去年始まった20世紀以降の演目からなる新国立劇場バレエ団のトリプルビル公演、 去年が楽しめたので [鑑賞メモ]、今年も足を運んでみました。 今年は作品ごとに休憩を挟む形での上演でした。
最初は2023年の『ニューイヤー・バレエ』 [鑑賞メモ] で上演した David Dawson: A Million Kisses to my Skin。 その時と同様、ミニマリスティックでシャープな演出を楽しみましたが、今回は、男女の動きの差異に目が止まりました。 男女のダンサーが並んでユニゾンするように踊る箇所がかなりあるのですが、どちらも衣裳もシンプルなレオタードで、かつ Pas de deux のように明確に男女の役割で振り付けられていだけに、 腕や脚を上げた際などの形などの男女での差異が逆に浮かび上がって見えたように思います。 もちろん、こういう見方も、去年観た NDT2 [鑑賞メモ] の影響もあるかなとは思いますが。
続く Hans van Manen: 5 Tango's は、 Astor Piazzolla のタンゴ5曲を使った作品で、オーケストラ生伴奏ではなく、Piazzolla の演奏の録音 (おそらく Concerto de Tango en el Philpharmonic Hall de New York (Polydor, 1965) など) を使用していました。 動きや衣裳に男女の別はありますが、やはりミニマリスティックな演出で5曲それぞれに場面を作って音楽を表現する抽象バレエです。 男女が組むような所などにタンゴ的なものを感じますが、予想よりタンゴのイデオムは使わず、むしろ、極力バレエ・テクニックでタンゴを構築していくよう。 そこに面白さを感じましたが、赤黒の衣裳のイメージほど踊りにはシャープさを感じられませんでした。
ラストは Balanchine の抽象バレエ Themes and Variations。 Le Palais de Cristal (1948) [鑑賞メモ] や Jewels [鑑賞メモ] なども思い出しますが、 使われるテクニックとクラシック・バレエ的な衣裳、というのはもちろん、宮廷のホールを思わせる美術に Tchaikovsky の音楽ということもあって、 クラシック・バレエの世界はそのままに、ナラティヴ成分だけ除去したものを観るよう。 抽象バレエ縛りのトリプルビルでしたが、コンテンポラリーな前2作と良いコントラストを興味深く観ました。
年明けから1ヶ月余り経ってしまいましたが、これが今年2026年の舞台鑑賞初め。 最近は新国立劇場バレエ団の年末年始は『くるみ割り人形』公演になり、『ニューイヤー・バレエ』はなくなってしまいました。 しかし、以前に『ニューイヤー・バレエ』で観た A Million Kisses to my Skin、 そして、クラシック・バレエ的なものを蒸留したかのような華やかな Themes and Variations で締めくくられるのを観て、 『ニューイヤー・バレエ』の代わりとなる今年の舞台鑑賞初めには丁度良かったでしょうか。