2010年、2013年に続いて開催された 『第3回東京ミドルシアター・フェスティバル 国際演劇祭 イプセンの現在』。 そのプログラムの1つとして、ベルギーのカンパニー tg STAN による、 Henrik Ibsen: En Folkefiende (1882; 『人民の敵』) に基づく作品を観てきました。 カンパニーは初来日ではありませんが、自分が観るのはこれが初めて。
途中休憩挟んで前半と後半で机の配置を変えましたが、机を並べただけの舞台。 指示を出すようにト書を読む1人と、セリフを読む男女2人ずつの4人が、早口にオランダ語で戯曲を読み上げていきます。 主役の Dr. Thomas Stockmann のみ1人1役で、残りは1人数役。 早口というだけでなく、とちってやり直したし、自分の役を確認したり、早口で付いていけるかと観客に尋ねたり、日本語字幕を指差したり、と、 異化効果を狙った演出を入れ込んだドラマリーディングのような舞台でした。 かといって、物語に入れ込めなかったり、セリフが白々しく感じたりしたかというと、さほどでもなく、 むしろそうならないギリギリの線を狙ったかのようなパフォーマンスでした。
2010年にノルウェー Nationaltheatret (国立劇場) による Runar Hodne 演出の『人民の敵』を観ていますが [レビュー]、 そちらは、むしろダンスやフィジカルシアターを思わせる演出。 それを思い出しつつ、対極的な演出だなと思いつつ、興味深く観ることはできました。 そして、やはり自分の好みはフィジカルな表現なのだと再確認したようなところもありました。
東京ミドルシアター・フェスティバルというか国際イプセン演劇祭 (なぜか呼称が統一されていないのですが) は、 一応、2010年 [レビュー, レビュー]、 2013年 [レビュー] と観たので、 今回も1本くらいは観ておきたいと思っていました。 フェスティバルのようなきっかけでもないと演劇にはなかなか足を運ばないですし。 あと、tg STAN の Jolente De Keersmaeker は Rosas [レビュー] を主宰する Anne Teresa De Keersmaeker の妹。 どんな女優なのだろうという下世話な興味も少々あったりしました。 そんなことも、観に行くにはいいきっかけかな、と。