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Review: Nik Bärtsch's Ronin & Imre Thormann (live) @ Pit Inn, Shinjuku, Tokyo
2009/11/08
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Pit Inn, 新宿
2009/11/07, 20:00-22:30
Nik Bärtsch's Ronin: Nik Bärtsch (piano), Sha (bass clarinet, alto saxophone, contrabass clarinet), Kaspar Rast (drums), Andi Pupato (percussion), Björn Meyer (electric 6-string bass); Imre Thormann (butoh dance).

スイス・チューリヒの piano 奏者 Nik Bärtsch の3度目の来日だ。 ECM での2タイトルのリリースでの編成である Ronin 5tet では初来日ということで、 この編成の妙を楽しみに臨んだ。 前半は Bärtsch と Imre Thormann の舞踏との duo、 後半は Ronin でのライブでアンコールに2回も応じてくれた。 ライブを観るのも3回目ということで新鮮な衝撃の類は無かったが、 執拗な反復のうちにジワジワと熱くなるような演奏が相変わらず楽しめた。

初来日の際 [レビュー] の際の舞踏の印象が良くなかったので、 正直、前半の舞踏との duo はあまり期待していなかった。 しかし、Thormann のソロだけで、かつ、その動きのミニマムさも楽しめた。 頭上近くからの強いライティングと白塗りの体は、顔や体の微妙な起伏による影を際立たせる。 舞台上、足の位置を固定したままじわじわと動くだけなのだが、 顔の角度の微妙な変化で影の作る表情が変わるし、筋肉の力の入り具合もはっきり浮き上がる。 弦の響きなのか鍵自体の音なのか、と、感じるような Bärtsch の piano の打楽器的な反復が 作り出すミニマル音空間も、その白塗りの体の動きのBGMとして合っていた。

後半は Ronin、2006年の trio に2人を加えてさらにパワーアップした演奏が楽しめた。 Bärtsch、Meyer、Rast の3人については前回の来日と大きく印象は変わらず。 Holon からの曲が中心で、そこでも聴かれたような、 Sha によるちょっとオリエンタルな旋法で唸るような saxophone がライブでも楽しめた。 しかし、5人編成で全体としての音圧が高くなっているため、 contrabass/bass clarinet での反復フレーズが少々霞んでしまっていたのが残念。 初来日の Mobile は静かな展開でタンギングの刻むリズムも映えていたのだが。 Rast と Pupato が視線を交わしながら、その層に深みを加えるようリズムを刻む所も面白かった。

Ronin の演奏は淡々としてはいるものの、 Bärtsch かけ声をかけることで、音の厚みと圧力をぐっと上げたりするので、 立席の会場であればこういったタイミングでフロアが盛り上がったりするのだろうか、と、 先日の Jaga Jazzist のライブの客のノリ [レビュー] を思い出したりもした。 そして、そういう会場でもちょっと観てみたいようにも思った。 このジワジワ熱くなるような感覚は、座って聴いていた方が楽しめるようにも思うけれども。