ElectroSound は2005年に活動を始めたロシア・モスクワ (Москва, RU) のネットレーベル。 Nikita Golyshev [Никита Голышев] (aka CD-R) と Ilias Mikanaev [Ильяс Миканаев] (aka Zolotu, DJ Soothe) がその中で中心的な役割を担っていたようだ。 その後、Music Excentrica, Share My Wings, Weird Elements と姉妹レーベルを増やし、 2007年はそれらを束ねる形で NetAudio Russia へと発展した。 しかし、それ以降は NetAudio Moscow Festival に重心を移したか、 2008年を最後に NetAudio Russia 傘下レーベルからのリリースが止まり、 2009年には NetAudio Russia の活動が終了。 それまでにリリースした傘下のレーベルの音源はほとんど消えてしまった [関連レビュー]。 そんな ElectroSound が今年2011年に入って活動を再開した。
2011年頭にリリースされた第1弾は、 活動一時停止前となる 2005-2008年に ElectroSound レーベルからリリースされた音源から 編まれたアンソロジー。 姉妹レーベルからも、Musica Excentrica レーベルから2曲 (19, 23曲目)、 Weird Elements レーベルから1曲 (23曲目) 採られている。 住む街をテーマにして編まれたコンピレーション A Plaec To Live (ElectroSound, es30, 2007, DL) から7曲 (10, 11, 13, 14, 15, 20, 21曲目) 選んでおり、 モスクワやサンクトペテルブルグだけでなく ロシア国内の幅広い地域から参加ミュージシャンを集めていることが意識されているようだ。
収録されている音楽のメインは electronic なもの。 Electronica や FUSELab と比べても、 IDM や electronica、ambient/drone など、リスニング指向が強い。 とても良かったというより興味深く聴かれたという感じではあるが、 この時期の ElectroSound 音源の入手が困難になっているだけに、 概観する良いアンソロジーだろう。
そんな新生 ElectroSound の第一弾コンピレーションは、 旧 ElectroSound のコンピレーションシリーズ Some Dots Of A Certain Sound (ElectroSound, es01, 2005, DL)、 More Dots Of A Certain Sound (ElectroSound, es10, 2006, DL)、 Last Dots Of A Certain Sound (ElectroSound, es20, 2006, DL) を受けたようなタイトルだ。 moroza_knozova のように活動停止前と被るミュージシャンも参加しているし、 Pro-Tez や Highway のリリースに聴かれるような minimal な tech house と違い IDM / ambient 的な音作りが主流であるけれども、 2000年代半ばのリリース音源と聴き比べると、かなり音が良くなったように聴こえる。
少々感傷的なメロディを持つIDMを聴かせる moroza_knozva、 ギターのカッティングもキャッチーな Au7um など耳を捉えるが、 rap をフィーチャーした downtempo な 5-40am feat. Bezmenia や、 field recordings をベースにしてると思われる Alexei Borisov and Olga Nosova まで。 フロアを強く指向していない分だけ多様さが楽しめるかもしれない。
新生 ElectroSound は、Podcast も配信している。 中でも DJ Soothe (Ilias Mikanaev) による Netaudio Selection (ElectroSound, espod1, 2011-05-24) と Another Netaudio Selection (ElectroSound, espod4, 2011-05-25) は、ElectroSound に限らないロシアのネットレーベルのショーケースとなっている。 こういうネットレーベルを繋げるような活動も NetAudio Russia に連なるものだろう。 DIY 的な electronic music の中心的なネットレーベルとして、今後も活動を期待したい。