今度は裏地について話してみましょう。 さて、真皮のスポンジを作っているのは誰でしょう? その細胞は「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」と呼ばれている細胞で、真皮の中を自由に 泳いでいます。そして、線維のほころびた所を修理しているのです。一番わかりやすいのは 切り傷ができるような怪我をしたときです。怪我が治ると、その跡ができます。切ったところに 線維芽細胞は集まってきて、素早く元通りに切り傷を治してくれます。ちょっと、盛り上がって 傷跡を作るのは、治す方が優先されて、見かけが後回しになったのでしょう。 その他、真皮には毛細血管やリンパ管、神経繊維などたくさんの構造がありますが、これらの 話は、また別の機会にお話しします。これまでで、大まかな皮膚の構造はわかっていただけた らよろしいのですが、どうでしたでしょう。 魚のシワの話はもう少し先送りですね。まだ水族館に行っていませんので。それと合わせて、 いつか、動物の皮膚についてもお話をしてみたいと思います。
真皮にはまだ大切な構造があります。それは、ちょうど皮膚の地下を流れる水脈のことです。
そもそも、酸素と栄養が皮膚に届かなければ皮膚の細胞は生きていけません。美容のため にマッサージをして血液の循環を良くしたり、お風呂にゆったりと浸かっていることの良さが わかりましたでしょうか。そうすれば、肌の色も酸素の多い血液の色を内部から映し出して、 生き生きとした肌色になるのです。そう、適度なアルコールは肌に良いのも、アルコールは 皮膚の毛細血管の流れを良くしてくれるからです。でも、アルコールに敏感で、逆に作用す る人もいるので、それはちゃんと確かめてから行って下さい。 ということは、真皮の血管の流れを悪くするものは美容上の大敵です。一番気を付けなけれ ばならないのは、タバコです。タバコのニコチンという成分は真皮の毛細血管を縮めてしま います。この場合も、人により作用の強さが違うので、隣の人の吸ったタバコの煙で影響を 受ける人から、数本吸ってもそんなに影響を受けない人まで様々です。ヘビースモーカー の人はかなり耐性が有るようですが、いずれにしても美容上気を付けるなら次第に減らす方 がいいかもしれません。 後は、ストレスと過労も真皮の血行を悪くします。この場合は、他にも様々な影響が重なり合 って起こっているようですので、対処法も簡単ではありません。休養を十分に取ったつもりで も、解消しないときは、やはりお医者さんに見てもらうことが必要ですね。
真皮にあるもう一つの水脈、それはリンパ管です。静かなる水脈、乳白色の薄いミルクの
肌は、たくさんの有害な成分や微生物が侵入しやすい部位の一つですから、肌のリンパ球 を初めとしたリンパ液の循環はとても大切です。健康的な肌はこのようなしくみに守られてい るのです。でも、もっと大切なのは体の最前線である肌の表面(角質層)がしっかりと守って いることですね。やはり、化粧品は最も健康な肌を守るためにまずはあると考えましょう。 リンパ球の出動で戦争が始まったら、お医者さんの正確な診断により、適切な処置が必要 です。もちろん、症状に会わせた適切な抗生物質や抗ヒスタミン剤などを使うわけですが、 おそれる必要はないのです。大切なのは、使ってみて肌がどのようになったかをできる限り 詳しく先生に伝えることですね。
このように体を守るしくみはリンパ球だけで行っているのではないのです。まだたくさんの体を
次週の更新では、皮下脂肪についてお話しします。
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