少々落穂拾い気味ではありますが、 今年リリースのベルリンの minimal/dub techno を3作程まとめて。
2000年代にレーベル ~scape を主宰してベルリンの minimal/glitch/dub techno シーンを牽引した Pole こと Stefan Betke の Steingarten (~scape, sc44cd, 2007, CD) [レビュー] 以来となる久しぶりの新作。 といっても、~scape レーベルを畳んだ直後の2011年から2012年にかけてリリースされたシングル3タイトル Waldgeschichten を受けてのもので、“(live)” と書かれている3曲はそれらのシングルの曲の別テイク (おそらくライブ音源) だ。 dubwise な重低音と glitch な高音で枠取られた疎らな音空間作りは相変わらず。 そんな音空間の中に、ぽつぽつと可愛らしいフレーズを淡々と置いていくような所が気に入っている。
流行りのあるこのシーンにおいてかなりマイペースな活動。 今では Pan レーベル界隈がぐっと盛り上がっているし、そちらも楽しんだけれども、 結局 Pole の枯れた音作りが落ち着いて楽しめた。
Re: ECM (ECM, ECM2211/12, 2011, 2CD) [レビュー] に始まり Conrad Schnitzler [レビュー]、 Neneh Cherry [レビュー]、 Wolfgang Haffner [レビュー] など、 素晴らしいリミックス仕事をしてきたベルリンのDJ/producer の2人、 Riccardo Villalobos と Max Loderbauer が、ついに Vilod 名義でアルバムをリリース。
リミックス仕事ではないものの、電子音というよりも楽器音などのアコースティックな音を 疎らに組み立てる音作りで、架空のリミックスワークのよう。 しかし、低音があまり出ておらず minimal なグルーヴ感の無い曲が占める作りは、 淡々とし過ぎて、取り留めなく感じられる。 今までのリミックス仕事から期待が大き過ぎたせいか、物足りなく感じたアルバムだ。
Fetch (Honest Jon's, HJRCD67, CD, 2012) [レビュー] 以来久々の Moritz von Oswald Trio のアルバムは、 Vladislav Delay が抜けて、代わりに drums で ex-Fela Kuti's Africa 70 の Tony Allen が参加。 また、ミックスで Ricardo Villalobos が参加している。 管楽器のゲストはなく、ミニマルな音作りに戻っている。 afro-beat 的ではないものの、Tony Allen のドラミングを大きくフィーチャーして、 丁寧に刻むフレーズをライブでリミックスするよう。 Vilod のような取り留めないトラックもあるが、 トラックの1, 3, 6, 7のように少々変則的なグルーヴ感もあるトラックもある分だけとっつきやすい。 ミニマルな中に跳ねるような感覚もある 3 や、転がるような 6 が気に入っている。