秋の大道芸シーズンに、東京の2つの大道芸イベント、 三茶 de 大道芸 と ヘブンアーティストTOKYO を観てきました。 その際のレポートです。
1997年に始った『三茶 de 大道芸』。 近所ということでほぼ毎年足を運んでいますが、 今年は日曜の午後、週末買物に出るついでに軽く覗いてきました。
14時頃に三軒茶屋に着くと、茶沢通りで、ドイツを拠点に活動するイギリス人のカンパニー British Events Theatre Company のウォーキングアクトに遭遇。 The Weather Show と題されたもので、 黒のレインコートにキャリーケースに黒い傘、という男女2人組が、 「ニホンゴシャベレマスカ?」「フジサンハドコデスカ?」と 片言の日本語で観客に話しかけながら、歩き回っていた。 キャリーケースが水タンクになっていて、傘から水が流れ出ているところがポイントで、 話しかけられ近づかれると、水がかかることになる。 観客との細かいやりとりとなると英語になってしまうのがちょっと難しいところで、 自分も “Your cap is goooood!” と男性の方に話かけられたけれど、 そこから面白い会話に持って行かれなかったのは、我ながら残念。 15分程追いかけてみたが特に新たな展開が無さそうだったのも少々残念。 判り易く面白いものではないけれども、ちょっと迷惑な所にユーモアを感じました。
一旦ランチ休憩の後は、ブラザでフランスの Cirque Baroque。 日本の大道芸フェスティバルの常連で、お馴染みのサーカス・カンパニーです。 今回は Christian Taguet と3人の女性パフォーマーという構成でした。 最後のエアリアル (ロープ) のパフォーマーは何回か観た事がありましたが、残り2名は初めて。 最初のパフォーマーは、軟体アクロバットは少しユーモアも交えつつも普通に。 次は、割れたガラスの敷き詰めた上に肌も露な状態で横たわり、その上から観客に踏ませる、というもの。 見世物的なパフォーマンスも好きですが、Cirque Baroque で観るのは意外でした。 こういうのもやるのか、と。
その後、NTT広場やふれあいひろばへも足を伸ばしてみたのですが、人が多くて観るのに辛い状態。 前日の疲れも残っていたので、早々に会場を後にしました。
しかし、最近の 三茶 de 大道芸 は、 海外招聘組が ヘブンアーティスト TOKYO と共通になっているうえ、 日程が被っている名古屋の 大須大道町人祭 に日本の芸人の良い所が流れてしまっていて、 プログラムへの魅力が低下しつつあるように感じます。 観客が減っているわけではないですし、 地元向けイベントとしてこのまま続けるのも良いのかもしれません。 しかし、ヘブンアーティスト TOKYO や 大須大道町人祭 に対する オルタナティヴを感じさせるようなディレクションという方向で頑張って欲しいものです。
(2010/10/19)
天気の良い土曜の午後、特に目当てのパフォーマーも無かったので、ふらりと流しながら観ました。 コンパクトデジタルカメラを充電し忘れていてバッテリー切れしてしまったので、 後半は携帯電話のカメラで撮影しました。そのため、少々残念な写真になってしまいました。
14時過ぎ、上野駅から公園へいつも使うアプローチ、バンブー・ガーデンの階段を登って、 すり鉢山と日本芸術院の間の広場でまず目に入ったのは 加納 真実。 切り絵かとおもいきや焼肉定食という、相変わらず不条理な『青ジャージの女』 [大道芸ワールドカップ in 静岡 2006 での写真]。
続いて、五條天神前で 上條 充 の 江戸糸あやつり人形。 久しぶりに観ましたが [野毛大道芸2003での写真]、 やはり「よいどれ」の繊細な動き使い分けが良いなあ、と。 「獅子舞」も仕掛けが細かいし、動きもかわいいのですが。
噴水前広場へ移動すると British Events Theatre Company に遭遇。違うネタでやっているかもと少し期待していたのですが、 三茶 de 大道芸 と同じ The Weather Show。 何かハプニングが起きるかもしれないと、遠目から少し追いかけてみたのですが、 観ている間は何も起きず。残念。
ちなみに、この頃、噴水前広場のステージでは、 Cirque Baroque のサーカスショーをやっていましたが、 そちらも 三茶 de 大道芸 とほぼ同じプログラムという感じでした。
一旦、会場を離脱して軽く展覧会を観た後、噴水前広場ステージに戻ってみると、 白人黒人男性デュオ (パンフレットには Black And White Accros とクレジットされている) によるコミカルなアクロバットが終ろうという所。
そのまま、次の 森田 智博、沢入国際サーカス学校 出身の日本人ジャグラーを観ました。 セリフを用いず表情で語りつつの、ボールジャグリングやディアボロ、コンタクトジャグリングです。 去年六本木で観たとき [写真] より良く演出されていましたが、 演技の安定感が彼にしてはいまいちだったのが残念。
で、トリは 在日中国雑技芸術団 (徐領民雑技団)。 相変わらず、高い身体能力を生かした派手なパフォーマンスを観せてくれます。 椅子を8脚重ねた上での倒立は何度も観ていますが、やはり見応えがあります。
土曜ということもあるのかもしれませんが、観客は少なめ。 スペースに余裕のある会場ということもあり、 在日中国雑技芸術団 以外は、人垣も薄く、余裕をもって観ることができました。 パフォーマンスの観やすい大規模な大道芸フェスティバルという点では、 この ヘブンアーティスト TOKYO が東京近辺で一番かもしれません。
この秋の大道芸フェスティバルはこれでおしまいでしょうか。今年は出張等と重なって、 大道芸ワールドカップ in 静岡 に行かれないのがほぼ確定的なのです。 かつては毎年のように行っていたのに、これで2年連続で観に行かないことに……。 近年は、参加パフォーマーの顔ぶれからして、万難を排して行きたいと思う程ではないのも確か。 Strange Fruit [2000年の写真] や L'Éléphant Vert [2001年の写真] のようなカンパニーを呼んでくれるから、それらを目当てに静岡まで行っていたのですが……。 そんな 大道芸ワールドカップ in 静岡 は過去のものになってしまったなあ、と (遠い目)。
(2010/10/25)