スイスのグループ Nik Bärtsch's Ronin が新作 Llyrìa を携えて来日した。 ライブ前に新作を聴いたとき、オープニングの “Modul 48” での Jan Garbarek のようにゆったり柔らかくメロディを吹く saxophone に、 このグループも変わったものだと感じていた。 そしてこのライブでも、ミニマルさが減り、ふつうのバンドのようになったよう。 単なるグループのコンセプトの違いなのか、次の展開を模索しているのか、と思うようなライブだった。
今回も去年同様 Ronin 5tet でのライブ。 Björn Meyer がツアーに出られなくなり bass が Thomy Jordi となっていた。 新作 Llyrìa の曲はもちろん、過去の曲も演奏した。 最初のアンコール前最後の曲は “Modul 45” (Holon (2008) 所収) だったのだが、electric bass のソロから始まり、 saxophone のエキゾチックの唸りにもソロのような装飾的なフレーズが多く加えられていた。 アンコール2回を含めて2時間弱。 複雑なリズムの演奏も決まっていたし、ある意味、キャッチがあり盛り上がりやすい演奏で、 そこを楽しんだのも確かだ。 しかし、そんな所に普通の jazz rock のバンドのような所を感じてしまった。
5年前、初めて Nik Bärtsch のライブを観たときの その明確な曲区切りや起承転結を感じさせない演奏が強く印象に残っている [レビュー]。 そこから遠くへ来たものだと、と感慨深いライブだった。