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Review: Noism0 / Noism1 『円環』 金森 穣 近藤 良平 Triple Bill @ 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール (ダンス); 目 [mé] 『LIFE SCAPER in SAITAMA ARTS THEATER –– ライフ・スケーパー』 @ 彩の国さいたま芸術劇場 ガレリア, 光の庭 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2025/02/09
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2025/02/08, 17:00-19:00.
『過ぎゆく時の中で』
約15分
演出振付: 金森 穣.
音楽:John Adams, The Charman Dances 衣裳: 堂本 教子, 中嶋 佑一.
出演: Noism0: 金森 穣; Noism1: 三好 綾音, 中尾 洸太, 庄島 さくら, 庄島 すみれ, 坪田 光, 樋浦 瞳, 糸川 祐希, 太田 菜月, 兼述 育見, 松永 樹志 (準メンバー).
初演: 2021年8月13日, TOKYO MET SaLaD MUSIC FESTIVAL 2021 [サラダ音楽祭].
『にんげんしかく』
約40分
演出振付: 近藤 良平.
音楽: 内橋 和久 《Singing Daxophone》; 衣裳: アトリエ88%.
出演: Noism1: 三好 綾音, 中尾 洸太, 庄島 さくら, 庄島 すみれ, 坪田 光, 樋浦 瞳, 糸川 祐希, 太田 菜月, 兼述 育見, 松永 樹志 (準メンバー).
『Suspended Garden-宙吊りの庭』
約30分
演出振付: 金森 穣.
音楽: Tôn Thất An, 映像: 遠藤 龍, 衣裳: 鷲尾 華子.
出演: Noism0: 井関 佐和子, 山田 勇気; ゲスト: 宮河 愛一郎, 中川 賢.

りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 の劇場付きダンスカンパニー Noism Company Niigata [鑑賞メモ] の2024/2025シーズンの冬公演は、 ゲストの振付家にコンドルズの近藤 良平を迎えてのトリプルビルでした。

最初の『過ぎゆく時の中で』は、初演時は音楽祭の中でのオーケストラの前での上演とのこと。 奥行きのない横長の空間を使い、舞台下手から上手に向かって時が流れるように人々 (ダンサー) が流れていきます。 そんな中を、男 (金森) がゆっくりながら着実に歩みを進めていきますが、 男女が歩む男に絡んだ時は流れが止まり、時も止まったよう。 ラスト、追い越して行ったダンサーが背景幕の向こうにシルエットで浮かび上がり、 歩む男が客席に背をむけ彼らに手を伸ばした時、男が向きを変えたのではなく、映像を捉えるカメラが動いたかのような感覚にもなりました。 短い作品でしたが、このトリプルビルの中では最も気に入りました。

2作目はゲスト振付家の近藤が Noism1 に振付た新作『にんげんしかく』。 近藤がNoismに振付るのは19年ぶりとのことですが、自分が観るのは初めて。 ダンボール箱のを使ったシンプルでミニマリスト的な舞台ながら、 その箱から人格が現れるかのように中からダンサーが現れて踊ります。 シャープな踊りで見せるというより、セリフではないものの声も使ったわちゃわちゃとしたやり取りや、 音楽も daxophone を使いつつも抽象には徹せず歌うかのようにBella Ciao や What A Wonderful World のようなメロディを浮かび上がらせ、 ダンボールを組み合わせて様々な形を見せていくところは、 Noismとはかなり違うテイスト。やはり、コンドルズっぽかったでしょうか。

ラストは、元 Noism のゲスト2名を迎えての Noism0 に振付た金森の新作『Suspended Garden-宙吊りの庭』。 床と対になるように頭上に、赤や黄の紅葉などの映像を投影しつつ、 コールドのドレスが掛けられたトルソーと光沢のある赤のドレスを着た 井関 を対比させます。 途中で着替えるのかと思いきや、赤のドレスの上にゴールドのドレスを着て、踊ると裾から赤がのぞくところが印象的。 『夏の名残のバラ』 [鑑賞メモ] に近い雰囲気も感じしたし、 『過ぎゆく時の中で』でもあった手を前に差し出すようなポーズがポイントで使われるなど、いかにもNoismらしい作品でした。

『LIFE SCAPER in SAITAMA ARTS THEATER –– ライフ・スケーパー』
彩の国さいたま芸術劇場 ガレリア, 光の庭.
2025/01/21-2025/02/24 (休館日を除く), 9:00-22:00.

劇場1階のガレリアと狭い吹き抜け様のスペースである光の庭を使って、目 [mé]がインスタレーションを展示していました。 といっても、『さいたま国際芸術祭2023』 [鑑賞メモ] や2019年の千葉市美術館 [鑑賞メモ] のように大規模に作り込んだものではなく、むしろさりげなく。 特に、光の庭を使った展示は、中央に落ちていたトゥーシューズは意図的なインスタレーションと思われますが、舞っていた透明なビニール袋は強風で偶然舞い込んだものかもしれない、という、 作品なのかそうでないのか判然としない雰囲気を楽しみました。