りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 の劇場付きダンスカンパニー Noism Company Niigata [鑑賞メモ] の2024/2025シーズンの冬公演は、 ゲストの振付家にコンドルズの近藤 良平を迎えてのトリプルビルでした。
最初の『過ぎゆく時の中で』は、初演時は音楽祭の中でのオーケストラの前での上演とのこと。 奥行きのない横長の空間を使い、舞台下手から上手に向かって時が流れるように人々 (ダンサー) が流れていきます。 そんな中を、男 (金森) がゆっくりながら着実に歩みを進めていきますが、 男女が歩む男に絡んだ時は流れが止まり、時も止まったよう。 ラスト、追い越して行ったダンサーが背景幕の向こうにシルエットで浮かび上がり、 歩む男が客席に背をむけ彼らに手を伸ばした時、男が向きを変えたのではなく、映像を捉えるカメラが動いたかのような感覚にもなりました。 短い作品でしたが、このトリプルビルの中では最も気に入りました。
2作目はゲスト振付家の近藤が Noism1 に振付た新作『にんげんしかく』。 近藤がNoismに振付るのは19年ぶりとのことですが、自分が観るのは初めて。 ダンボール箱のを使ったシンプルでミニマリスト的な舞台ながら、 その箱から人格が現れるかのように中からダンサーが現れて踊ります。 シャープな踊りで見せるというより、セリフではないものの声も使ったわちゃわちゃとしたやり取りや、 音楽も daxophone を使いつつも抽象には徹せず歌うかのようにBella Ciao や What A Wonderful World のようなメロディを浮かび上がらせ、 ダンボールを組み合わせて様々な形を見せていくところは、 Noismとはかなり違うテイスト。やはり、コンドルズっぽかったでしょうか。
ラストは、元 Noism のゲスト2名を迎えての Noism0 に振付た金森の新作『Suspended Garden-宙吊りの庭』。 床と対になるように頭上に、赤や黄の紅葉などの映像を投影しつつ、 コールドのドレスが掛けられたトルソーと光沢のある赤のドレスを着た 井関 を対比させます。 途中で着替えるのかと思いきや、赤のドレスの上にゴールドのドレスを着て、踊ると裾から赤がのぞくところが印象的。 『夏の名残のバラ』 [鑑賞メモ] に近い雰囲気も感じしたし、 『過ぎゆく時の中で』でもあった手を前に差し出すようなポーズがポイントで使われるなど、いかにもNoismらしい作品でした。
劇場1階のガレリアと狭い吹き抜け様のスペースである光の庭を使って、目 [mé]がインスタレーションを展示していました。
といっても、『さいたま国際芸術祭2023』 [鑑賞メモ] や2019年の千葉市美術館 [鑑賞メモ] のように大規模に作り込んだものではなく、むしろさりげなく。
特に、光の庭を使った展示は、中央に落ちていたトゥーシューズは意図的なインスタレーションと思われますが、舞っていた透明なビニール袋は強風で偶然舞い込んだものかもしれない、という、
作品なのかそうでないのか判然としない雰囲気を楽しみました。