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テキスト&フォト&イラスト by キム・パプコ |
第44回12月号 小さな親切、大きな恩返し。![]() |
他人に親切するというのは、なかなか勇気が要るものです。たとえば地下鉄にお年寄りが乗り込んでくるや否や、間髪をいれず立ち上がる男の子とかいますけど、つまりそれほど臨戦態勢じゃなければ迅速な対応などできないものです。 『親切なクムジャさん』とは、稀にみる素敵なタイトル!と密かに思ってましたが、宣伝ポスターでは、白い包帯でぐるぐる巻きにした小指をかかげ、不思議と艶っぽいクムジャさん。真っ赤なアイシャドウを塗り、不適な笑みを浮かべ、一体どんな「親切」をしてくれるというのでしょう?! この映画、観る前からかなり想像力を刺激してくれます。 クムジャさんが刑務所に入るところから映画は始まります。そして刑務所のなかのクムジャさんは、誰彼となくヤケに親切。そう、クムジャさんに迷いはありません。まさに臨戦態勢。困っている人がいれば助け“困った”人がいればなんとか(?)してしまいます。彼女のなにがそうさせるのか?そんな親切な女性が、何ゆえ刑務所に?もはや後光がさして見えるその姿。そこにはなにか深いワケがありそうなのでした…。 演じるのは、『チャングムの誓い』で人気沸騰のイ・ヨンエ。ロングヘアで薄化粧の彼女は透き通るような肌が美しく、少女のあどけなさが残る可憐な美人。…だったはずなんですが、この映画では濃厚メークに大胆なファッション。宮廷料理ならぬケーキ屋さんで働く姿もただならぬ気配が漂い、にこやかに笑っていてもどこか怖い…。結構演技の幅が広い人だったんですね。びっくり。 そして、『オールド・ボーイ』に続きパク・チャヌク監督のきわどい世界に飛び込んだチェ・ミンシク。英語塾の講師という、一見なんの変哲もない役柄なのに捨て身の演技(せざるを得ない状況に…)。さらには、珍妙なる同時通訳(翻訳・通訳関係者、必聴!)により、おそらくアジア映画史に残ること必須の迷場面を披露してくれます。 どこまで行っても個性的でインパクト抜群のこの映画、どの場面もネタばれになりそうで多くは語れないのですが、うなされそうな映像満載。クリスマスにはまったくもって似合わない映画なのは確かです。心をぬくっと温め同時にシャキッと凍らせてくれることでしょー。 |
●Kim’s近況● 師走の真っ只中、ただいまお引越し中。ダンボール生活(?)からはほどなく抜け出せそうですが、この4年間かなり努力したつもりだったのに、心底捨てるの苦手な自分を発見。ASIMOじゃないけど、引越し用“なんでも分類>廃棄ロボット”がいたらレンタルしたい!などと思っております。 |
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