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Review: Linder: Goddess Of The Mind @ Chanel Nexus Hall (美術展); Julian Opie: Marathon. Women. @ GINZA SIX 2F 中央吹き抜け (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2026/08/02
銀座 Chanel Nexus Hall
2026/06/25-2026/08/16 (会期中無休), 11:00-19:00 (6/25, -16:00).

1970年代後半に活動を始めたイギリスの女性アーティスト Linder こと Linder Sterling の活動初期から現在に至る作品を集めた回顧展的な個展です。 現在こそ Tate Modern に作品が所蔵される現代アートの文脈のアーティストとして知られますが、 自分か彼女を知ったのは、1977-1983のマンチェスターのpost-punkシーンでの 自身のバンド Ludus での活動や、Ludus だけでなく Buzzcocks や Magazine など当時の縁のあったバンドのジャケットデザインを通してでした。 Ludus については Au Pairs や Delta 5 などと並ぶフェミニスティックな post-punk バンドとして聴いていましたが [CDレビュー1, 2]、 アートの文脈で接する機会が今まで無く、こうして観られて感慨深いものがありました。

展示されていた作品は、写真やそれに基づくフォトコラージュ作品がほとんどでした。 出世作である Buzzocks のシングル Orgasm Addict (United Artists, 1977) のジャケットに使われたフォトコラージュが大判で展示されていましたし、 Ludus のデビュー・カセット Pickpocket (New Hormones, 1977) に付属した、 Linder がモデルとなりテキストを付けた写真 (by Birrer) が全ページ分観られたのが、特に収穫でした。 また、会場で配布されていたA6判40ページの冊子も、展示作品全てを載せてはいないものの、図版もエッセイ (小論文) も充実した内容でした。

フォトコラージュは、男性向けグラビア雑誌、ポルノ雑誌から撮られた女性像に、家電製品などを重ねてコラージュした Pretty Girl シリーズに特徴的ですが、 世の中のステロタイプな女性像や家事・消費のイメージを、フォトコラージュの中で異質な要素としてぶつけて異化させるような作品です。 フォトコラージュの手法という点では Dada/Surrealism から Situationist を経て Punk/Post-Punk に連なる系譜を想起させますが、 セルフポートレートや演出写真も使い既存のイメージを操作して当たり前ではないと突きつけて来るような作風に、 1980年前後アメリカの Cindy Sherman や Sherrie Levine など Appropriation や Simulationism と呼ばれた手法/作風でフェミニスト的主題を扱った作品と同時代のものを感じました。

その一方で、写真やフォトコラージュを中心とした展示構成に、 1990年代以降に出てきた YBA (Young British Artists) の作家によるビデオや空間インスタレーションも駆使したした作風 [鑑賞メモ] との間にギャップを感じ、 その点でも1980年前後という時代を感じてしまいました。

Julian Opie: Marathon. Women.
GINZA SIX 2F 中央吹き抜け
2025/09/11-2026秋(予定).

銀座に出たついでに Ginza Six へも足を伸ばして、昨年秋に始まった Julian Opie の中央吹き抜けを使った展示を遅ればせながら観てきました。 好きな作家ではあるのですが [鑑賞メモ]、こう展示してしまうと商業施設のディスプレィデザインと変わりません。 この展示に合わせて作られたA4の冊子も、前半の Opie 自身による作品解説は良いものの、後半1/3はアート販売の販促のようでした。