2000年代前半は毎年のように来日していたベルギーのダンス・カンパニー Rosas。 Zeitung [レビュー] 以来5年ぶりの来日は Drumming の再演。 2001年に Rosas を初めて生で観たときの作品だ [レビュー] Reich の音楽同様淡々として催眠的ですらある舞台だったが、美しさも感じた舞台だった。
2001年の時は席が前過ぎてフロアが見えず奥行きが見え辛かったので、今回は少し引いた位置の高めの席にした。 フロア中央に描かれた二つの黄色い星型らしき線は確認できたが、 ダンサーの動きで描いていた線とフロアの線の関係がはっきりと判るというほどではなかった。 マスゲーム的にパターンにはまった動きと緩く揺らぐ動きが入り混じるのだが、 Drumming のわずかに異なるテンポで鳴る平行する打楽器が、 モワレのようにシンクロするかのような展開から次第にばらけてポリリズミックになり再びシンクロしていく、 そんな音楽に合っていた。
今回も最も背の高い女性ダンサーに目が行ってしまったのだが、 最も背の高い女性ダンサーと、最も背の低い女性ダンサーは、 白を基調とした衣装の中でオレンジ系の上着を着ており、 動きの中でのマーカー的な役割を担わされていたことに気づいた。 大柄な女性ダンサーはやはり大柄な2名の女性ダンサーと組になることも少なくなく、 パターンを示すような動きが目立った。 その一方、最も小柄な女性は弾けるようなソロで目立っていた。 この2人が、パターン的な面と緩さの二端のアンカーのようだった。
後ろに無地のスクリーンが下げられ、 舞台両端にダンサーが腰掛けられるようなものが置いてある程度の、 ほとんど何もないミニマルな舞台美術なのだが、 こんなに照明が美しい舞台だったのか、と、気付かされた。 舞台後方が上方から暖色で照らされ、中央部に特に明るい所が作られていた。 一方、手前は暗く、少し青みを感じるくらい白い光を舞台前端から照らしあげていた。 暖色の明るい背景に手前のダンサーが薄暗く青白く暗く沈むよう。 そんな照明が、自然な立体感とは違う、レイヤーのような奥行きを作り出していた。 そんな光の中で、Dries Van Noten の白を基調としたシンプルながら布の揺らめく緩さのある美しいコスチュームで、 きらめくモワレを作るようなパーカッシヴな Reich の音楽で踊る様が、とても美しく感じられた。
Benjamin Millepied L. A. Dance Project の William Forsythe: Quintett [レビュー] といい、 Compañía Nacional de Danza de España の Ohad Naharin: Minus 16 [レビュー] といい、 去年頃から、10年近く観た作品の再見が増えているように感じます。 それだけ見続けてきたので偶然そういう事が続いただけかもしれませんが、 10年で上演レパートリーがちょうど一巡するくらいなのかもしれない、と思ったりもしました。