日本の jazz/improv の文脈で活動しつつヨーロッパのミュージシャンとの共演も多い drums 奏者 羽野 昌二 [関連レビュー] のヨーロピアン・トリオの2人として、 ギリシャ出身ながらベルリンを拠点に活動する piano 奏者 Αντώνης Ανισέγκος と guitar/oud 奏者 Θύμιος Ατζακάς が来日しています。 この2人のプロジェクトによるアルバム σώμα (defkaz, 2009) を大変に気に入っていたので [レビュー]、 彼ら目当てにライブを覗いてきました。
前半は 羽野 / Ανισέγκος / Ατζακάς トリオで2セット。 後半は、ゲスト2人を交え、 羽野 / Ατζακάς / 中村 トリオ、羽野 / Ανισέγκος / 川崎 のトリオ、 Ανισέγκος - Ατζακάς デュオ、羽野ソロ、羽野抜きのカルテット、クインッテットと、短めのセッションやりました。 叩き出したらたとえブラシの微音であろうと時間を埋め尽くすかのように叩き続ける 羽野 のスタイルを反映してか、 Ανισέγκος も鍵盤を叩き続け、Ατζακάς もエフェクトは抑えめに短い音をかき鳴らし続けるような 手数音量勝負の展開が多いライブでした。 Ανισέγκος - Ατζακάς デュオのときにその片鱗を伺うことができましたが、 σώμα で聴かれたような 音数は少なめにアコースティックな楽器の響きを生かしたような演奏が聴かれなかったのは、少々残念。
σώμα だけでなく、 Rebecca Horn / Hayden Chisholm: Mirror Moon (2003) [レビュー] など、 今までCDで聴いて来た Ατζακάς は guitar よりも oud の演奏が印象的だったので、 それを楽しみにしていたのですが、結局 oud は弾きませんでした。 前半後半の間の休憩時間に Ατζακάς と少し話することができたのですが、その時の話では、 oud を持って飛行機に乗るには座席がもう一つ必要になってしまうため、日本に持ってこなかったよう。 会場で入手できた 羽野 / Ανισέγκος / Ατζακάς のトリオ ω-ΣΩΜΑ 名義での Playing With Light (gligg, 054, 2012, CD) でも、oud もクレジットされているものの、聴こえるのは electric guitar ばかり。 今回は 羽野 のカラーが強かったようにも感じましたし、oud を持って来なかったのは仕方ないかな、と。 もし次があるのであれば、今度は是非もっとギリシャ的な編成で、 できれば Μαρία Θωίδου [Maria Thoidou] や Σαβίνα Γιαννάτου [Savina Yannatou] と 来日して欲しいものです。