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Review: 手塚 愛子 『落ちる絵 — あやとり』 @ ケンジタキギャラリー/東京 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2009/08/23
手塚 愛子
『落ちる絵 — あやとり』
ケンジタキギャラリー/東京
2009/07/16-09/09 (日月祝休;08/09-21休), 12:00-19:00.

既成の織物を解して糸を引き出した作品や、 刺繍の裏糸を長くたらした作品を作り続けてきた 手塚 愛子 の展覧会だ。 今回展示されていた『落ちる絵』は、その両者を繋ぎ合わせたような作品だった。 織物から抜き出された色糸が落ち、その先でその色糸が織物の柄を白い布に縁取り刺繍するという。 キャンバス状に枠にはめられた織物の柄が、刺繍枠にはめられた白い布に落ちている。 織物を解すことと刺繍することをその柄と糸を通して繋いでいる、 そのシンプルなアイデアをコンパクトに形にして見せている所、 そして、刺繍の図柄選びに変に外部から持ってきていない所が、気に入った。

今まで観た作品は、織物を解した糸、刺繍の裏糸のいずれにせよ、 ある程度の量がまとまることによる質感が面白いと感じていた。 しかし、今回の小規模な作品を見て、 このようなアイデアであれば量が無くても面白いな、と感心した。 もちろん、これを大きな作品にしたものも観てみたいようにも思ったけれども。