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ドイツ旅行 2012

Text Last Update: 2013/08/14 | 撮影 on 2012/08/25-09/02 in ドイツ

先週末土曜8月25日から今週末日曜9月2日までの9日間、 ドイツのカッセル 〜 ベルリン 〜 デュッセルドルフを巡る旅 をしてきました。主目的は、もちろんカッセルの dOCUMENTA (13)。 併せて、現代美術を扱う美術館を主にに巡ってきました。 って、旅行中もツイートしていたので気付いていた方もいるかと思いますが。 観た物それぞれについてはまた別に書くつもりですが、まずは、今回の旅行全体の概要を。

今回は AIT (Arts Initiative Tokyo) 企画の 「ドクメンタ13とベルリン、デュッセルドルフを巡る、現代アートのツアー」 に参加しました。応募締切日の時点ではこのタイミングで夏期休暇が取れるか決まっておらず、 当初は個人旅行で dOCUMENTA へ行こうと思っていました。 しかし、他社のパックでいい感じのものが無く、個人手配も煩わしいなあ、と、 7月半ば頃にJTBに問い合わせてみたところまだ間に合うということで、飛び入り参加したのでした。 他のツアー参加者も現代美術の素養がある方で会話も刺激になりましたし、 ベルリンなどでの行動に自由度がある一方、個人旅行では行き辛い所へも行くことができ、 ツアーに参加することにして良かったかな、と。 関東周辺の日帰りか一泊の旅程でしたが、1990年代に原美術館メンバシップでのバスツアーによく参加していたことを思い出しました。 このようなツアーへ参加するのも久しぶりでしたが、その良さを見直しました。

最初のカッセル (Kassel, Hessen) へは フランクフルト (Frankfurt a.M., Hessen) からバスで入って3泊。 8月26日の朝から28日の午前まで2日半かけて dOCUMENTA (13) をひたすら観て回わりました。 会期末近いうえ、夏休み中ということもあるのか、会場はかなりの混雑。行列している所も多かったです。 展示の混雑情報 (特に、並ぶ必要がある会場はどこ) などAITの方が下調べの上、 観るルートを考慮してくださったおかげで、かなり効率的に観てまわることができました。 行く前は半分観ることを目標にしていましたが、約2/3は観られたのではないでしょうか。 特に観たいと思っていた作家 (Janet Cardiff & George Bures Miller, Susan Philipsz, William Kentridge, Rabih Mroué) も全て観られましたし。

カッセルからバスで移動して、次のベルリン (Berlin) では28日晩から30日昼過ぎまで2泊。 ここでは、基本的に自由行動だったので、美術館めぐりをツアー参加者の方と半日余した程度。 ヨーロッパの都市の文化施設 (美術館、劇場、...) はたいてい夏はオフで、9月から新しいシーズンの公演・展覧会が始まります。 このタイミングは厳しいかなと予想していたのですが、8月最終週に新シーズンがオープンした所もあって、少々救われました。 jazz/improv のライブ (Jazzkollektiv Berlin の Kollektiv Nights) に、 美術館・博物館巡り (Martin Gropius Museum, Humburger Bahnhof, Bauhaus Archiv, etc) に、 演劇鑑賞 (Berliner EnsembleSchweyk im Zweiten Weltkrieg) に、 建築巡り (モダニズム集合住宅の名作 Hufeisensiedlung) と、 堪能することができました。

ベルリンから今度は鉄道 ICE (InterCityExpress) で移動して、最後の地 デュッセルドルフ (Düsseldorf, NRW) で30日晩から9月1日朝まで2泊。 ここでは、バスで足を伸ばして、ライン (Rhein) 川向いの街ノイス (Neuss) の郊外にある Insel Hombroich MuseumLangen Foundation へ。 個人コレクションの美術館ですが、空間を贅沢に使ったもので、 日本国内でここに対比できる場所が全く思いつかないほどのレベル。 特に、Insel Hombroich Museum はパビリオンが点在する広大な庭園というもの。 雨模様にもかかわらず、庭園散策だけでも十分に楽しいものでした。 ここは今までノーチェックだったのですが、こんな所があったのか、と。 で、午後早めにデュッセルドルフに戻り自由行動。 ということで、美術館 (Kunstsammlung Nordrhein-Westfalen の K20 Grabbeplatz, K21 Ständehaus や Kunsthalle Düsseldorf) や オルタナティヴスペース KIT (Kunst im Tunnel) を覗いたり、旧市街を街歩きしたり。 さすが、Kunstakademie Düsseldorf のある街、という見応えでした。

で、9月1日の朝にデュッセルドルフを出て、バスでフランクフルトへ (予定では空路だったのですが、Lufthansa のストの余波で混乱が予想されたので変更)。 そこから、空路日本に帰ってきたのでした。

ドイツは雨が降ったり日が暮れたりすると上着がいる程の涼しさすが、晴れると日差しは暑く感じられるほど。 また、美術館や地下鉄はほとんど冷房がはいっていないので、混雑しているとかなり暑く感じられました。 服装選びは悩ましかったです。 で、東京に戻って、旅の疲れに蒸し暑さが加わり、ぐったり。 これでも、ちょうど真夏日と熱帯夜から解放された日に帰ることができて、救われたのかもしれません。

(2012/09/02)

ドイツ旅行レポート (その1)。まずは、往路の話から。

前夜0時過ぎまで準備でバタバタしていたのですが、8月25日は、朝4時起き。 始発の世田谷線に乗り、半蔵門線経由で京成のアクセス特急を使い成田国際空港 (NRT) へ。 07:45集合は早い〜。 で、09:45の Lufthansa LH-711 便で フランクフルト (Frankfurt am Main, Hessen, DE) の Frankfurt Flughafen [Frankfurt Airport] (FRA) へ。 機種は2階建ての世界最大の旅客機 Airbus A380。にもかかわらず、満席。 夏休み期間中ということもあると思いますが、人気路線なんだなあ、と。 エコノミークラスの席は、去年ロシア旅行で乗った Аэрофлот [Aeroflot] の Airbus A330 [旅行記] と同等で、 やっぱり、今や Аэрофлот も Lufthansa も大差ないなあ、などと思ったり。

早起きだったものの、妙にハイな状態で眠れなかったので、機中で映画2本。 一本は Tanka Liedtke [en.wikipedia.org] という若くして亡くなったコンテンポラリー・ダンスの女性振付家のドキュメンタリー Life In Movement (2011)。 不勉強ながら知らない振付家でしたが、ドイツ出身で主にオーストラリアで活躍していたよう。 ドイツ出身だし演劇っぽいところは Tanztheater の影響かなあ、と見ていたら、 イギリスでダンスを学び DV8 Physical Theatre に参加していたこともあったという話が出て来て、 そういえばそっちの文脈もあったかー、と気付かされたり。 もう一本は、The Doors のアルバム L.A. Woman (Elektra, 1971) リリース40周年に当時の制作裏話を関係者に追った Mr. Mojo Risin': The Story of L.A. Woman (2011)。 Jim の体型の変化の問題とは何か、っーか。二本とも興味深く見られましたが、 しかし、なんとも渋いドキュメンタリーが機内映画であるものです。

Frankfurt Flughafen には現地時間で14:30頃に到着。 ここからは、団体ということで貸切バスに乗って、高速自動車道アウトバーン (Autobahn) をひたすら北上。 5号線から7号線を経て最初の目的地カッセル (Kassel, Hessen, DE) へ。 約200km 2時間ほどの短いバス旅でしたが、途中、トイレ休憩でサービスエリア (Autobahnraststätten) にも入ったので、 アウトバーンでの旅の様子も伺うことができて、興味深かったです。 Neu! (1970s前半に活動した Krautrock のグループ) を iPod Touch で聴きつつ、 高い山のないなだらかにうねる車窓の風景を眺めていて、 “Hallogallo” や “Isi” ようなドライヴ感ある反復ビートはこういう風景にぴったりだなあ、と。

で、現地時間18時頃に、カッセルでの宿、中心部から2〜3km離れた郊外にあるホテル Best Western Grand City Hotel Kassel に到着。 Best Western は米国出張で使ったこともあるアメリカのホテルチェーン。 ま、市中心部は宿が少なそうですし、20名団体ともなるとこういう所になるでしょうか。 日本時間で25時頃ということで、既にかなり眠かったのですが、 ここで寝てしまうと明日が時差ぼけで辛くなるということで、 せめて21時頃まで起きていようと近所をふらふら。 といっても、ここは、高速自動車道のインターチェンジ近くの郊外ということで、 周囲にあるのは大型スーパーとか「ファミレス」風のレストランとかそんな感じ。 翌日曜はほとんど店がやっていない、ということで、 この晩のうちにスーパーでペットボトル入りガス入り水500ml6本まとめ買いしたり。 レストランでビール飲みつつつまみに Currywurst (カレーソーセージ) を注文してみたら、 大量の付け合わせ Pommes frites (フライドポテト) に爆死したり……。 で、22時頃にホテルへ戻って、眠りについたのでした。

(2012/09/11)

ドイツ旅行レポート (その2)。dOCUMENTA (13) @ カッセル初日の午前の話。

26日の朝は、目覚ましを6時半にセットしていたのに6時には起床。まだちょっと時差ぼけ。 時間に余裕があったのでホテルの回りを軽く散策。 アウトバーンのインターチェンジ近くで見付けた “documenta-Stadt Kassel” の標識をカメラに収めたり。 カッセルが1999年から “documenta-Stadt” (ドクメンタの街) と公式に称しているという話は聞いていましたが、ちゃんと標識もあるのかー、と。 夜にも一雨あったのですが、雲行きは怪しげで、時々雨がぱらつき、上着が必要な程の寒さ。 日曜礼拝を呼びかける教会の金の音に、ヨーロッパらしさを感じたり。

で、9時頃にツアーメンバーでタクシーに分乗してカッセル市中心部へ。 全体コンセプトを示す展示もあるし、 まずは入場に行列が予想されるメイン会場の美術館 Fridericianum を最初に攻略してしまおう、と。 9時15分頃に着いたときは、入口に並んでいるのは数人。 しかし、ちょっと早く着き過ぎたのじゃないか、なんて思っていられたのもつかの間。 9時半頃からあれよあれよと行列が伸び、 あっという間に美術館前の広場 Friedrichsplatz を横切って、 さらに曲がってどこかに伸びていっているという。ひえー。

会場の数分前に係の人が出てきて、手荷物などのチェック。 以降、ここ Fridericianum だけでなく他の dOCUMENTA (13) 会場、ドイツ旅行中に立ち寄った美術館でも、 入場時の鞄等のチェックが厳しく、大きめの鞄やデイパックはクローク (Garderobe) に預けるように言われていました。 特にデイパックのような背負う鞄は大きさに関わらず持ち込めない場合が多いので、 美術館・ギャラリー巡りをする際には背負う鞄は避けた方が良いかもしれません。 で、開場と共に Fridericianum に入って、メインの円形広間 (rotunda) へ直行。 それから午前中いっぱい約2時間かけて Fridericianum の展示を観たのでした [展示作品の写真とレビュー]。

しかし、会場中は酷い混雑。 地上階の円形広間だけでなく他の部屋でもいくつか入場制限をしており、そこも長い行列。 外は涼しいく上着を羽織りたいくらいなのですが、 建物の中は人いきれで熱気ムンムンでTシャツ1枚でもいい感じ。という。

そんなわけで、2時間観て回ってはやくもバテてきた所でランチ。 他を探すほどの余裕もなく、Fridericianum 前のカフェで。 おそらく展覧会期間中臨時設営されている屋台のような所ですが、それなりに美味しかったです。 Griechiesche Pasta (ギリシャ風パスタ) なるものを頼んでみたのですが、 クリタラーキ (Κριθαράκι) という米粒を一回り大きくしたようなパスタを使ったピラフのようなものが、サラダ、パン付きで。 食器も使い捨てではなく、屋台の割には上品な盛りで。

ドイツ旅行レポート (その3)。dOCUMENTA (13) @ カッセル初日の午後の話。

ランチの後は、市内各所にある小さめの会場をいくつか巡りつつ。 まずは、Fridericianum の裏あたりにある “Never Mosque” へ [展示作品の写真とレビュー]。

続いて、Friedrichsplatz 経由でそこに通り (Steinweg) を挟んで面した Ottoneum へ [展示作品の写真とレビュー]。 Ottoneum に着いた頃から、雨が強くなってしまい、鑑賞しながら暫く雨宿りとなってしまいました。

Never Mosque は人も少なく快適だったのですが、Ottoneum は混雑で酷い熱気、 ビデオインスタレーションの部屋などまるでサウナのようになっていて、作品に集中できませんでした。残念。

雨が上がったタイミングで Ottoneum を出て、Steinweg 〜 Frankfurter Straße を南西へ。 Friedrichsstraße 界隈のオフサイトの小さな会場で点々とやっている展示を、いくつか [展示作品の写真とレビュー]。

16時を過ぎてそろそろ歩き疲れてきた頃だったので、 カフェにでも入って休憩しようということになったのですが、日曜日はほとんどの店が休み。 自動車通行止めで路面電車のみが走る歩行者天国となったカッセル一番の繁華街 Obere Königsstraße も、 人通りなく閑散とした状態。 ドイツでは日曜はあまり店が開いていない、という話は聞いていましたが、ここまでとは。 仕方ないので Friedrichsplatz まで戻って、営業しているカフェでひと休み。

ツアーメンバーの中にはここでホテルに戻った方もいたのですが、 閉館の20時までまだ時間があったので、余力のある人達はさらに Neue Galerie へ [展示作品の写真とレビュー]。 しかし、Ottoneum 程ではないものの、ここも混雑で人いきれの熱気。 疲れもあって、かなりぐったりしてしまいました。

Neue Galerie で観ている間に再び夕立。 窓から外を見ると、Karlsaue の方に鮮やかな虹が見えました。 主虹だけでなく副虹までくっきり見える虹を見るのも久しぶり。 これを見て少し元気を取り戻したり。

で、夕立が上がった19時頃に Neue Galerie を後にして、 Friedrichsplatz からツアーメンバーでタクシーに分乗してホテルに戻ったのでした。 (夕食は日曜も休まず営業しているホテル近くの「ファミレス」で、と。)

ドイツ旅行レポート (その4)。dOCUMENTA (13) @ カッセル二日目の午前の話。

雨がちだった26日とうってかわって、27日は晴れて、ちょっと暑いくらい。 27日の朝も、9時頃にホテルを出てタクシーに分乗してカッセル市中心部、 dOCUMENTA (13) の会場の一つ Kassel Hauptbahnhof (カッセル中央駅) へ [駅に関する話と写真]。

Janet Cardiff & George Bures Miller の作品 Alter Bahnhof Video Walk がが最も人気で 長い行列ができてるという事前情報を得ていたので、 混雑が予想される週末を避けて月曜朝一を狙ったのでした。 9時15分頃に到着して Cardiff & Miller の待ち行列一番乗り。 しかし、昨朝 Fridericianum に並んだ時と同様、9時30分頃からどんどん行列が伸びていきまいきました。 さすが、評判になっているだけあるなあ、と。 で、10時に受付オープン。 身分証明書 (パスポート) を預けて観賞用 iPod Touch を借りて、さっそく体験することができたのでした [作品の写真とレビュー]。

Cardiff & Miller 良かった〜、という余韻もそこそこに、 展示会場となっているレンガ作りの駅北ウィング (Nordflügel) へ。 しかし、そこは高校生と思われる団体客でごった返していました。ここでの展示にも行列が……。 そこで、人気の William Kentridge は明日朝一狙いとして、 Haris Epaminonda & Daniel Gustav Cramer の方に並んだのでした。 Kentridge 以外の作品もざっと流して [作品の写真とレビュー]。

で、ランチ前に Susan Philipsz の作品を体験しようと、北ウィングを離れて駅のホームへ (日本と違いドイツでは改札無しで駅のホームに入れるのです)。 しかし、案内看板には音が流れる時間帯と「ホーム上を徒歩2分」と。 もうすぐ始まってしまう、と、急ぎ足でホームの先まで歩いて。 音は途中から先まで辿りつく前に始まってしまいましたが、なんとか全て聴くことができました [作品の写真とレビュー]。

ドイツ旅行レポート (その5)。dOCUMENTA (13) @ カッセル二日目の午後の話その1。

ランチは駅構内のカフェで。 サンドウィッチも食べたのですが、せっかくドイツへ来ていることだしと、 プレッツェル (大きく焼いたソフトなもの) も合わせて頼んでみました。 一口目二口目のうちはいいのですが、その単調な塩味で飽きてしまい、辛かったです。 歩きながら小腹が空いたら食べようとポケットに入れておいたのですが、結局食べませんでした……。

で、午後はまず、駅の残り。南ウイング (Südflügel) へ。 こちらは正面駅舎や北ウイングほど話題の作品が無いということか、空いていました。 ここで、今回の目当ての一人 Rabih Mroué の作品が観られました [作品の写真とレビュー]。 もちろん、他の作品もざっと流して観ましたが。

まだまだ観残している作品はありましたが、中央駅 (Hauptbahnhof) 会場はここで切り上げ。 道沿いにカフェなどの店が連なる階段状になった歩行者専用の道 Treppenstraße を下り、 メイン会場前広場でもある Friedrichsplatz を抜けて、さらに階段を下って、 フルダ川 (Fluss Fulda) 沿いに広がる大庭園 Karlsaue へ向かったのでした。

ドイツ旅行レポート (その6)。dOCUMENTA (13) @ カッセル二日目の午後の話その2。

中央駅 (Hauptbahnhof) 会場の後は、街中を抜けて歩くこと10分程、 dOCUMENTA(13) の会場の一つ、フルダ川 (Fluss Fulda) 沿いの大庭園 Karlsaue へ [作品の写真とレビュー]。

それにしても、青空が広がり、緑も美しく、絶好の散策日和。 夏の日差しでしたが木陰も多く、水辺でも爽やかな暑さで、気持ちよく歩き回れました。 といっても、のんびり散策というわけにもいかず、 こういうところで一息ついてのんびり過ごすのもいいんだろうなあ、 とラウンジャーが並べられている木陰や水辺を横目でみつつ、 次の作品に向かって早足で歩いて行くという感じになってしまいましたが。

あと、公園の一角にあった温室風のカフェ・レストランがかなり良い雰囲気。 タイミングが合ったなら、ここでランチをするというのも良かったのかなあ、と。 ランチは中央駅で食べてしまってましたし、ここでお茶しているという時間も無かったので、 通り過ぎただけになってしまいました。ちょっと残念。

ドイツ旅行レポート (その7)。dOCUMENTA (13) @ カッセル二日目の話完結編。

Karlsaue を観終わった所は、自由行動。 閉館の20時までまだ時間があったので、まだ観ていない会場を少し落穂拾い。 Documenta-Halle [作品の写真とレビュー] とか、 Ex-Elisabeth Hospital [作品の写真とレビュー] とか。

しかし、朝から Kassel Hauptbahnhof と Karlsaue という見応えある会場をがっつりと観て回った後ということもあり、 疲れてもあってか、作品が頭に入ってきません。 そんなわけで、帰りのタクシーのための待ち合わせ時間より早めの時間から、 Fridericianum の前のオープンカフェでコーヒー飲みつつ一休み。

そんなとき、少々雰囲気が個性的な50歳くらいの男性が、 「この席空いている?」って英語で訊きつつ隣の席に座ってきました。 実際席は空いていましたし、展覧会観に来たアーチスト崩れか何かなあなんて思いつつ座らせておきました。 すると、タバコを吸いつつ「どこから来たのか?」と訊くので、 「日本からだ」と答えると、「福島、ひどいねえ……」みたいなことを言い出しました。 そんなこと言いつつ、彼が手に持つタバコの灰がパラパラで自分の上着にかかってきていて、 ああ、この人はヤバい人だなあ、と。 そんなわけで、話を合わせるのを止めて、そそくさとコーヒーを飲み干して席から立ち上がった瞬間、 彼もばたっと立ち上がって飛び跳ねるような変な走り方で走り去ったのでした。 あっ何かスラれたかも、と、彼を追う事なく、席であわてて荷物や服のポケットを点検しましたが、 どうやら何も取られずに済んだようでした。 やはり、こういう所にはスリか置き引きかという人が出没するんだなあ、と。

その後は、ツアーメンバーでタクシーに分乗してホテルへ。 夕食はホテルのレストランにしてみたのですが、とっても残念なものでした (多くは語らない)。

ドイツ旅行レポート (その8)。dOCUMENTA (13) @ カッセル三日目午前の話。

カッセルでの最終日28日は少し雲が多いものの晴れ。 26日、27日とフルに dOCUMENTA (13) を見続けて、さすがに疲れてきたのですが、 見たい作品がまだ残っています。 ということで、早々に荷造りを済ませ、荷物をホテルへ預けて、 9時頃にホテルからタクシーで Kassel Hauptbahnhof (カッセル中央駅) へ。 昨日観られなかった William Kentridge を中心に落ち穂拾い [作品の写真とレビュー]。

その後は、広場 Friedrichsplatz の方へ移動して、 昨日観てピンとこなかった Documenta-Halle を見直してみたり。 あと、dOCUMENTA (13) の企画ではないのですが、 Friedrichsplatz に面した Kirche Sankt Elisabeth (聖エリザベート教会) で Stephan Balkenhol の作品を 展示していたので、 それを観てきました。

カトリックの教会ですが、 コンクリート打ちっぱなしの壁をもっていたりと、カッセルの街並に合ったかなりモダンな建築。 教会の鐘の上に、Balkenhol の彫刻を立たせたり、と、かなり大胆な展示をしていました。

昼まで少し時間が残ったのですが、この日はベルリンへの移動の後、 夜まで予定が入っているので、体力温存モード。 Friedrichsplatz のカフェでアイスクリームを食べたり、 移動中に食べるためテイクアウトのランチを買ったりして、のんびりと。

タクシーでホテルへ戻ると、ベルリンへの移動に使うバスが遅れているという知らせが。 ベルリンの会社の貸し切りバスなのですが、ベルリンからカッセルへ向かう途中で 渋滞に巻き込まれているらしいとのことで、それも数時間の遅れという。 ドイツでもそういうことがあるのだなあ、と。 さすがに数時間は厳しいということで、旅行会社がカッセルの会社で貸し切りバスを新たに調達し、 それでベルリンへ向かうことになったのでした。 夜に予定を入れていたので、たいしたロスにならずに助かりました。

ドイツ旅行レポート (その9)。

8月28日の昼過ぎにカッセルをバスで後にして、アウトバーンを7号線から2号線を東へ。 バス手配のトラブルから出発が少々遅れたこともあり、途中休憩は1回のみ。 途中、旧東ドイツ国境の監視塔がアウトバーンの脇に見えるも、 そういう所へ寄ることもなく、あっというまに通り過ぎていきました。 アウトバーンは工事中がちで、ベルリンに近付くと夕方ということもあってか、渋滞しがち。

それでも、18時過ぎには U Bahn の Stadtmitte 駅近くにあるホテルに、無事到着。 さっそく、ベルリンを拠点に活動しているミュージシャンの 田村 夏樹 さん藤井 郷子 さんに電話で連絡。 U Bahn に乗って会場近くの Schillingstraße 駅へ。 20時前に待ち合わせして、晩に一緒にライブを観に行ったのでした。

観たのは、ベルリン在住の jazz/improv ミュージシャンの集団 Jazzkollektiv Berlin の ショーケース・ライブ Kollectiv Night #6 の第二夜。 3つのグループがそれぞれ1時間程の演奏をしました。 会場の Naherholung Sternchen は 旧東ベルリンの雰囲気の残る Alexanderplatz にも近い Karl-Marx-Allee から2ブロック程入った所にあるスペースで、 東ドイツ時代に地区の政治集会所と使われていた場所をオルタナティヴスペースとして使っているというもので、 飾り気の無いビルの1階のスペースに椅子やPA、バーカウンター等を並べただけのような所でした。

開演予定時刻の20時に少し遅れて最初に登場したのは、 bass less で electric guitar 2本という変則 4tet Rowk (Wanja Slavin (sax), Kalle Kalima (g), Ronny Graupe (g), Oli Steidel (dr))。 予備知識は、Kalle Kalima を Johnny La Marama での来日時に観たことがある [レビュー] という程度。 演奏は Tim Berne の Big Satan や Science Friction のような 1990年代に New York から出て来た bass less guitar trio/quartet を連想させるもの。 最近のグループでいうと Pet Bottle Ningen とか [レビュー]。 自分にはそこまで判りませんでしたが、drums のスタイルが Jim Black そっくりだったようです。 Pet Bottle Ningen を観てから1ヶ月程だったこともあり、 こういうスタイルもまだまだ根強く残っているのだなあ、と。

続いて、piano 入り1管 4tet Das Rosa Rauchen (Felix Wahnschaffe (sax), Achim Kaufmann (p), Andreas Lang (b), Moritz Baumgärtner (dr))。 Schall Und Wahn (Jazzwerkstatt, 2009) は聴いてましたが、それからリーダーの Wahnschaffe 以外は全て入れ替わり。 演奏は少しギクシャク、コンテンポラリーな jazz という感じ。 正直、とらえどころがありませんでしたが、Achim Kaufmann をやっと生で観られたので、それは収穫。

最後は、Laura Robles y el Astrocombo (Laura Robles (b, perc), Wanja Slavin (sax), Florian Trübsbach (sax), Johannes Lauer (tb), Robby Geerken (perc), Diego Pinera (dr))。 女性の electric bass がリーダーのギクシャク Latin funk といったところ。 Robles 目当ての女性客もいたようで盛り上がっていましたが、 帰りの足が心配になったので、23時半過ぎに会場を後にしました。

しかし、奇麗な会場でもなければ、有名とは言い難いラインナップでもないにも関わらず、観客は会場いっぱい。100人以上はいたでしょうか。 それも jazz/improv マニアという感じでもなさそうに見える客が多く、普通に楽しんでいるよう。 公共放送局の Rundfunk Berlin-Brandenburg の取材も入っていましたし。 dOCUMENTA (13) に続いて観客の根付きか方を見せ付けられたような気がしました。

帰途の U Bahn で上、夕食を食べ忘れていたことを思い出したのですが、 遅い時間の上に土地鑑もなく店を探す気力も残っていなかったので、 売店で買ったサンドウィッチで軽く済ましてしまいました (弱)。 午前中のカッセルから夜のベルリンまで、長い一日でした。 さすがに、ホテルに戻って、すぐにばったり。

ドイツ旅行レポート (その10)。

ベルリン2日目の8月29日は一日自由行動。昼は美術館・ギャラリー巡りするつもりだったのですが、 ツアー参加者の多くも美術館を回るようだったので、一緒に回ることに。 朝から晴れて暑い日でしたが、朝9時頃にStadtmitte 駅近くのホテルを出て Friedrichstraße を南へ。 東西ドイツ間の検問所 Checkpoint Charlie 跡を左に折れて、ベルリンの壁跡沿いの道 Zimmerstraße を西へ。 暫くすると、Nazis の強制労働に関する博物館 Topographie des Terrors があります。 Nazis の秘密警察局 (Gestapo) や親衛隊 (SS) のあった場所ですが、当時の建物は残っておらず、 更地のような広いスペースに、ガラス張りの平べったい文書センターが建っています。 建築家 Ursula Wilms とランドスケープ・アーキテクト Heinz W. Hallmann によるもの。 文書センターに入らずとも、Zimmerstraße 沿いに Nasiz の強制労働に関する展示が設けられた 屋根付きの遊歩道が作られています。そんな展示を見つつ西へ。

Topographie des Terrors の西隣に、最初の目的の美術館 Martin-Gropius-Bau (マルティン・グロピウス・バウ) があります。建築家 Martin Gropius と Heino Schmieden によって1881年に建てられたネオルネッサンス様式の美術館です。 もともとは応用美術の博物館でしたが、第二次大戦末に深刻な被害を受け、 1978年からの修復を経て1981年に再オープン、1998/99年のリノベーションを経て、 現在は近現代美術などの展覧会場として使われています。 訪れたときは、ちょうど Diane Arbus 展が開催中でした。 1940年代に活動を始め、1971年に自殺したアメリカの女性写真家の回顧展です。 彼女のフリークスを撮った白黒写真は何度となく観る機会がありましたが、 被写体の方ばかりに目が行ってしまっていたか、 この回顧展で1962年頃から主に正方形フォーマットで写真を撮っていたことに気付かされました。 使っていたカメラに関する展示もあり、フリークスのような被写体だけでなく、 どう撮っていたのかという技法にも焦点を当てた展示が良かったです。

Martin-Gropius-Bau の後は東へ戻って再び Checkpoint Charlie 前を通過、 Markgrafenstraße を南に折れて、トータルで10分余り歩いたでしょうか。 Jüdisches Museum Berlin (ベルリン・ユダヤ博物館) へ。 ドイツにおけるユダヤ人の歴史に関する博物館で、2001年に竣工した Daniel Libeskind による脱構築主義建築で知られます。 稲妻かひび割れを思わせるジクザグでスリットの入ったいかにもデコンな建物が目を引きますし、 その中で展示スペースの構造もその歪みを反映したものになっていましたが、 ドイツにおけるユダヤ人に関する歴史の展示はそれほど奇を衒わず、オーソドックスに歴史を追う作りの展示でした。

むしろ、地下通路から繋がる Garden des Exils (亡命の庭) の傾いた7×7=49本の柱が林立する様や、 Holocaust-Turm (ホロコーストの塔) の底からコンクリート打ちっぱなしの空間と其の先から漏れる明かりの方が、 ドイツのユダヤ人のホロコースト体験を象徴的に示しているかのようで、強く印象に残りました。

Jüdisches Museum Berlin で既に昼過ぎのいい時間だったのですが、ここではランチにせず、 Hallesches Tor 駅から U Bahn で北上……するも、 Französische Straße 駅と Friedrichstraße 駅がリニューアル工事で運休中。 仕方なく暑い中歩いて、Friedrichstraße 駅から S Bahn でまだまだ新しいベルリン中央駅 (Berlin Hauptbahnhof) へ。 駅から程なく歩いた所にある Hamburger Bahnhof - Museum für Gegenwart - Berlin を訪れたのでした。ベルリン中央駅開業で廃止になったハンブルグ駅 (Hamburger Bahnhof) をリニューアルした現代美術の美術館です。 といっても、時刻は15時近く。 展示は後回しにして、まずは、美術館東側の運河に面してテラス席が広がるミュージアムレストランでランチ。 オーガニックな Currywurst なるものがあったので頼んでみたら、 ちょっぴりカレー味の効いたトマトソースのかかった上品なソーセージが出て来て、 さすがミュージアム・レストラン。値段も相応でしたが。 ミュンヘン (Münich, Bayern) の有名な Hefe-Weißbier Paulaner があったので、それで美味しくいただきました。 ランチを終えた所で、他のツアー参加者たちとは別れて、後は一人で行動することにしたのでした。

まずは、Hamburger Bahnhof - Museum für Gegenwart - Berlin の展示を観ることに。 メインの Historische Halle の広い展示空間が Joseph Beuys のコレクションが展示されていて良い、 と前評判を聞いていたのですが、残念なことに展示替え中。 Historische Halle の両翼の建物での小規模なコレクション作品の展示も悪くなかったのですが、 細長い Rieckhallen の空間に並ぶ大規模なインスタレーションが見応えありました。

Rieckhallen は、進んでも進んでも次のインスタレーションが出てくるダンジョンのよう (写真は Bruce Nauman: “Room with My Soul Left Out, Room That Does Not Care”, 1984)。 一つ一つのインスタレーション作品を味わうというより、物量に圧倒された感もありました。 時間も限られていたので、一時間ほどで駆け足で流してしまいましたが、 ここはコレクション展示ですし、地元であれば通って一つ一つ楽しめたりするのだろうなあ、とも。 そんなことを思いながら、16時半頃にはこの美術館を後にしたのでした。

ドイツ旅行レポート (その11)。

ベルリン2日目、8月29日の夕方、Hamburger Bahnhof - Museum für Gegenwart - Berlin で 他のツアー参加者との美術館めぐりから離脱して、暫くは街歩き散策へ。 夏のオフの期間がまだ終っておらず、ギャラリーも劇場もほとんど開いていないというのは下調べ時に確認済みでしたが、 街歩きのネタに建物や周囲の街の雰囲気でも楽しんでみようかしらん、と。

まずは、Hamburger Bahnhof からレストランの面した運河沿いに裏手に行った所にある Halle am Wasser へ。 現代美術のギャラリー Frisch などが集まるギャラリー・コンプレックスです。 しかし、仮設っぽい建物が意外でした。 まるでテントのようで、日差しは暑いし川沿いだし、作品管理上の問題はないのかと思ってしまいました。

建物前の広いスペースは、夕方とはいえ日陰もなく暑く、人影もなし。 やっぱり休廊中だよね……、と入口を覗いていたら、一カ所 Loock Galerie が開いていました。 内藤 礼 などの日本人作家も扱っているギャラリーです。 やっていた展覧会は、 Natalia Stachon: Awaiting oblivion。 床にパターンを描いた鉄骨の重厚さと宙に吊るされたオブジェの軽さを対比させるようなインスタレーション。 繊細さというより女性作家らしからぬ大胆さを感じる空間構成が良かったです。

Halle am Wasser の後は、Hamburger Bahnhof 前の Invalidenstraße まで戻って運河を渡り、 運河越しに Hauptbahnhof の新しい建物を眺めつつ、運河東岸沿いの道を南下。 S Bahn の高架を潜りその南側の再開発中の工事現場脇を通り抜けて Schumannstraße を東に。

この少し細く静かな Schumannstraße 沿いに Kammerspiele des Deutschen Theaters (左のミント色の建物) と Deutsches Theater (右の白い建物) があります。 この2つ劇場が Deutsches Theater Berlin として一体に運営されています。 Deutsches Theater Berlin といえば、Michael Thalheimer 演出による Emilia Galotti 『エミリア・ガロッティ』 [レビュー] や Vildanden 『野がも』 [レビュー] の来日公演を観ています。 そのスタイリッシュな演出からもっと大きくてモダンな劇場をなんとなく想像していたので、ファサードも可愛らしい建物は意外でした。 劇場はクローズしており、カフェに数名の若者がいる程度。 オープンしている日の夜など、この前の広場もカフェも客で賑わっているのだろうなあ、と想像しつつ。

Deutsches Theater の後は、一本南側の通り Rheinhardtstraße へ。こちらはお店もある賑やかな通り。 この通り沿いに Sammulung Boros というゴツい建物の現代美術専門ギャラリーがあるのですが、残念ながら夏期休廊。

休廊なのはわっていたので建物の写真だけ撮ってさっさと通り過ぎようと思ったら、左手に川跡の緑道を発見。 どうやら、Südpunkte という小川を暗渠にして緑道として整備したもののよう。 自分の地元の東京世田谷にも目黒川水系の暗渠緑道化したものがあるわけですが、 同じようなものをベルリンで見付けて、思わず200m程ちょっと辿ってみてしまいました。 東京世田谷のように親水の小川や遊具の類を作り込まず、シンプルな所にドイツらしさを見たような気がしました。

(以下執筆中)