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Review: Shackleton: Three EPs; Riccardo Villalobos: Vasco
2009/12/01
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Shackleton
Three EPs
(Perlon, PERL76CD, 2009, CD)
1)(No More) Negative Thoughts 2)Let Go 3)It's Time For Love 4)Mountains Of Ashes 5)There's A Slow Train Coming 6)Moon Over Joseph's Burial 7)Asha In The Tabernacle 8)Trembling Leaf 9)Something Has Got To Give
Written and Produced by Sam Shackleton.

Shackleton (Sam Shackleton) は、 自身のレーベル Skull Disco を拠点に活動していたロンドンの dubstep の DJ/producer だ [レビュー]。 彼が去年 Skull Disco を活動停止した後に選んだレーベルは、 click techno/house のリリースで知られる ベルリン (フランクフルトで設立) の Perlon だった。 この新作アルバムはCDの他 12&Prime 3枚組でもリリースされている。 ジャケットデザインが Skull Disco のグロテスクなイラストから Perlon のシンプルなグラフィックへと変化したように、 click へ近づいた淡々とした音作りになっている。 しかし、hand drum (特に tabla) や frame drum (tambourine)、xylophone 風の音の使い方も相変わらず。 その音色も良いアクセントの dubstep が楽しめた。お勧めだ。

最も気に入ったトラックは淡々とした疾走感も気持ちよい “(No More) Negative Thoughts” だ。 しかし、“Let Go”、“Mountains Of Ashes” や “Asha In The Tabernacle” いった曲での ぐいぐい牽引するアグレッシヴなベースラインが響く展開が、 このアルバムをぐっと引き締まったものにしている。

併せて、1年程前のリリースで入手したのも半年程前のものだが、 Perlon からのリリースをもう1タイトル紹介。

Ricardo Villalobos
Vasco
(Perlon, PERL69CD, 2008, CD)
1)Minimoonstar (Full Session) 2)Electonic Water 3)Amazordum 4)Skinfummel
Written and Produced by Ricardo Villalobos.

南米チリ生まれのベルリンの DJ/producer Riccardo Villalobos の新作だ。 こちらもCDだけでなく12″ 2枚でのリリースがある。 Balkan brass band をネタにした Fizheuer Zieheuer (Playhouse, 2006) [レビュー]、 folklore や和太鼓も使った Fabric 36 (Fabric, 2007) [レビュー] のような特異なネタは無いだけ、地味な印象は否めない。 4曲で約70分という長尺で、 click らしいソフトに脈動するような響きにひび割れるように音が入る展開は、 相変わらすで悪くない。実際、それなりによく聴いている。 しかし、勧めたいと思うには、いまひとつ掴みが足りなかった。