Noism Company Niigata のゲスト振付家を迎えての新作ダブルビルは、 2019/20シーズン [鑑賞メモ]、2020/21シーズン [鑑賞メモ]、2021/22シーズン [鑑賞メモ] と冬公演でしたが、 今回の2022/23シーズンは夏公演。 ゲスト振付家は La Danse Campagnie Kaleidoscope, Dance Brick Box を主宰する 二見 一幸 です。
まずは、金森 穣 『Silentium』から。 今回は、山田 勇気 とではなく 金森 穣 と 井関 佐和子 とのデュオです。 音楽が Arvo Pärt で、天井から落ちる4筋の白米というモチーフといい、抽象的で瞑想的な雰囲気といい、 『Fratres』三部作の延長というか続編のよう。 といっても、落ち着いた暖色系の照明といい、金色の衣裳といい、彩度を感じます。 金色というだけでなく硬い面を継ぎ合わせた様な形状の衣裳に負けない動きです。 ビデオは使いませんでしたが、途中、天井から鏡面の板が降りてきて、視覚的に4人で踊るように見せたりと、視覚的な遊びも感じる舞台でした。
後半は 二見 一幸 『Floating Field』。この振付家の作品を観るのは初めてです。 Noism1の10人のダンサーに振付けた、 舞台美術は反射の強い白い帯状 (幅約0.5m、長さ12m程)のマット2本 (途中まで1本) のみで 衣裳も白のシャツ、ブラウスに黒のスーツ、というミニマリスティックな演出の、抽象ダンス作品です。 長さは30分ながら、おおよそ3部構成。 最初はエレクトリックな音を使って手を強く引き引かれるような動きを度々見せる緊張感のある動き。 中盤に音楽が Domenico Scarlutti 曲のピアノ演奏に変わり、祈るよう。 ここまでは4、5名くらいのコンビネーションを組み合わせて行く様でしたが、 最後、ビート感の強まった電子音に戻ってからは、10人でのマッスな動きが際立ちました。 ダンサー自身が白い帯状マットを動かすことによる空間の変容を初め、 空間の使い方が面白く、そんな所に群舞の面白さを感じました。
最近の Noism の公演は、マクロに明確な筋は無いにしても、ナラティヴな要素を感じる作品が続いていたので (『Der Wandererーさすらい人』[鑑賞メモ]、 『鬼』[鑑賞メモ])、 抽象度の高い2作品の組み合わせに少々面くらいましたが、こういうのも良いものです。