『ボンクリ・フェス』 (“Born Creative” Festival) も 2019年以来の海外ミュージシャンも迎えてそれ以前の形式での開催になったということで、 2019年 [鑑賞メモ] ぶりに足を運びました。
今までもライブなどで聴く機会もあった曲「森の中へ」 [Into The Forest] を 箏アンサンブル Talon [鑑賞メモ] のための組曲とした「あまつ風」を、 “alive painting” のライブ・プロジェクションと合わせて演奏しました。 前半は 八木 美知依 のソロで、中盤でパーカッション (サムルノリのゴング (ケンガリ、チン) と簓 (ささら)) を静かに鳴らしながら3人が登場し、 後半は箏4面編成で。 八木 こそディレイやルーパー等のエフェクトも駆使しましたし、 中盤4人が揃った場面では静かなポリフォニーもありましたが、 4面の箏のアコースティックな響きを使った演奏が印象に残りました。
中山 晃子 の alive painting は5年前に一度観たことがありましたが、 その時から比べてかなり進化しているように感じられました。 以前には感じられたマーブリング的な要素はほとんどなくなり、 色が流れ滲む様だけでなく、水性と油性の溶剤の作る界面だったり、泡や水泡、油泡、水泡の動きだったり、 金粉の塊から液中に粉が流れ出ていく様だったりと、様々な形状と動きを見せてくれました。 ホワイトボックスのような広めのスペースで、そんな 山中 晃子 のalive paintingのプロジェクションもあって、 super deluxeでのライブを観ているような気分になりました。 こういうスタイルのライブを久々に楽しみました。
今年のスペシャル・コンサートは、前衛的が薄まり、 従来的な意味でのメロディの要素の強い “Modern Composition”、“Post-Classical” のコンサートのように感じられました。 アコースティックな楽器音よりも電子的な音の方が気分だったのか、 八木 美知依 & 藤倉 大 のアルバム「微美」からの曲、そして、 静かに鳴る鐘のアンサンブル Anne Leilehua Lanzilotti: Beyond the accident of time から その Punkt Live Remix への流れが楽しめました。
2019年にも登場した Punkt ですが、今回は Nils Petter Molvær 抜きの3人編成、 終わり近くで Jan Bang のMCが入った物の、それ以外はブレイクなし。 お互いの音に電子的な加工を重ねていきます。 今回は具体音のインプットは Eivind Aarset のギター。 そして、セットにマイクスタンドが立っていたので、 開演前はシークレットゲストの歌手が加わるのだろうかと思っていたのですが、 中盤、そしてラストでは Jan Bang が歌う場面も。
MCの後の短いセッションでのテクスチャ感強めながらも Jan Bang の歌をフィーチャーした展開も 歌物のエレクトロニカにもつながる良さがありましたが、 中盤の Jan Bang の抽象化された歌声や、 MCのブレイクの直前にあった Eivind Aarset のギターのコード・ストロークが 音のテクスチャの中を流れるような展開が好みでした。
しかし、この日の気分というのもあったと思いますが、 クラッシック的なコンサートホールでのコンサートというフォーマットより、 オルタナティヴ・スペース的な空間でのライブというフォーマットの方が、 自分にはしっくりとくるというか、楽しめました。