Refuge Trio は New York (NY, USA) を拠点に jazz/improv の文脈で活動する3人によるグループだ。 ミュンヘン (München, Bayern, DE) のレーベル Winter & Winter からの Refuge Trio が初のCDリリースだ。 Bleckmann と Hollenbeck は duo や Quartet Lucy だけでなく Meredith Monk Vocal Ensemble など、共演が多い。 Versace も Bleckmann と共に John Hollenbeck Large Ensemble に参加している。 しかし、Large Ensemble や Jazz Bigband Graz, Joys & Desire での bigband でドラマチックに盛りあげる世界と対称的、 むしろ、Quartet Lucy や Theo Bleckmann / Ben Monder のグループに近い。 音数を抑えて聴かせる作品だ。
グループ名の Refuge はJoni Mitchell 作のオープニング曲 "Refuge Of The Roads" から採られているが、 ポピュラーな歌物というわけではない。 Bleckmann の高めで中性的な voice、 Versace の piano や accordion、Hollenbeck の vibes や percussion といった音が 軽く electronics で処理を加えられ、 時に緩やかなメロディをテクスチャのように優雅に展開し、 時にアブストラクトに緊張感高く撒き散らされる。 ソフトながらテンションも感じるその音世界が良い。
テンションを感じる曲なら、 post-IDM 的なリズムを刻む Hollenbeck に Versace が強めの音の piano や keyboards で応じる "Pinwheel" が良い。 Bleckmann の voice は少々オフ気味に electronics かけられ背景でテクスチャを作るようだ。 ゆったり優雅な曲であれば、 Versace の音数少い accordion や piano を伴奏に Bleckmann がハミングする "Child's Play" や "Hymn"。 ここでの、Hollenbeck は軽くアクセントを付ける程度だ。 この3曲はいずれも Versace の曲だ。 Bleckmann / Hollenbeck と違いほとんどチェックしていなかったのだが、 この trio ではむしろ鍵となっているようにも思う。
Refuge Trio とほぼ同時に、Theo Bleckmann と Charles Ives の歌曲集もリリースされた。 演奏は Dave Douglas のレーベル Greenleaf からリリースのある Los Angeles (CA, USA) の2管5tet Kneebody だ。 Ives は19世紀末から20世紀初頭に活動したアメリカ (USA) の作曲家だ。 20世紀の contemporary classical に影響を与えたことで知られる。 同じ Winter & Winter からのリリースということで、 Refuge Trio 的な解釈を期待したのだが、肩透かしだった。 ソフトな歌声は Bleckmann らしいし、 Kneebody による electric/electronic jazz 的な解釈も悪くはないのだが。