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今日の YouTube (2007/12)

[2061] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Sun Dec 9 21:39:11 2007

イギリス (UK) のシンガーソングライター Billy Bragg の 1991年のシングル曲 "Sexuality" (Don't Try This At Home (Go! Discs, 828 279-2, 1991, CD) 所収) のミュージックビデオです。 監督は Phill Jupitus。出演もしてます。

"Sexuality, I demand equality" (「セクシャリティ、僕は平等な扱いを求める」) なんて直截的な歌詞をよく歌うよな、と当時も思ったものでしたが、 ビデオも凝った映像表現技法抜きでそのまんまというかなんというか……。 しかし、シリアスになりがちな題材を、おちゃらけるというのとはちょっと違い、 ユーモラスでちょっとお茶目めな感じに仕上げてるのは、さすがです。 ちなみに、ビデオを観ればわかりますが、この歌における "Sexuality" というのは、 (生物学的な) 性別、性的指向 (ヘテロ/ホモ/バイ)、などの意味を含んだ広義のものです。 ちなみに、"Sexuality" についてではないですが、 Billy Bragg の歌詞については 4年前に語ったことがあります。そちらもどうぞ。

それにしても、 最近の写真での老け具合を知るだけに、 このビデオで見る Billy Bragg の若さに衝撃……。 いや、こういう若い Billy Bragg を生で観たことを思い出したり (遠い目)。 この直後 (1992年?) の来日公演 @ 渋谷クアトロへ行った自分も、 それから同じだけ老けたわけで……。 あと、Kirsty MacColl がなんかお茶目な感じで可愛い……(ちょい萌)。 Johnny Marr (ex-The Smiths) が、最後の guitar ソロの前に Billy Bragg をちょっと肩で押しのけるの所も、格好いいというより可愛い……。 単に自分が歳を取っただけかも。 中学高校時代はカッコいいお兄さんお姉さんとして見てたわけで……。

ネタ的なところでは、ビデオに出てくる 助手席が空いた赤の車のフロントウィンドウ上部に "BILLY / SHIRLEY" と書かれているのが、ツボにハマります。 "Greetings To The New Brunette" (Talking With The Taxman About Poetry (Go! Discs, AGOLP6, 1987, LP) 所収) だー、というか。 だがしかし、 この曲の music video はいまいち……。

ちなみに、最近の Billy Bragg といえば、 Real World レーベルの English folk 再発明プロジェクト The Imagined Village (Real World, RWCD147, 2007, CD) に参加、 Billy Bragg and The Young Coppers with Eliza Carthy and Simon Emmerson 名義で "Hard Times Of Old England (Retold)" を歌ってます。 なんか、Eliza Carthy と Kirsty MacColl がダブって見えるというか、 もし Kirsty MacColl がまだ生きていたら、彼女もこういうプロジェクトに参加してたのかもしれないなぁ、と……。 ちなみに、このプロジェクトのプロデュースをしている Simon Emmerson (aka Simon Booth) は Weekend の guitar 奏者でもあったのでした (前回紹介したビデオで黒メガネかけて座って guitar 弾いてた人です)。 そういう繋がりで、今回はこのビデオを選んだのでした。

いかん、だらだらと長く書きがちだ……。

[2074] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Wed Dec 19 1:11:22 2007

Talking Heads といえば rock 映画の名作 Stop Making Sense (Jonathan Demme (dir.), 1984) (レビュー) ですが、それを除いた彼らの music video で一番好きなのが、これ。 演奏の映像に歌詞の dynamic typography を重ねたシンプルな作りが好きです。 特に好きなのが、歌う David Byrne の顔面にプロジェクタで歌詞を投影していく所。 シンプルなアイデアながら絵的にもシュールで美しいし。 ちなみに、監督は Tibor Kalman & Sandy MacLeod。 Kalman は Talking Heads のレコードジャケット等のデザインの多くを手掛けていたデザイナです。 MoMA の "Sky Umbrella" の方が有名かも。 Sandy MacLeod の方は不明ですが、ひょっとして立体作品のアーティストかな?

あと、歌詞の中に "You got it! You got it!" (そのとうり! そのとうり!) という かけ声的なフレーズがあるのですが、 そのタイミングで歌詞とは関係あるような無いような 統計的な情報を字幕で挿入していく所も好きです。 「世界で一日あたりに失われる熱帯雨林の面積: 76,320エーカー」とか、 「アメリカ合衆国内で私的に所有されているマシンガンの数: 183,895丁」とか、 そんな字幕なんですが。 そういう字幕と、歌詞と、音楽が、互いを支持しあうというより、 (完全に矛盾するわけではないものの) 微妙にすれ違い合うように感じられる所が詩的、というか。

ちなみに、先日紹介した Billy Bragg, "Sexuality" で出演・演奏していた Kirsty MacColl と Johnny Marr (ex-The Smiths) が、 このビデオでも出演・演奏してます。 ここでの Johnny Marr の guitar の演奏や、 やはり先日紹介した Weekend, "Woman's Eyes" での Simon Booth の guitar の演奏を聴くと、 indie pop における "jangly" な guitar のルーツの少くとも一つは African pop の guitar であることが、明らかにわかります。 そういう繋がりで、今回はこのビデオを選びました。

[2078] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Mon Dec 24 3:28:19 2007

1988年7月2日 The Cambridge Theatre, London での The Knee Plays のコンサートから、 ブルガリア合唱曲をアレンジした "Theadora Is Dozing" に David Byrne が詩を付け改題した "Song Of The Sea Shore" を。 BBC 2 で放送されたものです。 Les Miserables Brass Band も Frank London をはじめ豪華。 ちなみに、東洋人な drums はおそらく 益子 高明 (Takaaki Masuko)。

この The Knee Plays の 1988年のコンサートは、 全曲完全に YouTube で観ることができます。素晴しい〜。 というわけで、演奏順に全曲リンクしておきます。

David Byrne & Les Miserables Brass Band, The Knee Plays live at The Cambridge Theatre, London, 02 July 1988: "Tree", "In The Upper Room" "The Sound Of Business", "Social Studies", "The Gift Of Sound", "Song Of The Sea Shore", "Admiral Perry", "I've Tried", "In The Future", "I Bid You Goodnight".

さすが BBC による収録、というわけで、音質画質照明カメラワークいずれも非常に良好です。 といっても、画質音質については YouTube の限界があるし、権利関係の問題もあるわけで……。 DVDで公式にリリースされないかなぁ……。 って、売れないか……。

(ちなみに、これは 1985年の The Knee Plays のアルバムのリイシューCD+DVD のレビューに合わせて書かれたものです。)