始まりました!毎回友人たちに登場してもらい、エッセイを書いてもらうコーナーです。 今年のお題は「影響をうけたモノ」。
第1回の執筆者はよねおさんです。

●●よねおさん自己紹介●●
藤沢在住。管理人の元同僚で天秤座仲間。
心の夫はデンゼル・ワシントン、ブレンダン・フレイザー、グラディエーターヘアスタイルのラッセル・クロウ。愛人はベニシオ・デル・トロ。
父はショーン・コネリー。義父は児玉清。猫とゴマをこよなく愛す。

第1回 筒井康隆礼賛 text by よねお

ことほどさように私の記憶は曖昧である。

中学時代に同級生が飼っていたビーグル犬の名前は「ぺぺ」だったとか、 中学の理科の先生の口癖は「〜なわけぇ(舌巻風)」だったとか、 とにかく下らない枝葉末節的記憶がごちゃごちゃ残っている。 また、小説や映画をたくさん読んだり見たりするくせにストーリーがうろ覚えである。 ここでも「おもしろかった」とか、「父親の秘密を発見したときの娘の驚愕する表情がすごかった」とか、 「パトリシア・アークエットのケツがamazingであった」というような、 部分的で散逸的なくだらないくだらなーい記憶しか残っていない。

しかし、私の曖昧な記憶にも長所がある。つまり、「以前見た本(映画)を新鮮に読み返せる (観賞し直せる)」という点である。私は同じ本を何度も読み返すことがある。 ただし、読み返す本は限られている。何度読んでも違う発見や楽しみがあり、 毎回読書の喜びを感じることのできる本。 私にとっては、筒井康隆と村上春樹がこの定義に当てはまるが、 筒井康隆との出会いは今の私に大きな影響を与えたと思う。
なにより、彼の文章力・言語感覚に圧倒され、羨望し、尊敬し、憧れた。
夕刊フジに毎日連載された短いエッセイを集めた『狂気の沙汰も金次第』に、 彼の言語感覚の秀逸さを示すエッセイがある。何かに怒っているエッセイで、 「〜するとは言語道断歩行者横断脳に鉢巻鉄火巻簀巻腹巻腰巻寝間着というべきであろう」 という1節があり、ツボにはまりまくって私は文字通り腹がよじれるほど七転八倒して笑った。
言語感覚だけではない(そういえば『言語姦覚』という作品もある)。 流行作家となってからもその立場に安住せず、様々な実験的試行を繰り返すところが素晴らしい。 現実の時間軸と小説の時間軸を一致させた『虚人たち』。 使える文字を1つずつ削っていく 『残像に口紅を』、 新聞小説の特徴をいかしてパソコン通信と連携してストーリーが変化していく 『朝のガスパール』と 枚挙にいとまがない。


一方で、七瀬シリーズ『パプリカ』『富豪刑事』『ロートレック荘事件』など 純粋な(?)エンターテインメント作品も充実している。 アメリカ留学中に日本語小説に飢えていた私は、 親に送ってもらった『パプリカ』を 勉強もそっちのけで貪るように読んだ想い出がある。 『夢の木坂分岐点』のラストでは本当に身が凍るほど恐怖を覚えた。 『笑犬楼よりの眺望』や『狂気の沙汰も金次第』などのエッセイは、 笑いをかみ殺すのに苦労するので電車の中で読めないことも知った。

作品に出来不出来はあるものの(あくまで私にとって)、 断筆を解除してくれたおかげでしばらくは彼の作品を楽しみに生きていけそうである。(了)

(第2回はKITTさんの予定です。お楽しみに。)

よねおさんからKITTさんへのメッセージ★

掲示板で拝見する限り、『はるちゃん』や『ど〜なってるの?』を昼間見ているか
と思えば、足しげく映画館や写真展などにも訪れているご様子。いったい何をしている方なのでしょう。 その全貌は朝のアマゾン密林の霧のように謎に包まれています。 博学・温厚な文系青年を勝手に想像してる私です。 ではバトンを渡します。KITTさん、どうぞ

(レーコより)よねおさん、第1回の執筆ありがとうございました!たくさん読んでないけど、私も筒井康隆好きです。『農協月へ行く』が私のおすすめです。

=よねおさんオススメの筒井康隆作品=


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