1990年代に活動を始めた不条理な存在感のある機械を作風とする作家
タムラサトル
の、まさかの国立新美術館での個展です。
通常の展覧会では壁で幾つかの展示室に区切って使われることが一般的な企画展示室1Eを、
あえて区切らずに、だだっ広いスペースとしてそのまま使用。
さらに作品も《スピンクロコダイル》縛りにして、
《スピンクロコダイル・ガーデン》を出現させていました。
今回の一番の見どころは、なんと言っても、展示空間の広さを生かした
史上最大と思われる長さ12 mの《スピンクロコダイル》。
いつもの展示よりもゆっくりめに、空間的にも余裕が取られ、悠々と回転していましたが。
そして、20〜30 cm 程度の小さな《スピンクロコダイル》1,000点がお花畑のように並べられているという物量感。
これだけの規模になるとカメラ等で全景を捉えるのも難しくなるのですが、
あえて切り取って写真を撮ると、《スピンクロコダイル・ガーデン》の一部という文脈がおぼろげになり、ナンセンスさが増すよう。
そんな所も面白く感じられました。
こんな展覧会を楽しんだのですが、惜しむらくは、
『接点』シリーズ [鑑賞メモ] や
『Wall to Wall』 [鑑賞メモ]、
もしくは『10回たたく』 [鑑賞メモ] のような、
観ていて危険も感じさせる無骨な機械の展示がなかったところでしょうか。
関連して子供向けのワークショップも開催した
鑑賞料無料の「子どもから大人まで楽しんでいただける展覧会」として企画されているので、
その点は仕方ないでしょうか。
それにしても、当時まだあった東大駒場寮内にあった コマバクンストラウム で 『ワニガマワルンデス − タムラ サトル 展』 (1997) [鑑賞メモ] で 《スピンクロコダイル》を観てから、既に四半世紀が経つのかと思うと、感慨深いものがあります (遠い目)。
1970年代に「もの派」と呼ばれた作家の一人、菅 木志雄 [鑑賞メモ] の個展です。
木や石、金属板、棒やコンクリートブロックを素材感剥き出しのまま使ったストイックな作風という印象が強かったので、
色彩感ある作品が多く並んだ展示はとても意外でした。
作品リストを見ると2020年代に入ってからの作品が中心で、最近の作風と気付きました。
スパイラルホールという会場を意識した展示作品のチョイスなのかもしれなですが、
ポップでオシャレにすら感じられました。