)Waveform: “Disappearing Structures”
Production: Sasha Khizhnyakov.
Various Artists
Electronica 2.0
(Electronica, e20, 2009-12-09, DL)
1)Dop’q: “Photo”
2)Audiodump: “Timeless”
3)Ambientium: “Touch Of Light”
4)Alla Farmer: “Takatak”
5)Run Dom Paulse: “Return To The Earth”
6)Jahzique: “Funky Smiles”
7)Just2Feel: “The Hunter Of Harmony”
8)Hot Arctic: “Heim”
9)9 Fake Tears: “Thunderstorm”
10)The Kirbi: “Sleet”
11)Lazzich: “Shum Belogo”
12)Korablove: “Indian Summer”
13)Yuka: “Through A Mango Shade”
14)Milinal: “Autumn Crosses”
15)Adverb: “Efemer”
16)Gradient: “Aerobic”
17)Clouds In My Home: “Hap”
18)Thermingirl: “One Day (Doyeq Remix)”
19)Vadim Lankov: “November 19”
20)Monokle: “Mist”
21)Booff: “Leneyes”
22)Makin: “Soffto”
23)Nikosf.: “Smells Like Fall”
24)Combinator: “Plush”
25)Masha Era: “Animalcule (Remix)”
26)Polar Lights: “Supreme Soul (feat. River’n'Sea)”
27)Alex Danilov: “Canoe”
28)Frunk29: “Next”
29)Cella: “Pimpa Leaves Home”
30)Mostklik: “Hyposomnia”
31)D:redmoon: “Guli”
32)Muzikalist: “True”
33)Clapan: “Old-Cool Support”
34)Modul: “Kara Melek”
35)Okcug: “Voodoo”
36)Unlight: “Biser”
37)Komponente: “Back To The Roots”
Executive Producer: Sasha Khizhnyakov.
レーベル主宰の 9 Fake Tears はもちろん、
Pro-Tez レーベル [レビュー]
からもリリースのある Korablove (Roman Smirnov [Роман Смирнов], aka Barrytone)、
Polar Lights (Kirill Pavlyashik [Кирилл Павляшик])、
Alex Danilov [Александр Данилов] も参加。
まだリリースの少ない Masha Era も他で発表していない曲を提供している。
SCSI-9 の Kompakt からのアルバムで歌手としてフィーチャーされていた
Katya Ryba (Ekaterina Lyasheva [Екатерина Ляшева]) も D:redmoon 名義で参加している。
Highway Records の第一弾リリースだった Vadim Lankov [Вадим Ланков] も参加している。
Modul (Evgeny Shchukin [Евгений Щукин] & Alexander Tochilkin [Александр Точилкин]) や
Clapan (Dennis Korsunski [Денис Корсунский]) といった
クラスノダール勢 [レビュー] はもちろん、
FUSELab からリリースのある Lazzich (Sergey Lazarev [Сергей Лазарев], aka Clouds In My Home) や
ElectroSound レーベルからリリースのあった Monokle (Vlad Kudryavtsev [Влад Кудрявцев]) も参加している。
2009年という約2年前のリリースで、ここ最近の Electronica や FUSELab の変化を反映していないのも確か。
クラブ志向の techno / house よりもリスニング志向の IDM / ambient の傾向が若干強めかとも思うが、
ロシアの electronic music の一つのショーケースとしてお薦めだ。
ところで、2000年前後に活動していた Art-Tek や Exotica といったレーベル、
もしくは、Lo Recordings の Ru.electronic コンピレーション
[関連レビュー] で紹介された
ロシアの techno/electronica のユニットの中には、
グループ名や曲名がキリル文字/ロシア語のものがある程度含まれていた。
しかし、今回紹介した Electronica や、関連して言及した Pro-Tez、FUSELab、Highway といったレーベルでは、
キリル文字/ロシア語のものは無くなっている。この点は変わったと感じる。