Andrea Centazzo はイタリア生まれで主にアメリカを拠点に jazz / contemporary classical の文脈で1970年代から活動している打楽器奏者。 1970年代後半から1980年代前半にかけての自身のレーベル Ictus からのリリースを 1990年代後半に Felmay がCD再発した時に聴いて、気に入っていたのだが、 最近の活動については全くチェックしていなかった。 そんな Centazzo が JAZZ ART せんがわ 2014 の初日のトリに、トリオで出演した。 空間を感じさせる疎な Centazzo と吹きまくることの多い坂田の相性はどんなものか、 少々、不安も感じつつ足を運んでみたのだが、なかなか楽しめたライブだった。 前半3曲ほど Andrea Centazzo のソロ。続いて、トリオで5曲ほど、と、アンコールを演奏した。
Andrea Centazzo の drum set の drums は全て胴が浅く、まるで frame drum でセットを組んだよう。 鉢やブラシを使うものの、その叩き方もあってか、ドンと響くというよりバタパタと軽めに手数多めに響かせる。 シンバルも4層重ねを3本立てた他、drums 上で叩く金属製のオブジェも多用し、金属音も目立った。 マイクを立てて強めにかけたリバーブも、多用される高音の軽い音に合っていた。 ソロの際にはさらにディレイやルーパーも駆使し、 さらにはバットをトリガーに予め録音した宗教曲らしきコーラスを加えたり。 この予め録音した音源は、途中でもオフにしたりすることも度々で、その切り方も大胆。
坂田は最初の曲や最後の曲でこそ alt saxophone を吹きまくったが、 2曲目では clarinet を、そして3曲目では唸るようなヴォイス。 藤原の bass も alt saxophone の時は強く重めのピチカートながら、 clarinet や voice の時はアルコ弾きが中心。 alt saxophone を吹き捲くったときの盛り上がりも楽んだが、 むしろ、疎な percussion の音空間に clarinet や voice にアルコ弾きが絡む展開に、 ぐっと抑制された緊張を感じた。
ちなみに、このトリオは2012年にミラノで開催された東日本大震災向けのチャリティ・ライブ Japzitaly で、 Centazzo の共演者が事故で出演できずに、代わりに急遽組んだことがきっかけという。 この時の演奏は、 Andrea Centazzo / Akira Sakata / Kiyoto Fujiwara: Bridges (Ictus, 162, CD, 2012) としてリリースされている。
日本の jazz/improv のミュージシャンをメインとしたフェスティバル JAZZ ART せんがわ も今年で7年目。 今年の9月は仕事が多忙で厳しいかったのですが、なんとか、このライブを観に行く事ができました。 なかなか良いライブで、頑張って足を運んだ甲斐がありました。 第1回から毎年足を運んできたフェスティバルですし、それが途絶えなくてよかった……。