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Review: 内藤 礼, 畠山 直哉 (写真) 『タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください』 @ ギャラリー小柳 (美術展); 『椿会展2014 —初心—』 @ 資生堂ギャラリー (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2014/04/20
内藤 礼, 畠山 直哉 (写真)
『タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください』
ギャラリー小柳
2014/04/04-2014/05/31 (日月祝休), 11:00-19:00.

内藤 礼 の作品を撮影した 畠山 直哉 の写真の展覧会。 撮影された内藤の作品は感覚を研ぎ澄まさせるような細やかな物を配置する作品[関連レビュー]ではなく、 高さ2cm程の人型のオブジェとそれより一回り大きな溶け歪んだガラス小瓶などのファウンド・オブジェを10組程並べ、弓状に垂らした一連の暖色の照明で照らしたもの。

畠山 直哉 というとパンフォーカスな風景写真を得意としていて、 小さな物をクロースアップで撮ったもので思い浮かぶのは、 渋谷川の連作で暗渠のディテールを撮ったもの[関連レビュー]や、 東武ワールドスクウェアで25分の1の模型を内部の視点から風景写真のように撮ったもの[関連レビュー]くらいだ。

そういう意味で、このような小さなオブジェを、それも、焦点深度浅めに奥行きも強調してクローズアップで撮ったものは珍しい。 しかし、珍しさ以上のものを感じ取ることは出来なかった。 やはり、引いた位置の正面から平面的にインスタレーションされた壁全体を撮った写真が最も良かった。

『椿会展2014 —初心—』
資生堂ギャラリー
2014/04/10-05/25 (月休), 11:00-19:00 (日祝11:00-18:00).
赤瀬川 原平, 畠山 直哉, 内藤 礼, 伊藤 存, 青木 陵子

その畠山と内藤も参加したグループ展示。 こちらはコラボレーションでもなければ、展覧会としての方向付けもほとんど無い。

こちらに出展されていた畠山 直哉の写真の方が、 ギャラリー小柳での写真より良く感じられた。 いずれも2005年の写真連作だが、観たのは初めて。 山中の送電鉄塔や水力発電用ダムを撮った Untitled (electric) も良いが、 廃棄された送電鉄塔を全体が見切れるような近さから撮った Val Bedretto が、 画面に乱雑に走る鉄骨のラインに Blast シリーズ[関連レビュー]を思わせる強さを感じた。

赤瀬川 原平が1996年から2013年まで写真雑誌『アサヒカメラ』に連載した 「こんなカメラに触りたい」のために書いたカメラの鉛筆画も、 大量かつ整然と並べて展示され、Bernd & Hilla Becher の写真作品のような類似と差異が際立つような面白さがあった。