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Review: Sam Karpienia / Ulaş Özdemir / Bijan Chemirani: Forabandit
2012/12/03
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Sam Karpienia / Ulaş Özdemir / Bijan Chemirani
Forabandit
(Buda Musique, 860223, 2012, CD)
1)Neydik Biz 2)Paur 3)Vesionari 4)Amor De Luenh 5)Madem Dilber 6)Leylam Mevlam 7)L'Epicafti De Simon De Montfort 8)Dönen Dönsün 9)Cançion 10)Engabiolat 11)Dins Lo Monde
Sam Karpienia (mandoloncelle, voix), Ulaş Özdemir (bağlama, voix), Bijan Chemirani (zarb, percussions).

Forabandit は 南仏プロヴァンスの (Provance, FR) のルーツに根ざした活動する Sam Karpienia (ex-Dupain) [レビュー] と Erdal Ercinzan の ECM 録音 [レビュー] にも参加していた Ulaş Özdemir による、 南仏オクシタニアのトルバドゥール (troubadour) とトルコ・アナトリアのアシク (aşık) という 2つの吟遊詩人の伝統に橋をかけるプロジェクトだ。 その橋渡しをするのは、Oneira [レビュー] を始め 数多くの汎地中海プロジェクトに関わってきた Bijan Chemirani。

Sam Karpienia の少々しゃがれたような歌声に畳み掛けるようなアップテンポな展開の時など、 Bijan Chemirani も参加した前のソロ作 Extatic Malancòni を 思わすところもあるが、alt rock 色は薄く、アコースティックで軽い音作り。 Ulaş Özdemir の歌はアナトリアというか東地中海を思わせる節回しなのだが、予想以上に巧く馴染んでいる。 Chemirani が絡む汎地中海の音楽プロジェクトでは lyra や violin のような擦弦楽器の鈍い響きが大きくフィーチャーされることが多いだけに、 撥弦楽器である mandole と bağlama の軽快な弦の響きの掛け合いというのも新鮮に聴かれた。