南仏プロバンスのマルセイユ (Marseilles, Provance, FR) のグループ Dupain のリード歌手だった Samuel Karpienia のソロ名義の新作だ。 vielle à roue が抜けてツイン mandole 編成になったものの、 その少々ノイジーな音は Dupain から相変わらず。 むしろ、alt rock 色が少々濃い作品に仕上がっている。
撥弦楽器 mandole は電化されたものが使われており、 そのかき鳴らす音やディストーションで響かせるような音は guitar と似ている。 ブラインドで聴いたら普通のロックバンドの編成だと思うであろう程だ。 アップテンポな曲では、 Dupain では vielle à roue のジージー擦り響く音だった代わりに、 electric mandole 2本をかき鳴らして少々ノイジーで厚めの音を作り出している。 引きずるようなベースラインもなくなり、ビートも少々タテノリ。 そんな演奏に乗って Karpienia の歌唱もがなるように歌い上げる。 一方、mandole をかき鳴らしながら歌う、スローなロック・バラードのような曲も多い。 Noir Desir [レビュー] が electric guitar をプロバンスの mandole に持ち替えたよう、と、ふと思った程だ。
Dupain: Les Vivants のような グルーヴを感じる曲という点では “La Chute” や “Aussi Loin” だ。 しかし、“Lo Camin De Morgiù”、“Elle Émane” や “Le Poète” の方が、 この twin mandole という編成ならではの疾走感を楽しめるだろう。