「美肌」の科学

( 今まで話した内容 )


6、皮下脂肪 (7月13日更新)

表皮と真皮の2枚が合わさっている肌の基本構造ですが、付属してくっついてくるものが
あるのです。真皮の深い部分につく脂肪組織、肌表面に穴を開けている皮脂腺、汗腺、
そして毛です。ただし、これは人間の場合です。他の動物なら、鱗(うろこ)、羽毛、針、等
多種多様です。

さて、人間の肌に戻りますが、このようにたくさんくっついているものをまとめて皮膚付属器
と呼びます。ただし、皮下にある脂肪組織のあたりは皮下織と呼んでいます。今回はこの
脂肪組織、通称「皮下脂肪」ついてお話しします。

肌の厚さは部位によって、人によって違いますが、一番厚さに影響するのが皮下脂肪の厚
さなのです。腕とかお腹の肌をつまんでみるとよくわかりますね。下の図のように、真皮の深
い部分に脂肪細胞の固まりが貯まってくるのです。


そんな皮下脂肪にも重要な働きがあるのです。脂肪が熱を伝えにくいので、体温の保存に
役立つこと。そして、やはりクッションとしての働きもあると考えられます。現在のように暖房設
備が整っていない時、寒い国の人は皮下脂肪を蓄えて冬を過ごしたのです。また、クッション
としての働きは、相撲の関取さんやプロレスラーの体当たりをみて納得いくのではないでしょ
うか。

また、皮下脂肪は体の中でエネルギーとして使われなかった栄養が、一時的に蓄えられるの
で、貯蔵エネルギーとしても重要です。もちろん、体の各所に脂肪組織は蓄えられますが、皮
下脂肪は貯蓄量でもかなりの部分を占めます。妊娠して太るのは、生まれてくる赤ちゃんのエ
ネルギーを蓄えているのです。そのせいか、男性に比較して女性の方が元々皮下脂肪は厚く
なっています。女性特有の美しい曲線美は皮下脂肪があってこそのものです。


7、皮脂腺 (7月20日更新)

皮膚と油は切っても切れないなかにあります。皮膚の働きに外環境から体を守ることがあり
ますが、一番外側で守っているのが皮膚から出る油、つまり「皮脂」の膜です。

昔は、皮脂膜は皮膚表面にできた一層の膜だと考えられていましたが、現在では角質層に
吸収されて一体となっているとされています。もちろん、Tゾーンでは皮脂があふれて表面に
テカテカ見えますが。

この皮脂は皮脂腺と呼ばれる所から分泌されています。皮脂腺は毛と密接な関係にあり、皮
脂腺のある所に必ず毛穴があります。毛は産毛から剛毛まですべて皮脂腺を持っています。
ただ、場所によって皮脂腺が発達しているところとそうでないところがあるのですが、人による
違いや、年齢による違いもかなり大きいものがあります。すべての人に言えることですが、一生
で最も皮脂腺が発達している時期は思春期です。だから、皮脂腺にできる炎症「ニキビ」はこの
思春期に最もできやすいのです。皮脂腺の発達状態は変化しているし、場所による違いも大き
いことは重要ですのでしっかりと覚えていて下さい。


この図のように、皮脂腺は皮脂腺細胞がブドウの房のように付いてできています。次第に細胞の
中に皮脂を作って蓄え、最後はつぶれて皮膚の表面に分泌されるのです。大切なのは、細胞
単位で分泌されるのです。だから、1日の分泌量はほぼ決まっているし、汗のように何時までも
出っぱなしと言うことはないのです。毛穴をきれいにするとかえって皮脂が出やすくなり、止まら
なくなるのではないかという心配はありません。皮膚美容上、フレッシュな皮脂で肌をおおうこと
はいいことなのです。

しかし、顔を洗ってすぐには皮脂は元の通りには出ません。季節や、個人差、部位差はあります
が、速くて30分、遅ければ2時間はかかります。この間、皮膚をどのように保護しておくか、ここに
化粧品の役割があるのです。この空白の時期を隙間無く埋める、これが化粧品の油分補給です。
細胞間脂質とともに、肌をしなやかに整えてくれる皮脂成分をバランス良く補給する乳液やクリー
ム、あるいは美容液はしっかりと働いてくれます。

皮脂腺にまつわる話はとても多いので、成分やニキビとの関係、あるいは化粧崩れとの関係など
また改めて話をすることにしましょう。






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