甘い生活苦タイトル画
タイトル画:武川雅寛・白井良明(ムーンライダーズ)

 2009年9月 第33回「レーコについて東京」

今回の上京は酒場巡り、そしてレーコとの再会。このふたつが目的。

土曜の夕方、訪れた自由が丘での酒場のすばらしさ。観光地特有の明るさを遮断する、薄い引き戸。その中には、時間の流れが違うとしか言いようのない、ちょっとした世界があり、この別世界感てやつが、いままで私が星付けた店に、全て共通して展開されている。やはりここにもあった。

期待する客と、それに応えようとする厨房、その間で醸し出される真剣な空気。
その空気を反映した、キリッと冷えた辛い酒。酒と絡まり相乗的な効果をあげる、
愛しき肴。
いやぁーこれこれ!これのために働いてるんだと、あらためて痛感。そして痛飲。

で、次の日曜日昼下がり。(まずひとりでドジョウを肴に、しこたま「燃料」補給して…、)レーコと再会。
お互い映画好きが嵩じて、いちクラスメートから親友に発展したのは、たしかもう卒業間近な時だった。

「ミツバチのささやきに耳を傾けながら、ジョンブックは人工羊の夢をみるのだろうか…。」

時間を有効に、いつもこんな風に詰め込んで、映画のハナシをしてたっけ…?いや、ここまでではなかったような…。
レーコが指南してくれた、ちょっと変わった作風モノに惹かれた。現在琴線にふれるふれないの基準は、この時つくられた様におもう。
孤高の映画が取り持つ縁により、パソコンが普及していない卒業後も、お互いどこに住もうが、手紙で情報のやりとりは続いた。

そんなふたり培った仲は、たとえ9月に震災が起きようが、新伍が鬼籍に入ろうが、
禁断症状で法子が苦しもうが(これら東京行きしなに読んだ文春ネタ…とほほ)、
何が起ころうと、何年経とうと、そう簡単には引きちぎることはできないと、その強さを再会時に確認。

また「大手町」を「だいてちょ」と、知り合った当時から続いてる、かつらぎボケる、レーコ無視する。あるいは気づいてさえもない、というこの構図は揺るがないんだなと、世の中常住不変なこともあるんだなと、ライトアップされたばかりの東京タワーを遠目に、つくづく確信する…。

残暑の中の東京案内。酔いどれの私に応えてくれた色んなことが、これからいつになっても鮮明に蘇る夏の思い出になったことに、間違いないとおもう。

 レーコより:かつらぎさん、先日はご馳走さまでした〜文中で「レーコ」と書いてくれてますが、「どろびん」と呼ばれ慣れてるせいか、ちょっと不思議やったわ。こないだは、お酒が好きな人と、そうじゃない人の違いをしみじみ感じた1日でした。私は古ぼけたレトロな喫茶店を見つけるアンテナはわりと立ってますが、渋い居酒屋はもうまったくぜんぜん。。。宿泊先の日比谷から初めて自由が丘に来て「めっちゃ遠いやんか」とぼやいていたけど、東京でも指折り?らしき居酒屋でしっかりお酒を飲んでいたかつらぎさん。神楽坂を歩いていても、路地裏の居酒屋の「ホッピー」の文字に「関西はないねんなあ」と「日曜閉店」の看板を恨めしげに眺めていたかつらぎさん。酒のアンテナのびまくってます。。。と書くと、えらい酒飲みみたいやな。
まあでも、映画とか音楽とか、好きなものでつながってる友達は長続きするねえ、ほんま。今までもらったCDや漫画とか、野坂昭如のエロビデオ(笑)とか、ひとつひとつに思い出があります。
これからもよろしくです。

●甘い生活苦バックナンバー●
1月 2月 3月
4月 5月 6月
7月 8月 9月
10月 11月 12月
2003年1月 2003年2/3月 2003年4/5月
2003年6月 2003年7月 2004年1月
2004年9月 2007年1/2月 2007年3月番外編
2007年4月 2007年6月 2007年6月 その2
2007年8月 2007年9月 2007年10月
2007年11月 2008年9月 2008年10/11月
2009年1月

※「シネマックスモナムール」(全12回)は、2001年に葛城さんに連載していただいた、熱く濃ゆ〜い、日本映画コラムです。読みたい方は下記バナ−をクリックして、ご覧ください。


TOP&LINKS | 甘い生活苦 | Kim's Cinematic Kitchen | シネマ ファシスト | wann tongue | 読本 十人十色 | 映画館ウロウロ話 | 映画館イロイロ話 | GO!GO!映画祭 | CAFE | BBS | ABOUT ME