Deadbeat こと Scott Monteith は、2000年以来 カナダ・モントリオール (Montréal, Quebec, CA) を拠点に、 最近はドイツ・ベルリン (Berlin, DE) を拠点を移して techno の文脈で活動する DJ / producer だ。 ベルリンの Stefan Betke のレーベル ~scape を拠点の一つにしており、 Basic Channel/Chain Reaction レーベルの音にも似た 淡々と脈動する minimal techno そ聴かせてきた。 しかし、去年の ~scape レーベルから4作目となるアルバム、そして、 バンクーバー (Vancouver, British Columbia, CA) の Matthew Jonson のレーベル Wagon Repair レーベルからの新作アルバムは、 変則的に飛び交うリズムも dubstep 色濃い作品になっている。
去年の Journeyman's Annual では 4曲目から9曲目までが dubstep 色濃い。 その6曲はショーケース形式に準じ、 MCをフィーチャーした曲と同じリズムに基づくインストゥルメンタルを繋いでいる。 MC は hip hop 風や ragga 風で、少々掴みに欠ける。 むしろ、重く刻むベースのリズムの上に 軽く細かく刻む様々なリズムが飛び交うインストゥルメンタルの曲が良い。
新作 Roots And Wire は、 そんな前作の良さを押し進めた作品になっている。 オープニングとエンディングはMC入りだが、残りはイストゥルメンタルだ。 耳を捉えるのは dubstep 色濃いリズムの曲、 Augustus Pablo を意識したかのような melodica 風のフレーズをフィーチャーした タイトル曲 "Roots And Wire"、 Journeyman's Annual でのリズムの続きを思わせる "Grounation (Berghain Drum Jack)" や 少々落ち着いたリズムの "Night Stepping" だ。 もちろん、deep で minimal なトラック、 "Deep Structure" や "Sun People (Dub Divisionaire)" も良い。 そして、オープニングとエンディングでフィーチャーされている歌手は、 ドミニカ (Dominica) 出身の Paul St. Hilaire (aka Tikiman)。 Rhythm & Sound (Moritz von Ozwald & Mark Ernestus) との共演でも知られるだけあって、 少々 Horace Andy にも似た歌声は、Deadbeat の dubstep 風のトラックにも合っている。
Journeyman's Annual も悪くないが、 Roots And Wire は dubwise な minimal techno からの dubstep へのレスポンスとしても秀作だ。お薦め。