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『発掘された映画たち2014』について

東京国立近代美術館フィルムセンターの特集上映 『発掘された映画たち2014』 に関する発言の抜粋です。 古い発言ほど上になっています。 リンク先のURLの維持更新は行っていませんので、 リンク先が失われている場合もありますが、ご了承ください。 コメントは談話室へお願いします。 また、この特集で上映された以下の映画は、個別にレビューしています。

[3254] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Wed Oct 1 0:55:16 2014

土曜は昼前には京橋へ。東京国立近代美術館フィルムセンターで特集上映 『発掘された映画たち2014』 が始まったので、さっそく足を運んできました。4年ぶり9回目となる発掘し復元したフィルム特集上映です。

まずは、『1 複数バージョン特集1――日露戦争の記録映画』。 日露戦争を撮影した映像は限られていたため、 Joseph Rosenthal: Port Arthur Siege And Surrender (1904-05) が、後に度々再利用されたとのこと。 Rosenthal の全24場面中現存する12場面と、それが使われた映画を中心に、 日露戦争関連の記録・再現映画を集めて上映しました。 画質の悪いサイレント映画は催眠的でしたが、バージョン違いを繰り返し観るうちに逆に目が冴えてきたという。 「あ、あの場面がまた出て来た」という刺激が覚醒に繋がったのでしょうか。 不思議なものです。

続いて、『3 発掘されたアニメーションと戦前時代劇』 も。 一番の目当ては、2008年の同特集で上映されたアニメーション 『なまくら刀 (塙凹内名刀之巻)』 (1917) のデジタル復元・最長版。 完全なものか判らないので「最長版」ですが、当時のこの類の映画の長さが5分だったことを考慮すると、ほぼ完全版とのこと。 2008年に観たときは断片的過ぎてよくわからなかったのですが、 [関連発言]、 この版で話の流れもわかるようになって、こういう話だったのか、と。 やはり、面白かった、という程ではありませんでしたが。 大藤 信郎『のろまな爺』 (1924) と未完の遺作 『竹取物語』 (1961) も、 5分弱のもので、資料的な興味深さ以上のものはありませんでした。

時代劇はまずは 伊藤 大輔 監督による玩具フィルム2本、 片岡 千恵蔵 主演の『堀田 隼人』 (1933) と 大河内 傳次郎 主演の『忠次旅日記 甲州殺陣篇』 (1927)。 いずれも画質の悪い1分程の殺陣の場面。やはり、殺陣は人気あったんだろうなあ、と。 そして、二川 文太郎 監督, 市川 右太衛門 主演 『影法師捕物帖』 (マキノ御室, 1926-27)。 全10巻中の一部 (1巻, 5-7巻) で話が飛んだり途中で切れたり、というのが残念なところ。 留守がちで拗ねた妻と影法師の関係は、あの後、どう展開するのだろう、と。 『雄呂血』 [レビュー] を撮影した 二川 だけあって、 殺陣や捕り物の場面は見応えありましたし、捕物場面中に小舟で逃げる場面を交えたりと、工夫が感じられました。 けど、やはり『雄呂血』は凄かったのだなあ、と改めて関心しました。

この特集上映は大ホールの方で比較的空いていたのですが、 小ホールの方で上映していた Jacques Demy (dir.): Lady Oscar (『ベルサイユのばら』, 1978) に客が殺到していたようで、ロビーは大混雑。 こんなに混雑したフィルムセンターを見たのは初めてでしょうか。 この日に限って言えば、小ホールと大ホールでブログラムを入れ替えられれば良かったのでしょう。 シネコンであれば観客数に応じて柔軟なホール運用するのでしょうが、 フィルムアーカイブのホールにそのような体制は無いでしょうし。ううむ。

いつもとの違いといえば、『3 発掘されたアニメーションと戦前時代劇』は、 普段は老年男性客中心のフィルムセンターにしては、若い女性客が多くて、新鮮でした。 やはり、アート・アニメーションとか、そういう文脈の客層なのでしょうか。ふむふむ。

土曜は合間に銀座の画廊巡りをしたりしたのですが、その話はまた後ほど。

[3259] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Mon Oct 13 1:44:37 2014

土曜は午前中に野暮用一つこなして、昼過ぎには京橋へ。 東京国立近代美術館フィルムセンターで特集上映 『発掘された映画たち2014』『2 関東大震災の記録映画』を観てきました。

東京シネマ商会の白石 茂が撮影し、その後、文部省の委嘱でという形で世に出た実況映画 『關東大震大火實況』 (1923頃) のバリエーション2本に、 大阪毎日新聞社から京都帝国大学へ寄贈された『大正十二年九月 実寫 關東地方大震災』 (1923頃)。 あと、震災後の復興の様子を捉えた『復興中の大東京 中野城西館附近』 (1927)。 先日観た約20年前の日露戦争記録映画と比べ鮮明になって、カメラワークも洗練されて、生々しくなっていました。 左下隅にビルを少し写し込みつつ大きな火災の煙を画面いっぱいに捉えたり。 20年で映画の技術も技法も進歩したのだなあ、と。

『復興中の大東京 中野城西館附近』 に路面電車がちらと映って、あれは青梅街道の荻窪線じゃないかと思ったら、 中野城西館は鍋屋横町にあったのですんね、やっぱり。 「坂上」という文字もちらと見えたのですが、この坂上は中野坂上ですね。 幼い頃に青梅街道沿いの中野坂上と鍋屋横町の間のあたりに住んでいたので、戦間期のあのあたりはあんな雰囲気だったのかと、感慨深いものがありました。

まだ未入手なのですが、1927年のミシシッピ川大洪水のサイレントの記録映画を Bill Morrison が編集して Ron Miles を含む Bill Frisell Quartet が音楽を付けたDVD The Great Flood (Icarus Films, 2014) が、最近DVDでリリースされています。 関東大震災記録映画もこういう形でDVD化されて広く目に触れるようになればいいのに、と思います。 サイレントの劇映画の伴奏や弁士を付けての上映は、日本でもだいぶポピュラーになったけど、記録映画となるとまだまだだなあ、と。