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Review: Martin Zimmermann: Hello @ 東京芸術劇場 (サーカス/ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2017/07/30
東京芸術劇場 プレイハウス
2017/07/29, 17:00-18:15.
Concept, mise en scène, décor, chorégraphie et interprétation: Martin Zimmermann
Dramaturgie: Sabine Geistlich; Developpement du décor, coordination technique: Ingo Groher; Création musicale: Colin Vallon.
Production: Verein Zimmermann & de Perrot.
Résidence de fin de création au Théâtre Vidy-Lausanne, première le 4 novembre 2014.

Martin Zimmermann はスイス出身、主に現代サーカスの文脈で活動する演出家/振付家/パフォーマーだ。 フランス CNAC (Centre national des arts du cirque) でサーカスをを学び、 1998年より、同じくスイス出身の Dimitri de Perrot と Zimmermann & de Perrot として、スイス・チューリヒを拠点に活動している。 Zimmermann & de Perrot として、 2013年に Chouf Ouchouf [レビュー]、 2014年に Hans was Heiri [レビュー] で来日しているが、 今回はソロでの来日だ。

平行四辺形にひしゃげて潰れる高さ2m、幅5mほどの小部屋のような箱状の装置や、 箱、枠や板のような道具を使ってのパフォーマスは、 Hans was Heiri も思い出させるもの。 しかし、ソロ作品として期待するものではないと思うけれども、 Zimmermann & de Perrot として観た2作にはあった、 アクロバティックでダイナミックな動きが少なく、いささか単調に感じられた。 黒子的な女性アシスタントを使って、マジック的トリックも使っていたが、 たとえば Philippe Genty [レビュー] のように 幻想的なイメージ作りがあまりされていなかったせいか、さほど効果的には感じられなかった。 といっても、ひしゃげ潰れる箱状の装置の使い方はアイデアにあふれていたし、 ほぼ一人でのパフォーマンスと思えない広い空間使いに感心。 スラップスティックなクラウン的な動きも楽しんだ。

音楽を担当していたのは、ECM からのリリースもある jazz/improv の文脈で活動するスイスの piano 奏者 Colin Vallon [関連レビュー]。 パーカッシブな反復音や内部奏法も駆使した電子音とも親和性く、 適度に抽象的でコミカルな展開や感傷的なメロディを忍ばせた演奏は、 Zimmermann のパフォーマンスに合っており、ソロの単調さを救っていたようにも感じられた。 ピアノも生演奏で、演奏と掛け合うようにパフォーマンスしたら、もっとスリリングになったかもしれないとも思った。